遂にギネス世界記録達成!翔和学園の手作りペットボトルロケットに迫る
©SPACE COTAN

2022年8月2日、特別支援教育に取り組むNPO法人 翔和学園は、北海道大樹町にある商業宇宙港「北海道スペースポート(HOSPO)」にて、手作りの巨大ロケットを打ち上げた。全長7.72mの機体は高度16.78mに到達。

以前カナダのテレビ番組が持っていた全長4.04mのギネス世界記録を見事更新した。今後、ギネスワールドレコーズジャパンに申請し、正式な認定を待つという。この記事では、翔和学園のペットボトルロケットの挑戦について記述している。

実は今回の翔和学園の挑戦は初挑戦ではなかった。今年の3月にHOSPOにて、ペットボトルロケットの打ち上げに挑戦していたが、高さは3mにとどまり、失敗。

加えて、エンジンである7ℓの巨大ペットボトルがなんと暴発。暴発したペットボトルの代替は無く、あまつさえ、製造を中止していたため、同じものを発見するのは困難であった。ギネス再挑戦への道は、新たな巨大ペットボトルを探すところから始まった。

3月 ペットボトルロケット 打ち上げ
3月に行われた巨大ペットボトルロケットの打ち上げ ©SPACE COTAN

辛くも、12ℓの巨大ペットボトルの入手に成功し、ギネス世界記録に向けロケットを全面改良。様々な企業のサポートを得ながら、新しいペットボトルに合う噴射ノズルの設計開発や、ノズル強度の向上などを行った。動作実験や工夫・改良を重ね、北海道に向かう3日前にようやく試射ができる段階に。エンジンのみの試射となったが、無事高く飛ばすことに成功した。

北海道に到着後も大樹町で合宿を行い、製作、実験、改良の繰り返し。打ち上げテストを経て、8月2日、翔和学園のギネス記録再挑戦が始まった。チャンスは3度のみ。

1度目は推力が足りずに失敗。空気を7本のペットボトルに同時注入するまでは良かったが、その後、それぞれの空気の確認を怠っていたことが原因であった。

その失敗を活かし、2度目の試みでは、ボトル1つ1つに空気を確実に注入。十分な推力で発射は成功したものの、強風に煽られ、本体とエンジンが分離。打ち上げは十分なものとは言えず、失敗となった。もう後がない。

ペットボトルロケット発射 失敗
©SPACE COTAN

最後の挑戦となる3度目では、1度目と2度目の反省を活かし、風に対する発射台の向きや台の角度を調節、各工程を入念にチェックした。風が弱まるタイミングを見計らい、カウントダウンとともにロケットを発射。その結果、大成功。見守っていた生徒達からの大歓声が大樹町の地にこだました。

ペットボトルロケット 飛行
©SPACE COTAN

翔和学園の生徒は、

いやもう最高です!ロケットが美しく飛んでよかったです!全員で力を合わせた結果に満足してます。友達に報告したいです。
今後はより遠く、より大きいロケットに挑戦していきたいです。そのためには空気入れ、ボディー作り、点検、水漏れ防止などを改良し、安全面ももっと気をつけます。

とコメント。また、同学園教諭の水川勝利氏も、

ロケットが大樹町の空に見事に飛んで良かったです!宇宙に繋がるHOSPOという“本物の場所”で学生たちが多くの応援してくださる方々と共に“世界一になる”という壮大な夢に挑み、失敗を乗り越えて挑戦し続け、ついに成功を手にした事実は彼らの自尊感情を高め、今後の人生をより豊かなものにしてくれると信じております。今後は更に大きなロケットを飛ばしたいと挑戦し続ける予定です。

とコメントを残した。

NPO法人翔和学園とは

翔和学園は発達障害の児童・生徒・若者に特化した「特別支援教育」を実施するために2007年に設立されたNPO法人。フリースクール事業、生活訓練事業、就労移行支援事業、就労継続支援B型事業、グループホーム事業などを展開。

教育プログラムでは専門家と連携しながら個別の特性を見極め、先端的な「個別最適」なプログラムを提供。彼ら彼女らに失われがちな「青春」を謳歌させるプロジェクトベースのプログラムを通じて「生きていく気力」を育むことを目指している。

SPACE COTAN株式会社とは

大樹町からの委任に基づくHOSPOプロジェクトの推進業務全般(北海道スペースポートの管理運営、整備資金調達支援、射場の設計、国の認定取得、国内外の顧客開拓、PR活動等)のほか、宇宙産業活性化に向けた自主事業等を行う。

北海道スペースポート(HOSPO)について

HOSPOは、2021年4月に北海道大樹町で本格稼働した、アジア初の民間にひらかれた商業宇宙港。北海道での宇宙版シリコンバレー実現に向けて、ロケット発射場および宇宙旅行等を目的とした宇宙船(スペースプレーン)の実験場を整備し、打ち上げ支援業務を行う。

HOSPOは世界の宇宙ビジネスを支えるインフラとして、航空宇宙の研究開発、ビジネスサポート、地方創生事業を含むビジネス機会を提供。2025年までに2つの人工衛星用のロケット発射場を整備する予定で、資金確保にはふるさと納税(企業版・個人版)および寄附の仕組みを活用している。

参考:

翔和学園(東京) 、ギネス世界記録®︎へ再挑戦!8/2(火)、北海道スペースポートで巨大ペットボトルロケット打ち上げ

【北海道スペースポート プレスリリース】翔和学園(東京) ギネス世界記録®︎達成!巨大ペットボトルロケット打ち上げに成功

共に巨大ペットボトルロケットの打上で世界記録を達成しアジア初宇宙港を応援したい!活動報告

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