耐震技術を宇宙に活かす!?新規事業としての宇宙ビジネス進出のポイントとは

2022年7月22日、株式会社構造計画研究所が、ロケット開発を進める株式会社インターステラテクノロジズの提供するパートナーシッププログラムに参画することを発表した。

近年、様々な業界から新たに宇宙ビジネスに進出するニュースが続いているが、本事例を基に、異分野に取り組む企業の、新規事業領域としての宇宙ビジネスのチャンス・可能性を検討する。

インターステラテクノロジズとは?

インターステラテクノロジズは、低価格で宇宙への人工衛星等の輸送を目指す、ロケット開発ベンチャー企業。ホリエモンこと堀江貴文氏がファウンダーであることでも有名で、民間単独での打ち上げとしては日本初の宇宙空間到達を達成した"MOMO"というロケットを打ち上げている。現在は、人工衛星を軌道投入するための、"ZERO"というロケットの開発を進めている。

構造計画研究所とは?

構造計画研究所は、構造解析や流体解析などのコンピューターシミュレーション技術(CAE)を活かして、建設・防災、情報・通信、製造分野など多様な領域における安全性、品質の向上に貢献する企業。建築の耐震安全性を確認するための構造解析や、熊本城等の3次元モデル化、高品質の製品製作のための流体解析など、様々な取り組み事例があるが、特に建築の耐震分野での実績が多いのが特徴である。(導入!構造計画研究所

パートナーシップによる取り組み

両者は、今回のパートナーシップにより、以下の取り組みを実施することを発表している。

  • 超小型人工衛星打上げロケット「ZERO」の機体や発射設備の強度解析
  • ロケットの噴煙が地形に与える影響を解析し、発射時の環境負荷が少ないロケットの開発支援

インターステラテクノロジズでは、これまで実際に試作機を製作し、実物で試験することで、上記の開発を進めてきたが、これをコンピューター解析で代替することにより、試作機製作の期間短縮、費用削減を目指すことが出来るとしている。

宇宙ビジネス進出の鍵は"技術の活かし方"

現在宇宙ビジネスに新規事業として取り組む企業は、自社の様々な技術とノウハウを自己分析し、宇宙産業のニーズやペインをヒアリングして共通点を探し、自社技術を活かして宇宙産業の課題を解決するという手法を取る場合が多い。

今回、両社が発表した取り組みも、構造計画研究所がこれまで特に建築耐震分野の構造解析により培ってきた技術とノウハウを、ロケットの機体や発射設備に応用するものである。両者の共通点としては、以下が挙げられる。

  • 建築の構造材料にも、ロケットの構造材料にも金属が使われること
  • 建築は地震等で、ロケットはエンジン燃焼等で振動すること

つまり、建築のコンピューター解析で用いる、材料の知識、振動の知識があれば、多くの部分をロケットの解析に技術応用可能ということである。

今後、あらゆる産業から、ますます宇宙ビジネス進出事例が増加していく中で、ビジネスチャンスをものにするために、新規事業としての宇宙ビジネス進出を検討する企業は、以下の取り組みを加速すべきと考える。

  1. 自社技術の強みの整理、資料作成
  2. 宇宙ビジネスの種類、形態の理解と、課題調査
  3. 自社技術の強みと、宇宙ビジネスの課題の共通点発見と応用

Space Connectでは、特に②、③の理解を促進するような記事も多く取り扱っているため、ぜひ他の記事も読み、宇宙ビジネス理解と共通点発見に役立てて頂きたい。

参考:宇宙産業に対するシミュレーション技術の活用を目指しインターステラテクノロジズのロケットパートナーズへ参画

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