
2026年9月29日、韓国宇宙航空庁(KASA)は、韓国企業のAI開発を支援するため、高解像度の衛星画像約6万7,000枚を9月30日から無償提供すると発表した。
対象は、韓国の多目的実用衛星「KOMPSAT-3」と「KOMPSAT-3A」が2025年に海外を撮影した光学画像である。韓国領内の撮影画像は今回の提供対象に含まれない。
本記事では、公開する画像の特徴とAI開発を支援する狙い、企業が利用する際の条件について解説する。
約6万7,000枚の高解像度画像を提供
KOMPSAT-3と3Aが撮影した海外の画像
KASAが提供するのは、KOMPSAT-3とKOMPSAT-3Aが撮影した高解像度の衛星画像である。
提供対象となるのは、KOMPSAT-3とKOMPSAT-3Aが2025年に海外を撮影した画像のうち、雲に覆われた割合が25%未満のものだ。発表に記載された解像度は、KOMPSAT-3が0.7m、KOMPSAT-3Aが0.55mである。
KOMPSATシリーズは「アリラン衛星」とも呼ばれる。韓国航空宇宙研究院(KARI)によると、3A号は2015年に打ち上げられ、高解像度の光学カメラと赤外線センサーを搭載。地球の精密観測を担い、防災や環境監視、資源管理などに活用されている。
補正を施した「標準画像」を公開
公開される画像には、幾何補正や放射補正などの標準処理が施されている。画像の位置・形状のずれや、センサーが捉えた明るさなどを補正し、利用しやすい状態にしたデータである。
KASAは、あらかじめ補正処理を施した画像を提供することで、企業がAIモデルの開発や衛星画像を使ったサービス開発にすぐ活用できる環境を整える狙いだ。

なぜAI開発に大量の衛星画像が必要なのか
衛星画像をAIに学習させることで、地表の変化や特定の対象を自動で検出・分析する技術の開発につなげられる。こうした技術は、災害・環境監視や資源管理など、衛星画像を活用するさまざまなサービスへの応用が考えられる。
一方、精度の高いAIモデルを開発するには、学習だけでなく分析や検証にも多くの画像データが必要になる。KASAによると、企業は十分な高解像度画像の確保に苦慮しており、2026年2月の調査では7社が無償公開を求めたという。
この要望を受け、KASAは企業や関係機関との協議を進め、7月に発表した宇宙航空産業の育成戦略に今回の取り組みを盛り込んだのである。
利用対象と商用化の条件
画像の提供対象は韓国企業で、利用を希望する場合は国家衛星標準画像の申請書をKASAに提出する。内容の確認後、国家衛星運営センターから順次画像が提供される。
提供された画像を使って開発したAIモデルやサービスは商用化できる。一方、画像データそのものを販売したり、第三者へ再配布したりすることは禁止されている。
| 項目 | 公表された条件 |
|---|---|
| 利用対象 | 韓国企業 |
| 用途 | AIモデルなどの衛星活用技術・サービスの開発 |
| 開発したモデル・サービス | 商用化が可能 |
| 提供画像そのもの | 販売・再配布は禁止 |
2035年までに60万枚以上へ拡大する計画
KASAは今回の取り組みを試験的な公開と位置づけており、今後は毎年6万枚以上の衛星画像を追加する計画だ。公開規模は2030年までに30万枚、2035年までに60万枚以上へ拡大する。
さらに、画像の公開方法についても継続的に拡大していく方針を示している。今回の約6万7,000枚の提供を起点に、企業がAIや衛星データを活用した技術・サービスを開発できる環境を段階的に整えていく考えだ。
さいごに
今回の衛星画像公開は、国が保有する地球観測データを、民間企業のAI開発へつなげる取り組みである。
技術開発に使う画像を無償で提供し、そこから生まれるモデルやサービスの商用化を認めることで、衛星情報の利用拡大を目指す。
今後は、提供された画像を使ってどのようなサービスが生まれるのか、また、公開規模の拡大が企業の継続的な開発につながるのかが注目される。
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