
SpaceX(スペースX)は、超大型ロケット「Starship(スターシップ)」第12回目の飛行試験を2026年5月21日以降に実施※することを発表した。
今回の試験では、StarshipとSuper Heavyの第3世代にあたる「Starship V3」が初めて飛行する。
本記事では、Starship第12回飛行試験の概要と、Starship V3、Starlink V3に関わる実証の注目点を整理する。
※5月19日午前11時時点
目次
Starship第12回飛行試験の概要
Starship第12回飛行試験は、StarshipとSuper Heavyの第3世代「Starship V3」の初飛行である。
Starshipは、SpaceXが開発する超大型の再使用ロケットで、上段の宇宙船「Starship」と、下段の大型ブースター「Super Heavy」で構成される。

Starship V3は、完全かつ迅速な再使用を実現するため、これまでの開発・試験で得られた知見をもとに改良された新世代機体だ。推力や信頼性、再使用性、機体との統合性を高めたRaptor 3エンジンの搭載に加え、Super Heavyのグリッドフィンやホットステージ構造、Starship上段の推進システム、Starlink衛星を放出するPEZディスペンサー、機体全体のアビオニクスなどが見直されている。
その初飛行となる第12回飛行試験では、ペイロードとして、次世代Starlink V3衛星と同程度の大きさを持つ20機のStarlink模擬衛星と、特別に改造された2機のStarlink衛星を搭載する。
打上げは、Starshipの開発・製造・打上げ拠点であるStarbaseに新たに整備された発射台「Pad 2」から実施される予定だ。


ミッションの注目ポイント
Super Heavyは発射場キャッチを行わず着陸燃焼へ
今回の飛行試験では、Super Heavyブースターも新世代の機体となる。主な試験目的は、打上げ、上昇、上段との分離、ブーストバック燃焼、沖合の着陸地点での着陸燃焼までの一連の動作を確認することだ。
一方で、今回はSuper Heavyを発射場へ戻し、キャッチする試験は行わない。大幅に再設計された機体の初飛行試験であるため、新世代機体の基本的な飛行特性を確認することが重視される。
着陸燃焼は、メキシコ湾上で実施される予定だ。Starship上段はStarlink関連ペイロードを搭載
Starship上段では、Starlink関連のペイロードを使った複数の試験が予定されている。
SpaceXは今回、次世代Starlink V3衛星と同程度の大きさを持つ20機のStarlink模擬衛星を使い、ペイロード放出実証を行う予定だ。Starshipが大型衛星を宇宙空間で放出する能力を確認する試験とみられる。これらの模擬衛星はStarshipと同じ弾道飛行の軌道に乗る予定で、軌道上で長期運用されるものではない。
また、特別に改造された2機のStarlink衛星も使われる。この2機は、Starlink V3向けに計画されているハードウェアを試験するとともに、Starshipの耐熱シールドをスキャンし、取得した画像を地上の運用担当者へ送信することを試みる。
これは、将来のミッションでStarshipが発射場へ帰還できる状態にあるかを確認するための方法を検証する試験である。Starshipを再使用するには、再突入時に高温環境へさらされる耐熱シールドの状態確認が重要になる。
上段Starshipの大気圏再突入・再使用に向けた課題も検証
Starship上段では、ペイロード放出のほか、宇宙空間でRaptorエンジン1基を再点火する試験も予定されている。宇宙空間でのエンジン再点火は、将来的な軌道変更や帰還運用に関わる重要な技術である。
また、再突入時には、Starshipの耐熱シールドタイル1枚を意図的に取り外した状態で飛行する。これは、タイルが欠けた場合に、周辺のタイルへかかる空力負荷を測定するためだ。
さらに、機体後部のフラップに大きな負荷をかける操作や、将来Starbaseへ帰還する際の飛行経路を模擬するバンク操作も行われる。
これらの試験により、将来の再使用運用に必要なデータを取得する予定だ。
飛行試験のタイムライン
第12回飛行試験のタイムラインは以下の通り。

打上げから約2分半後にSuper HeavyとStarshipが分離。分離時には、StarshipのRaptorエンジンを点火しながら段間分離を行う「ホットステージング」が実施される。分離後、Super Heavyはブーストバック燃焼を行い、メキシコ湾上での着陸燃焼へ向かう。
一方、Starship上段は打上げから約8分後にエンジンを停止し、その後、Starlink関連ペイロードの放出実証を行う。
打上げから約38分後には、宇宙空間でRaptorエンジン1基を再点火する実証も行われる。さらに、約48分後にはStarshipが再突入に入り、終盤では着陸燃焼や着陸フリップなど、将来の帰還・再使用に向けた飛行データを取得する予定だ。
さいごに
Starship第12回飛行試験は、StarshipとSuper Heavyの第3世代にあたる「Starship V3」の初飛行となる。
今回は、Super Heavyの一連の飛行動作や着陸燃焼、Starship上段によるペイロード放出実証、Raptorエンジンの宇宙空間での再点火、再突入時の耐熱シールドに関するデータ取得など、複数の重要な試験が予定されている。
また、Starlink V3に関連するペイロードも搭載され、Starshipの輸送能力だけでなく、SpaceXの衛星通信事業とのつながりも見える内容となっている。
今回の試験は、すぐに実運用へ移る段階ではないものの、大型・再使用型宇宙輸送システムの実現に向けた重要な検証機会となる。SpaceXがStarship V3でどこまで飛行データを取得できるかが注目される。
宇宙業界では現在、様々な企業が人材を募集している。興味のある方は、業界特化型の人材マッチングサービス「スぺジョブ」をチェックしていただきたい。









