世界のロケットが大樹町に!?北海道スペースポート、本格的に始動!!
©︎SPACE COTAN、haptics inc.

2022年9月7日、北海道大樹町にある「北海道スペースポート(HOSPO)」にて、新しいロケット発射場の着工セレモニー・地鎮祭が開催された。

北海道スペースポートは、2021年4月に北海道大樹町で本格稼働した、SPACE COTAN株式会社が運営する宇宙港。

アジア初の民間にひらかれた商業宇宙港で、北海道での宇宙版シリコンバレー実現を掲げている。

発射場整備によって、日本国内でのロケット打ち上げが少ないという課題を解決するだけでなく、観光や教育、地方創生など、さまざまな事業を推進。

ギネス世界記録を更新した、特別支援教育に取り組む翔和学園の生徒による手作りロケットの打ち上げも北海道スペースポートでおこなわれた。【遂にギネス世界記録達成!翔和学園の手作りペットボトルロケットに迫る

北海道スペースポートシティ 全体像
北海道スペースポートの構想 ©︎SPACE COTAN株式会社

現在HOSPOでは、Launch Complex-0(LC-0、サブオービタル射場)と1000m滑走路を運用。

民間でロケット開発を行うインターステラテクノロジズ社の観測ロケット「MOMO」は、このLC-0から打ち上げられている。

また、滑走路は企業や大学の研究(新型航空機、気球、通信実験)だけに留まらず、Youtubeの企画撮影など、その用途は幅広い。

では今回着工した新しいロケット発射場はどのような射場であるのだろうか。

小型人工衛星用ロケットの発射場「Launch Complex-1」

LC-1
Launch Complex-1 ©︎SPACE COTAN株式会社

今回着工したのは小型人工衛星用ロケットを発射可能な「Launch Complex-1(LC-1)」。LC-0はサブオービタル射場だが、LC-1はサブオービタルとオービタル共用の射場である。

サブオービタルとは、打ち上げ後弾道軌道を描いて高度約100km付近を飛行し、地上に帰還する軌道。人工衛星やISSが在る、地球の周りをくるくる回る地球周回軌道には到達しない。

一方、オービタルとは地球を周回する軌道。LC-1は小型ロケットを垂直に打ち上げ、人工衛星を周回軌道(オービタル)に輸送することが可能となる。

LC-1の建設は、インターステラテクノロジズ社の小型衛星用新型ロケット「ZERO」をはじめ、世界中の小型ロケットを打ち上げることを目的としている。

同発射場は、2023年に完成予定だ。日本における人工衛星用ロケットの打ち上げ増加に貢献し、日本の宇宙業界の発展を促すだろう。

今後の建設予定

新しい射場の建設はLC-1では終わらない。今後、1000m滑走路の300m延伸工事、Launch Complex-2(LC-2)射場と3000m滑走路の建設も行っていく予定で、資金確保を進めるという。

次に着工するのは1000m滑走路の300m延伸工事で、2023年の予定。宇宙飛行機(スペースプレーン)の実験機離着陸や、ホンダジェット等の離着陸を目的としている。

2025年運用開始予定のLC-2はLC-1よりも大型で、人工衛星用ロケットを高頻度に打ち上げることが可能な射場だ。

3000m滑走路は、P2P(高速2地点間輸送)対応のもの。P2Pとは地球上の2地点間を、宇宙空間を通ることで高速で移動する輸送手段。なんとニューヨークまで40分で行けるそうだ。

北海道スペースポートの整備計画
©︎SPACE COTAN株式会社

HOSPOにかかる期待

北海道スペースポートは、ロケット発射場整備の資金確保にはふるさと納税(企業版・個人版)や寄附の仕組みを活用している。

LC-1の建設も、昨年度までに全国延べ88社から合計8.2億円の寄付を受けるとともに、内閣府地方創生拠点整備交付金の採択を受けたことにより実現した。

SPACE COTAN株式会社の大出大輔氏は、

資金調達は、沢山の企業からのご理解を頂き、多くの企業版ふるさと納税を頂きました。また、内閣府の地方創生拠点整備交付金も頂きました。多くの方の期待に応えられるよう、これからも北海道スペースポートを一段と推進していきますので、応援よろしくお願いいたします。

と述べた。

現在、日本のロケットの打ち上げ回数は十分とは言い難く、国内の人工衛星は海外での打ち上げを余儀なくされている状況。発射時期や目的地の選択が不自由な上、コストも高い。

LC-1には、この課題の解決に加え、海外ロケットの発射による経済効果も期待できる。

その後のLC-2や各滑走路も日本の宇宙業界の発展を促すだろう。北海道スペースポートの今後の活躍が楽しみだ。

参考:

北海道スペースポート 小型人工衛星用ロケット発射場LC-1建設、滑走路300m延伸 地鎮祭・着工セレモニーを9月7日に開催

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