アクセルスペースが経営体制を刷新、上場に向けて前進か
©︎アクセルスペース

株式会社アクセルスペースは、2023年6月1日付で新たな経営体制となったことを発表した。

小型衛星のパイオニアとして日本で影響力のある同社だが、今回の新規経営体制の狙いは一体どこにあるのだろうか。

本記事では、アクセルスペースがこのタイミングで経営体制を刷新した理由について取り上げている。

1分でわかるアクセルスペース

アクセルスペースは、2008年に設立された、日本の小型衛星業界のフロントランナーとして業界をリードする宇宙ベンチャー企業である。

世界初の海氷観測衛星となったウェザーニュース社の『WNISAT-1』を2013年に打ち上げて以来、合計9機の衛星を開発・製造。

日本で初めてJAXAから人工衛星の開発から運用までを委託された宇宙ベンチャー企業ということもあり、人工衛星の開発には定評のある同社。

業界に先駆け、小型衛星の開発・運用のワンストップサービス『AxelLiner』の提供など、人工衛星の開発企業としては、ユニークな取り組みを行なっているのも特徴的だ。

(衛星事業が超手軽に!?アクセルスペースの「AxelLiner」とは)

また最近では、世界のあらゆる地域を高頻度で観測可能にした次世代地球観測プラットフォーム事業『AxelGlobe』の事業拡大も好調なようで、現在、世界80社以上のパートナー企業と連携・利用開拓を進め、数百のクライアント企業に対して、地球観測データを提供している。

宇宙産業におけるハードとソフト、どちらの領域においても存在感を強く示しているのがアクセルスペースである。

追加された経営メンバー

今回、新たに経営陣に加わったのは、7名。

経営基盤の中核であるアクセルスペースホールディングスには、大手金融業界とスタートアップ、どちらの領域においても経験豊富な折原CFO(最高財務責任者)をはじめ、IT業界での人事経験が長い濵田をCHRO(最高人事責任者)に、官民両輪でセキュリティ関連の事案に携わってきた佐々木をCISO(最高情報セキュリティ責任者)に据え、経営基盤の強化を図る模様。

アクセルスペースホールディングスの新経営体制(「*」が新規メンバー) ©︎アクセルスペース

また、事業運営の中心を担うアクセルスペースも同様に経営体制を強化。

宇宙機と情報、この2つの異なる技術の指揮系統を統一するためにCo-CTO体制を採用し、創業メンバーで技術担当の永島と衛星コンステレーションの自動運用に携わってきた國母がCTOに。

AxelLinerの事業本部長の安岡とAxelGlobeの深澤も同様に執行役員に加わったようだ。

アクセルスペースの新経営体制(「*」が新規メンバー) ©︎アクセルスペース
アクセルスペースの新経営体制に参画することになったメンバー ©︎アクセルスペース

経営体制刷新の狙い

同社は、新年度に伴う経営体制刷新の理由として、

  1. 円滑な経営判断のためのDX推進
  2. 組織拡大に伴うHR機能の強化
  3. 強固なセキュリティ基盤の実現
  4. 主要事業のさらなる成長

この4つを挙げている。

とりわけCFOやCHRO、CISO等、社内統制に必要な人材が登用がされたことから、上場を見据えた組織体制の強化が1番大きな狙いであると推測できる。

企業PRの中からも、近い将来の海外展開、攻めのセキュリティの実現やスピード感のある成長等、会社の成長に対して、非常に前向きな言葉が散見されており、社内士気も高まってきていると予想される。

新経営メンバー、一覧 ©︎アクセルスペース

さいごに

いかがでしたか。

今回の経営体制の刷新により、アクセルスペースの新規上場の可能性も高まってきているのではないだろうか。

ispaceの上場に際して、世間の宇宙ベンチャー企業に対する注目度も徐々に変わってきている。

資金調達額の大きさからアストロスケールやシンスペクティブが注目されがちだが、同社の存在も見過ごせない。

今年の8月で創業15周年を迎えるアクセルスペース。

ispaceに続く、第2の宇宙ベンチャー上場企業となるのか。

今後の動向にも目が離せない。

参考:

アクセルスペース、新経営体制のお知らせ

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