
2026年5月4日、Firefly Aerospace(以下「ファイアフライ」、NASDAQ:FLY)は2026年第1四半期決算を発表した。
同社の2026年第1四半期売上高は8,090万ドルとなり、前年同期の5,590万ドルから45%増加。前四半期の5,770万ドルからも40%増となっており、四半期ベースでも成長が続いている。
本記事では、ファイアフライの成長を支える主な事業領域として、月・防衛・打上げサービスの3つを整理する。
目次
月面輸送・月周回領域:月探査とデータサービス実証へ
2026年後半以降、月裏側の探査ミッションへ
ファイアフライは、2026年後半以降にBlue Ghost Mission 2の打上げを予定している。同ミッションでは、月着陸機「Blue Ghost(ブルーゴースト)」と軌道上輸送・運用機「Elytra(エリトラ)」を組み合わせ、月の裏側への着陸を目指す。

Blue Ghostは、2025年3月にNASAの商業月面輸送サービス「CLPS」の一環として月面着陸に成功しており、NASAの科学・技術実証ペイロードを月面へ輸送した月着陸機である。
現在は Mission 2に向け組立が進められており、今夏の完了を予定。また、月着陸機の生産拡大に向け、既存クリーンルームの4倍の規模となる新クリーンルームの建設も進められている。
一方、Elytraは、Blue Ghostやペイロードを月周回軌道へ運び、分離・展開する軌道上輸送・運用機である。展開後は月周回軌道に残り、通信中継やOcula向けの月面画像取得などを担う計画だ。
Mission 2に向けては、月周回軌道でのペイロード展開に関する分離試験を完了。また、月の裏側で運用されるペイロードとの通信を想定した初期の相互運用試験も完了している。
NVIDIA協業で月面画像サービス「Ocula」を推進
ファイアフライは、月面画像サービス「Ocula(オキュラ)」において、NVIDIAとの協業も進めている。
Oculaは、軌道上輸送・運用機「Elytra」に搭載する高解像度望遠鏡とAI処理機能を用いた月面画像サービスである。ファイアフライは、NVIDIA Jetsonを組み込んだ高解像度望遠鏡を受領し、Elytraへの適合確認を実施した。
NVIDIA Jetsonは、画像やセンサーデータを現場で処理するための小型AIコンピューターである。Oculaでは、NVIDIA Jetsonにより取得した月面画像を軌道上で処理し、さらに、2025年にファイアフライの傘下に入ったSciTec(サイテック)の技術を活用したAIソフトウェアと組み合わせることで、月面地図の作成、鉱物検出、宇宙領域把握への活用を目指している。

防衛領域:ミサイル警戒・宇宙データ処理を強化
ファイアフライの成長を支えるもう一つの柱が、防衛・宇宙データ処理領域である。
同社傘下のSciTecは、ミサイル警戒・追跡、宇宙領域把握、指揮統制、リモートセンシングなどに関わる防衛技術を手がけている。ファイアフライはSciTecを通じて、ロケットや月面輸送だけでなく、防衛向けの宇宙データ処理にも事業領域を広げている。
第1四半期には、米宇宙軍のFORGEミサイル防衛システム向けに、1億900万ドル規模の契約を獲得。同社は、AIを活用したミサイル警戒・追跡基盤に向けて、データセンターの提供を加速・拡大すると説明している。
また、ゴールデンドームの宇宙配備型迎撃システムを支援するため、米宇宙軍との契約も確保。これらの動きから、ファイアフライは打上げや月面輸送に加え、宇宙空間を利用した防衛システムやデータ処理を成長領域として強化していることが分かる。
打上げ領域:AlphaはBlock IIへ移行、Eclipseは開発進展
打上げ事業では、小型ロケット「Alpha(アルファ)」と、開発中の中型ロケット「Eclipse(エクリプス)」が中心となっている。
Alphaは、すでに商業・政府ミッションに使われている小型ロケットである。過去の打上げでは失敗や部分成功も経験しており、現在は信頼性や生産性を高めるBlock II構成への移行を進めている段階にある。
2026年3月にはAlpha Flight 7を打ち上げ、ペイロードの軌道投入に成功するとともに、Flight 8から本格導入するBlock IIの主要システムも検証した。次のAlpha Flight 8については、第1段・第2段タンクの認定試験を完了し、統合・試験段階に入ったという。一方、Eclipseは、Alphaより大きな打上げ能力を持つ中型ロケットとしてNorthrop Grummanとの共同開発により進められている。現在は、段間部、液体酸素移送ライン、複合材被覆圧力容器の認定を完了。Mirandaエンジンは燃焼試験で110%出力に到達し、複数の飛行用エンジンが組立中である。
さいごに
ファイアフライの2026年第1四半期決算では、売上成長に加え、月面輸送、防衛・宇宙データ処理、打上げサービスの各領域で進捗が示された。
AlphaやEclipseで宇宙への輸送手段を担い、Blue Ghostで月面への輸送を実現し、ElytraやOculaで月周回軌道での運用・データ活用を広げる。さらにSciTecの防衛ソフトウェアを組み合わせることで、ファイアフライは「打ち上げる」だけでなく、宇宙空間で輸送・運用・解析を担う事業モデルを築こうとしている。
この体制は、打上げ需要に加えて、ミッション後の運用やデータ活用まで収益機会を広げられる点で強みを持つ。2026年通期の売上見通しは4億2,000万〜4億5,000万ドルとされており、今後はBlue Ghost Mission 2、Alpha Flight 8、Eclipseの開発進捗、防衛領域での契約拡大が、同社の成長を考えるうえで注目されるだろう。
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