
2026年10月29日、株式会社アクセルスペース(以下、アクセルスペース)は、次世代地球観測衛星「GRUS-3」のうち、GRUS-3Cが撮影した検証画像を公開した。
同社は、2026年7月に打ち上げたGRUS-3の7機中4機で、高速通信系統の不具合を確認している。今回、不具合が確認されていないGRUS-3Cにおいて、通信機器の消費電力を抑えた状態で撮影から画像データの地上受信までの動作を確認した。
本記事では、公開された画像や各GRUS-3の状況、今後の計画について解説する。
アクセルスペース、GRUS-3Cの検証画像を公開
ブラジルの地表を撮影、地上で画像データを受信
今回公開されたのは、GRUS-3Cが2026年10月20日(日本時間)に撮影したブラジル・サンパウロ州イタチバの衛星画像である。

アクセルスペースは、2026年7月に打ち上げたGRUS-3の7機中4機で、高速通信系統の不具合を確認している。原因については、通信機器の一部である電力増幅器からの放熱が不十分で、内部の部品が異常な高温となり損傷したものと推定。
不具合が確認されていないGRUS-3Cも同じ設計であることから、電力増幅器の消費電力を抑え、過度な温度上昇を防ぎながら検証を進めている。
今回、この運用条件のもとで、GRUS-3Cによる画像の撮影から、高速通信系統を通じた地上での画像データ受信までの一連の動作を確認した。
ただし、公開画像は初期運用における試験データであり、商用運用に必要な継続的な撮影・通信や画像品質の確認は今後も続けられる。
アクセルスペースは2026年7月にもGRUS-3の初撮影画像を公開している。今回の発表は、高速通信系統の不具合を受け、電力増幅器の消費電力を抑えた条件で実施した検証の結果を示すものである。
GRUS-3とは
GRUS-3は、アクセルスペースが開発した小型の光学地球観測衛星である。
同社の地球観測データ提供サービス「AxelGlobe(アクセルグローブ)」で使用する衛星で、2026年7月7日に7機が打ち上げられた。
地上分解能は2.2m、1機あたりの観測幅は28.3km。ニコン製の望遠鏡を搭載し、複数の衛星を連携させることで、広範囲かつ高頻度の地球観測を実現することを目指して開発された。
また、従来のGRUS-1シリーズから観測波長帯を拡充し、沿岸域の浅い海底や藻場などの観測に活用できる「コースタルブルー」を追加した。
農業、森林監視、地図作成、環境監視、安全保障など、幅広い分野での衛星データ活用を想定している。

GRUS-3の今後の運用について
不具合が発生した衛星も一部のミッションに活用へ
高速通信系統に不具合が発生したGRUS-3B、3E、3F、3Gの4機について、アクセルスペースは同系統の故障が恒久的なものと判断している。このため、当初予定していた、高速通信系統を使って画像データを地上へ送信する形での商用運用は困難としている。
一方、高速通信系統以外の機器は正常に動作しており、直ちに軌道から離脱させる予定はない。今後は、低速通信系統で取得できる画像の提供や、衛星の温度・電圧・動作状況などのデータを活用した商用利用の可能性を検討する。
また、同社の軌道上実証サービス「AxelLiner Laboratory(AL Lab)」では、不具合が確認された4機のうち1機に搭載済みのリアクションホイールを使い、軌道上実証を行う予定である。
この機器は、ASPINA シナノケンシ株式会社と共同開発した衛星の姿勢制御機器である。アクセルスペースは、高速通信系統の不具合があっても実証は可能としており、開始時期は決定後に公表するとしている。
残る3機は2027年2月の商用運用開始を目指す
一方、不具合が確認されていないGRUS-3A、3C、3Dの3機については、引き続き商用運用に向けた検証を進める。
3機とも不具合が発生した4機と同じ設計であることから、電力増幅器の消費電力を抑え、通信時間を短縮することで、過度な温度上昇を防ぐ運用を行う。
今後は、通信時の機器温度や動作状況、継続的な画像撮影・データ受信、画像品質などを確認・調整し、2027年2月の商用運用開始を目指す。
当初は2026年中の商用運用開始を目指していたが、不具合が確認されていない3機についても、1機ずつ慎重に運用を進める方針としたことから、開始目標を2か月延期している。
また、アクセルスペースは、外部の専門家による「GRUS-3不具合検証アドバイザリーボード」を設置している。不具合の原因分析や今後打ち上げる衛星への対策について第三者の視点から検証し、衛星の品質・信頼性の向上につなげる方針だ。
さいごに
今回のGRUS-3Cによる画像公開は、通信機器の消費電力を抑えた状態でも、衛星画像の撮影から地上でのデータ受信まで実施できることを示す成果となった。
一方、商用運用に向けては、通信機器の温度管理や継続的な画像データの受信、画像品質などの検証が引き続き必要となる。
今後は、2027年2月を目指す残り3機の商用運用開始に加え、不具合が発生した衛星を活用した軌道上実証などの展開にも注目が集まる。
宇宙業界では現在、様々な企業が人材を募集している。興味のある方は業界特化型プラットフォーム「スペジョブ」をぜひチェックしていただきたい。












