
2026年8月20日、QPS研究所が開発・運用する小型SAR(合成開口レーダー)衛星QPS-SAR18号機「スサノオ-Ⅱ」が、Rocket Labの小型ロケット「Electron」によって打ち上げられた。
本記事では、「スサノオ-Ⅱ」の打ち上げ結果に加え、同衛星が投入される軌道の特徴や、QPS研究所が進める衛星コンステレーション構築の進捗について解説する。
QPS-SAR「スサノオ-Ⅱ」の打ち上げ・初交信に成功
QPS-SAR18号機「スサノオ-Ⅱ」は、2026年8月20日22時4分(日本時間)、ニュージーランド・マヒア半島にあるRocket Lab Launch Complex 1から打ち上げられた。
打ち上げに使用されたのは、Rocket Labの小型ロケット「Electron」である。今回のミッションは「The Lightning God Defends(嵐を統べる神が防衛する)」と名付けられ、「スサノオ-Ⅱ」1機を搭載する専用打ち上げとして実施された。
「スサノオ-Ⅱ」は打ち上げから約50分後にElectronから分離し、その約40分後には地上局との初交信にも成功。衛星の各機器は正常に作動しており、衛星の状態も良好であることが確認されている。
今後は引き続き各機器の調整を進め、アンテナの展開や初画像の取得を目指す。
SAR(合成開口レーダー)衛星は、地表に電波を照射し、その反射波を解析することで地表の状態を観測する衛星。太陽光を必要とせず、雲や雨などの影響も受けにくいため、昼夜や天候を問わず観測できる点が特徴。


約2週間で2機打ち上げ、QPS-SARは11機体制へ
QPS研究所は、2026年8月6日にQPS-SAR13号機「ミクラ-Ⅰ」を打ち上げており、今回の18号機「スサノオ-Ⅱ」の打ち上げにより、約2週間で2機のQPS-SARを軌道へ送り出した。
今回の「スサノオ-Ⅱ」は、QPS研究所がこれまで打ち上げてきたQPS-SARとして通算16機目にあたる。
「18号機」という名称だが、QPS-SARの衛星番号は実際の打ち上げ順ではなく、ロケットの打ち上げ契約手続きを行った順に付与されている。そのため、16号機と17号機に先行して18号機が打ち上げられた。
現在、QPS研究所が運用しているQPS-SARは9機である。「ミクラ-Ⅰ」は初画像の取得に向けた調整が進められており、「スサノオ-Ⅱ」も今後、アンテナ展開や初画像取得に向けた初期運用が行われる。
両衛星が順調に運用へ移行すれば、QPS-SARの衛星コンステレーションは11機体制となる。
「スサノオ-Ⅱ」が投入された軌道の特徴
中傾斜軌道で世界の大型都市圏を観測
QPS-SAR18号機「スサノオ-Ⅱ」が投入されたのは、高度575kmの中傾斜軌道である。
QPS研究所によると、同社が採用する中傾斜軌道では、経済活動が活発な世界の大型都市圏が観測範囲に多く含まれる。
極域付近まで広く通過する極軌道とは異なり、観測する緯度帯を絞ることで、人口や経済活動が集中する地域を効率的に観測できる点が特徴だ。
9号機「スサノオ-Ⅰ」と同じ軌道面に
QPS研究所は衛星数を増やすことで、世界中のほぼどこでも特定の地域を平均約10分間隔で観測できる「準リアルタイムデータ提供サービス」の実現を目指している。これまで、1つの軌道面に3機ずつ、12の軌道面に計36機のQPS-SARを配置する衛星コンステレーションの構築を進めてきた。
商用機となる3号機以降は、同じ軌道面に投入する衛星に共通の愛称が付けられている。
今回の「スサノオ-Ⅱ」は、2025年3月に打ち上げられたQPS-SAR9号機「スサノオ-Ⅰ」と同じ軌道面に投入される2機目の衛星である。
同じ軌道面に複数の衛星を配置することで、対象地域を観測できる機会が増え、高頻度な観測体制の構築につながる。
なお、QPS研究所は現在、拡大するSARデータ需要に対応するため、独自の傾斜軌道を軸として、従来の36機を大幅に上回る大規模な衛星コンステレーションへ計画を拡張している。

2028年5月末までに24機体制へ
QPS研究所は、2028年5月末までに24機のQPS-SARを配置する計画を進めている。
同社は、Rocket Labをはじめとする複数のロケット事業者と打ち上げに向けた調整を進めている。2026年7月30日には、Rocket Labと新たにQPS-SAR3機分の打ち上げ契約を締結し、既存契約分と合わせて今後11機をElectronで1機ずつ打ち上げる計画を発表した。
その後、8月6日に13号機「ミクラ-Ⅰ」、8月20日に18号機「スサノオ-Ⅱ」がElectronで打ち上げられたことから、契約済みの未打ち上げ分は残り9機となる計算だ。
また、QPS研究所は複数のロケット事業者と打ち上げに向けた調整を進めており、今後も後続するQPS-SARの打ち上げが順次予定されている。
さらに2030年に向けて衛星数を増やし、大規模な衛星コンステレーションを構築する方針だ。
さいごに
QPS-SAR18号機「スサノオ-Ⅱ」は、打ち上げと初交信に成功し、現在はアンテナ展開や初画像取得に向けた初期運用が進められている。
今回の打ち上げにより、QPS-SARは通算16機目の打ち上げとなった。先行して打ち上げられた13号機「ミクラ-Ⅰ」とともに順調に運用へ移行すれば、QPS研究所の衛星コンステレーションは11機体制となる。
QPS研究所は、2028年5月末までに24機体制を構築し、2030年に向けてさらに衛星数を増やす計画だ。高頻度な地球観測の実現に向け、今後も後続衛星の打ち上げや運用状況が注目される。
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