Synspective、国連開発計画の事業に採択|ジャマイカで衛星・AIによる沿岸監視を実証へ
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2026年10月22日、株式会社Synspective(以下、Synspective)は、国連開発計画(UNDP)が主催する「Japan SDGs Innovation Challenge」の第6期に採択されたと発表した。

ジャマイカの沿岸地域を対象に、衛星データとAIを活用して海岸線や生態系の変化、災害による浸水状況を把握する技術の開発・実証に取り組む。

本記事では、プロジェクトの概要や実証する技術、今後の展開について解説する。

Synspective、UNDPの国際協力事業に採択

ジャマイカ事業の日本企業パートナーに選定

Synspectiveが今回採択されたのは、国連開発計画(UNDP)が主催する「Japan SDGs Innovation Challenge」第6期のジャマイカを対象としたプロジェクトである。

「Japan SDGs Innovation Challenge」は、UNDPが2020年から実施している、日本企業の技術や知見を活用して開発途上国の課題解決を目指す事業である。

日本の内閣府からの拠出金を原資としており、UNDPの各国事務所が把握する現地の課題と、日本企業が持つ技術を組み合わせ、解決策の開発・実証を進めている。

2026年度は「海面上昇への対応」をテーマに4か国でプロジェクトが実施され、各国につき1社の日本企業が選定された。

Synspectiveは、ジャマイカを対象とするプロジェクトの日本企業パートナーとして、UNDPジャマイカ・マルチカントリーオフィスと協力し、衛星データとAIによる沿岸監視の仕組みを構築する。

ジャマイカ最大の保護区が実証対象

実証対象となるのは、ジャマイカ南岸に位置する「ポートランド・バイト保護区」である。

同保護区は、セント・キャサリン教区とクラレンドン教区にまたがるジャマイカ最大の保護区で、マングローブ林や湿地、藻場、サンゴ礁など、多様な生態系が広がっている。

これらの自然環境は、地域の漁業や住民の生活を支えるとともに、高潮などによる沿岸被害を軽減する役割も担っている。

一方、同地域は海面上昇やハリケーンに伴う高潮、大雨による浸水、海岸の侵食などの影響を受けやすい地域である。

これまでの環境監視は個別的・事後対応的なものが中心であり、海岸線や生態系の変化を長期的に把握するためのデータが限られていることが課題となっていた。

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衛星データとAIを活用した2つの実証

SAR衛星と光学衛星で沿岸環境の変化を把握

今回のプロジェクトでは、SAR(合成開口レーダー)衛星と光学衛星の観測データを組み合わせ、AIを用いて沿岸環境の変化を分析する。

SAR衛星は、電波を地表に照射し、その反射を観測する人工衛星である。太陽光を必要とせず、雲の影響も受けにくいため、夜間や悪天候時にも地表を観測できる特徴がある。

一方、光学衛星は、可視光などを利用して地表を撮影する。地表の色や形状などを把握できるため、植生や土地の状態を分析する際に活用されている。

本プロジェクトでは、これらの観測データをAIで分類し、マングローブ、砂浜、湿地、藻場、サンゴ礁などの分布を示す地図を作成する。

さらに、異なる時期に取得したデータを比較することで、海岸線の移動や生態系の劣化、地表の状態の変化を定量的に把握する計画である。

これにより、環境変化の影響を受けやすい地域を特定し、保全や再生を優先すべき場所の判断に役立てる。

ハリケーン・高潮後の浸水状況を把握

もう一つの実証項目は、ハリケーンや高潮などによる浸水被害の迅速な把握である。

大規模な災害が発生した際には、道路の寸断や浸水によって現地調査が困難になる場合がある。また、ハリケーンに伴う厚い雲は、光学衛星による地表観測を妨げる要因となる。

こうした状況で活用が期待されるのが、天候や昼夜の影響を受けにくいSAR衛星である。

今回のプロジェクトでは、SAR衛星の観測データを用いて災害発生後の浸水範囲や沿岸部の被害状況を把握し、地図上に表示する仕組みの構築を進める。

被害の広がりを衛星から把握することで、現地の行政機関が対応を優先すべき地域を判断する際の支援につなげる。

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現地行政機関での活用と今後の展開

ジャマイカ政府機関への技術研修も実施

本プロジェクトでは、衛星データを使った技術の検証に加え、現地の行政機関が継続的に利用できる体制づくりにも取り組む。

Synspectiveは、ジャマイカ国家環境計画庁(NEPA)や地方自治体、地域の関係機関と連携し、現地での検証や関係者との意見交換を通じて、衛星データと現地の情報を組み合わせる。

また、衛星観測を依頼する方法や、解析結果を活用するための研修も計画している。

これにより、政府機関や地域の関係者が自ら衛星観測を依頼し、取得した情報を環境保全や災害対応に活用できる体制の構築を目指す。

2027年2月まで実施予定、他の沿岸地域への展開も視野に

本プロジェクトの実施期間は、2027年2月までを予定している。

実証終了後は、構築した沿岸監視の手法をジャマイカ国内の他の沿岸地域や、カリブ海地域全体へ展開することが検討されている。

また、開発したツールを国の沿岸管理や計画策定に組み込むことも目標の一つである。

さいごに

Synspectiveは、小型SAR衛星「StriX」の開発・運用と衛星データの販売、解析サービスの提供を手がけている。同社は2026年10月1日、米Rocket Labと新たに20機の衛星打ち上げ契約を締結したことも発表しており、衛星網の拡充を進めている。

今回のUNDP事業は、こうした衛星観測技術を海外の行政機関が実際の業務に活用するための実証となる。

現地の行政機関が自ら衛星観測を依頼し、沿岸管理や災害対応に活用できる体制が整えば、衛星データの継続的な利用が期待される。Synspectiveにとっても、将来的なデータ販売や解析サービスの提供拡大につながる可能性がある。

さらに、ジャマイカでの実証成果を他の沿岸地域やカリブ海地域へ展開できれば、海外での新たな顧客獲得にもつながると考えられる。

今後は、沿岸監視の技術的な有効性に加え、現地での継続的な利用や他地域への展開が実現するかが注目される。

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