ロケット・ラボ、米宇宙迎撃計画に選定|ゴールデン・ドーム関連で防衛宇宙へ
©Space Connect

2026年5月7日、Rocket Lab(NASDAQ:RKLB、以下「ロケット・ラボ」)はRaytheon(以下、レイセオン)と共同で、米国のミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」に関連する先進能力実証に選定されたと発表した。

同日には、防衛技術企業Anduril Industries(以下、アンドゥリル)向けに、HASTEによる極超音速試験打上げ契約を獲得したことも発表している。

本記事では、ロケット・ラボが関与する宇宙配備型迎撃プログラムと、HASTEによる極超音速試験打上げ契約の内容を整理し、同社が防衛宇宙領域で存在感を高める背景を解説する。

米宇宙軍の迎撃プログラムに選定

ロケット・ラボとレイセオンが選定されたのは、米宇宙軍の「Space Based Interceptor program(宇宙配備型迎撃プログラム)」である。

同プログラムは、米国のミサイル防衛構想「ゴールデン・ドーム」に関連する取り組みで、2028年までに宇宙空間に配置する迎撃システムの能力実証を目指すものだ。

背景にあるのは、迎撃が難しいミサイルへの対応である。弾道ミサイルに加え、マッハ5以上の速度で飛びながら進路を変える極超音速兵器や、低い高度を飛行して探知されにくい巡航ミサイルなどへの対応が課題となっている。

そこで同プログラムでは、宇宙空間に迎撃システムを配置し、ミサイルをより早い段階で捉え、対処する能力の実証を進める。地上や海上からの迎撃だけでは対応が難しい脅威に対し、宇宙から迎撃の選択肢を広げる狙いがある。

レイセオンは、米RTX傘下の大手防衛企業であり、ミサイル防衛システムや迎撃体、センサーなどを手掛ける。宇宙配備型迎撃プログラムでは、ロケット・ラボの宇宙システム分野の実績と、レイセオンのミサイル防衛分野の知見を組み合わせる構図となる。

ロケット・ラボは、極超音速の脅威に対処する次世代ミサイル防衛を、国家安全保障上の重要領域と位置づけている。同社はこれまでも、打上げ事業と宇宙システム事業を通じて、国家安全保障・防衛プログラムに関わってきた。今回のプログラムでも、そうした実績をもとに米国の防衛ミッションに貢献していく構えだ。

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HASTEで極超音速試験打上げを支援

同日、ロケット・ラボは防衛技術企業のアンドゥリル向けに、HASTEによる極超音速試験打上げ契約を獲得した。契約額は3,000万ドルで、3回のHASTE打上げが含まれる。

HASTEは、ロケット・ラボの小型ロケットElectronを基盤とする極超音速試験用の打上げ機である。

極超音速とは、一般にマッハ5以上の速度域を指す。この領域では、機体にかかる熱、材料の耐久性、飛行中の誘導・制御などの難度が高まる。そのため、設計や地上試験だけでなく、実際に飛行させてデータを取得する機会が重要になる。

HASTEの役割は、試験対象を極超音速の飛行環境に投入し、その中で機体や部品、センサー、誘導・制御技術などが想定通りに機能するかを検証する機会を提供することにある。

アンドゥリル向けの初回ミッションは、12カ月以内に予定されている。HASTEの特徴は、契約から打上げまでを年単位ではなく月単位で進められる即応性にある。極超音速技術のように、短いサイクルで実証と改良を重ねる分野では、試験機会を早く確保できることが重要になる。

また、HASTEは2023年の打上げ開始以降、ミッション成功率100%を維持しているという。ロケット・ラボは、速さと信頼性を兼ね備えた極超音速試験の基盤として、HASTEの活用を広げている。

ロケットラボのHASTEロケット打上げの様子
ロケット・ラボのHASTEロケット打上げの様子 (NASA 公式サイトより)

防衛宇宙インフラ企業へ広がるロケット・ラボ

ロケット・ラボはElectronによる小型衛星打上げで知られるが、近年は宇宙システム事業も広げてきた。今回の発表は、そうした事業基盤が防衛・安全保障領域でも存在感を増していることを示している。

ゴールデン・ドームのような宇宙配備型の防衛構想では、迎撃体を宇宙空間で運用するための機体、電力、通信、姿勢制御、熱制御などが必要になる。ロケット・ラボは、打上げに加えて宇宙機や衛星部品も手掛けており、宇宙システムを構成する側の技術も持つ企業である。

さらに、同社のHASTEは、極超音速技術を実際の飛行環境で試すための打上げ機会を提供する。極超音速兵器への対処を考えるうえでは、脅威となる速度域や飛行環境を理解し、関連技術を短いサイクルで試験することも重要になる。

つまりロケット・ラボは、宇宙にシステムを配備・運用するための宇宙システム技術と、極超音速環境で実証を重ねるための試験基盤の両面で強みを持つ。今回の2つの発表は、同社が防衛宇宙市場で担う役割を広げつつあることを示している。

さいごに

ロケット・ラボは、Electronによる打上げに加え、宇宙機、衛星部品、HASTEを展開しており、防衛宇宙市場に必要な複数の機能を持つ。防衛領域は、政府需要を背景に継続的な成長が見込まれる分野でもあり、同社にとって事業拡大の重要な柱になり得る

ゴールデン・ドームを含む米国の防衛宇宙構想が進むなかで、ロケット・ラボが今後どのように活躍していくのかが注目される。

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参考

Rocket Lab and Raytheon Selected To Demonstrate Advanced Capabilities For U.S. Space Force’s Space Based Interceptor Program(2026-05-08)

Rocket Lab Awarded $30 Million Contract for HASTE Hypersonic Rocket Launches for Anduril(2026-05-08)

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