DXからSXへ!INCLUSIVEの宇宙関連事業「LAND INSIGHT」とは
©Space Connect株式会社

INCLUSIVE株式会社のグループ会社であるLAND INSIGHT株式会社は、衛星データを活用して農業や地域社会が抱える課題に取り組んでいる。

本記事では、INCLUSIVEの概要と、LAND INSIGHTの取り組みから実績、今後の展望までを詳しくご紹介。これからの地域づくりや環境問題への解決策に興味がある方に、ぜひ知っていただきたい内容となっている。

INCLUSIVEとは

INCLUSIVEグループの事業ポートフォリオ
「INCLUSIVEグループの事業ポートフォリオ 」出典:INCLUSIVE株式会社(https://inclusive.co.jp/

INCLUSIVEは2007年の創業以来、出版社、テレビ局をはじめとしたメディア企業、そして事業会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進してきた企業。

現在ではメディア領域にとどまらず、デジタルデータを活用して人々の生活を豊かにする幅広い事業の企画、事業開発、運営、営業支援などを総合的に手がけている。

同社が取り組む主な領域は以下の4つ。

  1. メディア&コンテンツ事業
  2. 企画&プロデュース事業
  3. 食関連事業
  4. 宇宙関連事業
INCLUSIVEが主に取り組む4つの事業
INCLUSIVEが主に取り組む4つの事業
出典:INCLUSIVE株式会社(https://inclusive.co.jp/)表は出典を基に弊社で作成

今回注目するのは、4つ目の宇宙関連事業。その中核を担うのが、グループ会社の「LAND INSIGHT」だ。

ここからは、衛星による地球/地上の観測ビッグデータを活用した業務改革=SX(スペーストランスフォーメーション)に取り組むLAND INSIGHTについて詳しくご紹介する。

LAND INSIGHTについて

事業概要

LAND INSIGHTはINCLUSIVEの子会社として2022年に設立された。

「地球の外からやさしくしていく」をミッションに、人工衛星データを活用することで、脱炭素社会の実現や、地上の様々な課題の解決を目指している。

具体的な例として、以下のような事業に取り組んでいる。

LAND INSIGHTが取り組む事業例
LAND INSIGHTが取り組む事業例
出典:LAND INSIGHT株式会社(https://inclusive.co.jp/)表は出典を基に弊社で作成

強みは「ニーズ起点」

衛星データを活用して農業などの地上課題を解決しようとする企業は数多く存在する。その中でも、LAND INSIGHTの強みは「ニーズ起点」のアプローチにある。

衛星データ解析ソリューションを提供する企業は現在、国家プロジェクトから依頼を受けて防災等に関連する解析業務を請け負う場合が多い。このようなソリューションは、必ずしも防災等の限られた目的以外で使いやすいものだとは限らないだろう。

一方、LAND INSIGHTは地方自治体と密接に連携し、各部署の担当者へのヒアリングを重ねることで、現場のリアルな課題を把握。その中で、衛星データが有効に活用できる領域を見極め、一部サービスは事業化、また並行して複数分野での実証実験を推進している。

このように、現場の「ニーズ起点」でサービスを開発するからこそ、実用性が高く、社会に浸透しやすいサービスへと成長していくのだ。

「LAND INSIGHT サービス紹介 」出典:INCLUSIVE株式会社(https://inclusive.co.jp/

福島県での取り組みが注目され、広域に展開!

同社は現在、宇宙の技術を通じて地方自治体や行政の業務改革を行う「地方自治体・行政SX」に注力している。

特に、福島県南相馬市では農業行政における効率化や高齢化による人手不足の解消を目指し、衛星データを活用したサービスの実証開発を実施、導入に至っている。また、近隣の市町村を巻き込んで実証実験を進めている。

課題と解決方法

農業分野における行政の業務として、例えばその土地で栽培されている作物が補助金の申請内容と同じものかを確認する業務や、作付けがされず荒れた耕作放棄地の状況を確認する業務がある。

これらの業務では従来、現地に足を運ぶ必要があるため職員の負担が大きいことが課題となっていた。この問題は、職員の高齢化に伴って、ここ数年、より浮き彫りになっている。

この問題を解決するため、LAND INSIGHTは南相馬市を中心に人工衛星のデータとAI解析を活用したサービスの実証実験を展開する。

このサービスでは、衛星画像を時系列で取得してAIに光の波長の変化を覚えさせることで、作物ごとの生育パターンの種類(米、小麦、大豆など)を学習させ、そのデータをもとに対象箇所で現在育てられている作物の種類を自動で判別できる。

これにより、職員が現地調査に出向く工数が大幅に削減され補助金対象の作物が正しく栽培されているかを効率的に確認できるようになるのだ。

また、上記の課題の解決策としてはドローンの活用も挙げられるが、同社によると、衛星の方が広域に対応でき、かつ安価である点に優位性があるという。

衛星サービスのイメージ
「衛星サービスのイメージ」 出典:INCLUSIVE株式会社(https://inclusive.co.jp/

広域展開でデータ活用コスト削減も

衛星データは広域的に取得できるため、近くに位置する複数の地域で連携することによって、データ活用のコストを削減可能となる。

同社の実証実験でも、福島県沿岸部にある南相馬市を起点に周辺の22市町村と連携。さらに福島県内陸側や宮城県南部、茨城県北部、栃木県那須地域にも拡大されており、コスト効率が高まっている。

同社のサービスはこれらの地域で、効率的な農地管理のモデルケースとして注目されているのだ。

今後の展望

同社は今後の展望として、現在取り組んでいる農業行政向けサービスにおけるユーザーや顧客の増加を軸に、得られた資金やノウハウを新事業拡大に活用する予定だ。

農業行政向けサービスは自治体の業務効率化や人手不足の解消に直結するため、需要が高い。同社は今後ニーズに応じた提案を強化し、全国規模での利用拡大を計画している。

また、カーボンクレジット市場に向けた森林モニタリングによる炭素吸収量の測定や森林の管理といった新たなサービスの開発・調査研究も進めており、これらの新規事業に農業行政向けサービスで得られた知見を活用していく。

さらに、国内で実績・事例を積み上げた後には、海外展開も見据えているとのことだ。

さいごに

いかがでしたか。

INCLUSIVEおよびLAND INSIGHTの取り組みは、地域課題を解決するだけでなく、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となっている。

特に、衛星データを活用した新しいサービスの展開は、今後多くの分野での活用可能性を秘めており、地方創生や環境問題への取り組みの鍵となるだろう。

これからもINCLUSIVEグループが社会にどのような価値を提供していくのか、大いに期待が寄せられる。

参考

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