アストロスケール、独OHBと宇宙安全保障で協力へ|日英独の産業連携を強化
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2026年11月3日、株式会社アストロスケールホールディングス(以下、アストロスケール)は、ドイツの宇宙システム企業OHB SE(以下、OHB)と、宇宙安全保障分野での協力を検討する覚書(MoU)を締結したと発表した。

宇宙空間の重要インフラを保護する技術・能力について共同事業の可能性を検討し、日本・英国・ドイツの産業連携強化を目指す。

本記事では、覚書の概要や両社の協力検討分野、覚書締結の背景、今後の展開について解説する。

アストロスケール、独OHBと覚書を締結

軌道上サービスや宇宙領域把握で協力を検討

今回の覚書は、2026年10月28日に東京のドイツ大使館で開催された「日独ビジネスサミット」において発表された。

アストロスケール、欧州の宇宙システム企業OHBと宇宙安全保障における国際協力の強化に向けた覚書を締結 画像
出典:アストロスケール/PR TIMES

アストロスケールは、宇宙ごみ(スペースデブリ)の除去をはじめ、人工衛星の点検や寿命延長など、宇宙空間で衛星にサービスを提供する「軌道上サービス」の開発を手がける日本企業である。

一方、OHBはドイツに本社を置く宇宙システム企業で、人工衛星の開発・製造を中心に、地球観測、通信、測位、安全保障など幅広い宇宙事業を展開している。

今回の覚書では、軌道上サービス・組立・製造(ISAM)や宇宙領域把握(SDA)、関連する宇宙安全保障分野において、両社の技術や専門知識を活用した共同事業の可能性を検討する。

宇宙ごみの増加や衛星への意図的な妨害・攻撃など、宇宙インフラを取り巻くリスクが高まる中、安全で持続可能な宇宙利用を支える能力の強化を目指す。

協力分野概要
軌道上サービス・組立・製造(ISAM)宇宙空間で人工衛星の点検・修理・寿命延長や、機器・構造物の組立・製造などを行う技術
宇宙領域把握(SDA)人工衛星や宇宙ごみなどの位置・動き、宇宙空間での活動状況を把握する取り組み
宇宙安全保障人工衛星などの重要インフラを保護し、安全で安定した宇宙利用を支える取り組み

両社は、これらの分野で互いの強みを組み合わせ、安全で持続可能な宇宙活動を支える新たな事業機会の創出を目指す。

英国子会社を中心に日英独の連携強化を目指す

今回の覚書では、特にアストロスケールの英国子会社「Astroscale Ltd.」と、ドイツのOHBとの連携強化に重点が置かれている。

英国で開発された技術や能力について、海外への展開機会を創出するとともに、両社が新たな顧客ニーズに共同で対応できる体制の構築を目指す。

また、アストロスケールが日本で築いてきた事業基盤を活用し、日本国内における協力の可能性も検討する。

今回の覚書は、英国とドイツを中心とした企業間協力に、日本の宇宙産業を結びつける枠組みとしての役割も持つ。

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宇宙インフラの保護が求められる背景

人工衛星は、通信や測位、地球観測など、社会や経済活動を支える重要なインフラとなっている。

一方、宇宙空間では人工衛星や宇宙ごみの増加に伴う衝突リスクに加え、他国による意図的な妨害や攻撃も、宇宙安全保障上の脅威となっている。

防衛省の「令和8年版防衛白書」では、他国の宇宙利用を妨げる対衛星兵器の開発や、衛星の点検・修理を目的としたロボットアーム技術が攻撃に転用される可能性などが指摘されている。

こうした脅威に対応するためには、宇宙ごみの除去や衛星の活動状況の把握や、人工衛星の機能を維持・回復する技術が重要となる。

例えば、軌道上で衛星の点検や修理、部品交換ができれば、故障した衛星の機能を回復したり、運用期間を延ばしたりできる可能性がある。また、将来的に宇宙空間で必要な部品や設備を製造・組み立てられるようになれば、宇宙インフラの維持・更新の選択肢も広がる。

宇宙空間の状況把握から、衛星の点検・修理、設備の構築まで、宇宙インフラを継続的に利用するための能力を確保することが、安全保障上も重要になっている。

日英独の宇宙協力と今後の展開

今回の合意の背景には、英国とドイツによる安全保障・宇宙分野での協力強化がある。

両国は2024年に防衛協力を目的とした「トリニティ・ハウス協定」、2025年に外交・安全保障・経済など幅広い分野での協力を定めた「ケンジントン条約」を締結。

さらに2026年10月8日には、民間・商業・安全保障・防衛を含む宇宙分野で、戦略的な協力を深める方針を共同声明で示している。

今回のアストロスケールとOHBの覚書も、こうした英独間の協力方針に沿った取り組みとなる。

今後、両社は英国とドイツを中心に、共同事業の可能性や顧客ニーズへの対応を検討するとともに、日本での協業機会についても模索していく。

なお、アストロスケールは2026年11月4日付の適時開示において、今回の覚書締結による現時点での業績への影響はないとしている。

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さいごに

アストロスケールとOHBは、宇宙安全保障分野での協力を検討する覚書を締結し、日本・英国・ドイツの産業連携強化を目指す。

今回の協力では、宇宙領域把握や軌道上サービス、宇宙内組立・製造などが対象となっており、宇宙インフラの保護につながる新たな事業の可能性を探る。

現時点では具体的な共同事業は決まっていないものの、宇宙ごみ除去などの軌道上サービス技術を、宇宙安全保障の分野でどのように展開していくかが今後の注目点となる。

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参考

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