
2026年6月15日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、H3ロケット9号機による「みちびき7号機」の打ち上げ日を、2026年8月7日に再設定したと発表した。
本記事では、H3ロケット9号機の打ち上げ概要とみちびき7号機の特徴について解説する。
目次
H3ロケット9号機の打ち上げについて
打ち上げ概要
H3ロケット9号機の打ち上げ概要は以下の通り。
- 打ち上げ予定日時:2026年8月7日(金)午前4時30分~午前6時00分
- 打ち上げ場所:種子島宇宙センター 大型ロケット発射場
- 打ち上げ予備期間:2026年8月8日(土)~2026年8月31日(月)
その後、H3ロケット8号機の打ち上げ失敗については、衛星をロケットに固定する部品の一部で剥がれが生じ、フェアリング分離時の衝撃などによって破損が進んだことが、主要因であった可能性が極めて高いとされた。
JAXAや三菱重工業株式会社は再発防止に向けて、衛星を支える部品の接着部分を見直すなどの対策を進めた。こうした原因究明と対策の検討を経て、2026年6月12日にはH3ロケット6号機の打ち上げに成功。その後、H3ロケット9号機の新たな打上げ日程も発表された。
9号機の飛行計画
9号機はみちびき7号機を搭載し、種子島宇宙センター大型ロケット発射場より打ち上げられる。
打上げから約5分07秒後に第1段・第2段を分離し、約5分20秒後に第2段エンジンの第1回燃焼を開始する。その後、約12分53秒後に第1回燃焼を停止し、約24分28秒後に第2回燃焼を開始。約28分50秒後に第2回燃焼を停止した後、打上げから約29分10秒後にみちびき7号機を分離する計画である。


みちびき7号機について
準天頂衛星システム「みちびき」とは
準天頂衛星システム「みちびき」は、準天頂軌道衛星※1や静止軌道衛星などによって構成される、日本独自の衛星測位システムである。
衛星測位システムとは、衛星から送信される電波を利用して、地上の位置情報を算出する仕組みを指す。受信機が4機以上の測位衛星から同時に電波を受信し、それぞれの電波が届くまでの時間差をもとに、現在の位置や時刻を割り出す。
その代表例が、アメリカのGPSである。GPSは通常30機前後の測位衛星で運用され、地球全体をカバーしている。しかし、日本のように山岳地帯や高層ビルが多い地域では、建物や地形によって電波が遮られ、受信できる衛星の数が少なくなる場合がある。その結果、位置情報が不安定になったり、測位精度が低下したりすることがある。
そこで日本では、GPSを補完する衛星測位システムとして、みちびきの整備が進められてきた。みちびきは、日本とアジア・オセアニア地域を主な対象としており、GPSと組み合わせて利用することで、日本周辺で受信できる測位衛星の数を増やし、位置情報の安定性向上に貢献している。
みちびき7号機の役割
みちびき7号機は、準天頂衛星システムの7機体制構築に向けて開発された衛星であり、準静止軌道※2に投入される予定である。
当初、みちびきは、既存の運用機に5号機・6号機・7号機を加えることで、7機体制へ移行する計画であった。しかし、2025年12月に打ち上げられたみちびき5号機は予定軌道への投入に至らず、喪失したとされている。そのため、みちびき7号機が打ち上げられても、直ちに7機体制が完成するわけではない。
一方で、みちびき7号機は、7機体制の実現に向けた重要な衛星であることに変わりはない。準静止軌道衛星として、衛星測位サービスの安定性向上や、将来的な7機体制への移行を支える役割を担う。

みちびき7号機の大きな特徴は、新たな高精度測位技術「ASNAV(Advanced Satellite Navigation System)」を搭載する点にある。ASNAVは、衛星の位置や時刻情報のわずかなズレを補正することで、測位誤差を低減する技術であり、以下の2つのシステムで構成されている。
- 衛星間測距システム:衛星同士の距離を直接測定し、各衛星の位置誤差を相互に補正する。
- 衛星/地上間測距システム:衛星と地上局の間で双方向通信を行い、信号の到達時間に依存していた従来方式の誤差を打ち消す。
通常の衛星測位では、衛星の位置情報と電波の到達時間をもとに、地上の位置を算出する。しかし、衛星の軌道情報や時刻に微小なズレが生じると、地上で推定される位置にも誤差が発生する。
ASNAVは、このズレを抑えることで、測位精度の向上を目指す技術である。今後、ASNAVを搭載した衛星が増えていけば、スマートフォンやカーナビなど一般利用者が利用する測位サービスでも、位置情報の精度向上が期待される。
さいごに
H3ロケット9号機によるみちびき7号機の打上げは、準天頂衛星システムの7機体制構築に向けた重要なミッションである。
みちびき5号機の喪失により、当初想定されていた7機体制への移行は遅れる見通しとなったが、7号機は準静止軌道を担う衛星として、今後のみちびきの安定運用を支える役割を持つ。
H3ロケットにとっても、8号機の打上げ失敗を受けた原因究明と対策を経て、後続ミッションを着実に進められるかが問われる打上げとなる。みちびきの拡充とH3の信頼性確立という両面から、9号機の打上げに注目が集まる。
宇宙業界では現在、様々な企業が人材を募集している。興味のある方は、業界特化型の人材マッチングサービス「スぺジョブ」をチェックしていただきたい。













