
2026年2月13日、小型SAR衛星を開発・運用するSynspectiveは、2025年12月期の決算説明資料を公表した。
今回の決算では、総収入の大幅な増加と受注残高の拡大が示された一方で、衛星コンステレーション構築に向けた先行投資により営業損失を計上している。
本記事では、2025年12月期決算のポイントと、同社の事業進捗を整理する。
目次
Synspectiveの概要
Synspectiveは、小型合成開口レーダー(SAR)衛星の開発・運用と、観測データを活用したソリューション提供を行う日本の宇宙スタートアップである。
主力は独自開発の小型SAR衛星「StriX」シリーズである。SAR衛星は天候や昼夜の影響を受けずに地表を観測できるため、災害対応、インフラ監視、資源管理、安全保障などの分野で需要が拡大している。同社は現在、StriXシリーズによるSAR衛星コンステレーションの拡大を進めており、観測頻度の向上と即応性の高いサービスの実現を目指している。さらに、衛星データの取得だけでなく、解析や意思決定支援までを含めたサービス提供を行っており、データプラットフォーム企業としての事業モデルを構築している。
政府案件や海外展開も進みつつあり、日本発の商業SAR企業として国際市場での存在感を高めている。

Synspectiveの決算内容|2025年12月期
Synspectiveが発表した2025年12月期通期決算は下図の通りである。

業績のポイント
2025年12月期の総収入は約61.4億円となり、前年から大きく増加した。防衛・政府関連案件の納入に加え、補助金収入が寄与したことが主因である。
一方、営業損失も計上されたが、これは小型SAR衛星の開発や製造設備の整備、衛星運用体制の強化など、将来のコンステレーション運用を前提とした先行投資による影響が大きい。また、親会社株主に帰属する当期純損失は約3.7億円となったが、補助金収入や費用管理の進展により、損失は一定程度抑えられた形となっている。
総じて今回の通期決算は、短期的には投資負担が続くものの、衛星運用体制の拡充と受注残高約249億円の確保により、将来的なデータサービス収益の拡大に向けた基盤整備が進んでいることを示す内容となった。
コンステレーション構築の途上にあるため収益規模はまだ限定的ではあるものの、防衛省案件をはじめとする複数年契約や海外展開の進展により、将来の売上につながる案件が着実に積み上がっている状況といえる。
財務状況と資金調達
Synspectiveはこれまでに複数回の資金調達を実施しており、政府補助金、契約収入、金融機関からの資金などを組み合わせながら事業を進めている。
宇宙開発は開発期間が長く、初期投資が大きくなりやすいため、資金源を分散しながら事業を継続できるかどうかが重要なポイントとなるが、同社は複数の資金手段を確保しながら段階的に投資を進めている状況にある。
また、宇宙戦略基金などの政府支援が加わったことで、衛星量産やサービス基盤の整備に必要な資金を確保しやすくなり、コンステレーション構築の実現可能性は以前より高まっていると考えられる。
Synspectiveの事業進捗
コンステレーション構築と衛星運用の進展
SynspectiveはStriXシリーズの打ち上げを継続しており、複数機による観測体制の構築が進んでいる。衛星数が増加すれば、同一地点の観測頻度が向上し、災害監視やインフラ管理などにおける即応性が高まる。コンステレーションの拡大は、同社の収益モデルの中核をなす要素である。
衛星の量産を可能にする製造拠点の整備も進められており、従来よりも短いサイクルで衛星を投入できる体制が整いつつある。将来的には30機規模のコンステレーションを視野に入れており、観測頻度とサービス品質の両面で競争力を高める計画となっている。
防衛省案件と受注残高の拡大
同社は、防衛省の衛星コンステレーション関連事業に参画しており、このプロジェクトは数千億円規模とされる大型案件であることから、日本の商業地球観測企業が安全保障分野のインフラの一部として位置づけられつつある流れを示している。
また、受注残高は約249億円まで拡大しており、前年から大きく増加した。受注残は将来計上される売上の見通しを示す指標でもあり、複数年にわたる契約が積み上がっていることは、中長期的な収益基盤が形成されつつあることを意味している。
海外展開とAirbus提携
Synspectiveは海外市場への展開も進めており、欧州では子会社を設立するなど、EMEA地域を視野に入れた事業基盤を構築している。地球観測データの需要は各国政府やインフラ事業者の間で高まっており、海外での販売網を早期に確立できるかどうかは、将来の成長を左右する重要な要素となる。
また、欧州の大手宇宙企業Airbus Defence and Spaceとの契約を通じて、SARデータの提供やサービス連携を進めており、グローバル市場における販売チャネルの拡大が期待されている。
さいごに
Synspectiveは現在、衛星を個別に運用する段階から、コンステレーションによって継続的にデータを提供するインフラ型ビジネスへと移行する過程にある。
今後の成長を左右する要素としては、衛星数の増加による観測頻度の向上、海外市場を含めた契約の拡大、そしてコンステレーション完成までの資金確保という三点が特に重要になるだろう。
SAR衛星の需要は、防災、安全保障、インフラ監視といった分野で着実に拡大しており、観測頻度の高いコンステレーションを構築できた企業は、継続的なデータ収益を得られる可能性が高い。Synspectiveが計画通りに衛星群の構築を進めることができれば、日本発の地球観測データ企業として、国際市場での存在感をさらに高めていくことが期待される。
Synspectiveを含め、宇宙業界では現在、様々な企業がサービスの商用化を進めている。本業界での仕事に興味のある方は、業界特化型の人材マッチングサービス「スぺジョブ」をぜひチェックしていただきたい。












