H3ロケットの打上げ実績とスケジュール|日本の宇宙輸送を担う基幹ロケット
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H3ロケットは、日本の宇宙輸送を担う次世代基幹ロケットとして、2023年の初号機打上げ以降、試験と実運用の両面で運用実績を積み重ねてきた。

本記事では、H3ロケットの概要と直近の打上げスケジュール、そしてこれまでの打上げ実績について整理する。

H3ロケットとは

H3ロケットは、JAXAと三菱重工業が共同で開発した、日本の次世代基幹ロケットである。従来のH-IIAロケットの後継として位置付けられ、政府ミッションに加え、商業打上げ市場での競争力確保も視野に入れて設計されている。

最大の特徴は「高信頼性」を維持しながら「低コスト化」と「打上げの柔軟性」を両立させようとしている点にある。従来の日本のロケットは信頼性の高さが評価される一方で、コスト面では国際競争力に課題があった。

そのため、打上げコストについては、H-IIAロケットと比較して約半分程度まで低減することを目標にしており、最軽量形態で1回あたり約50億円規模での打上げを想定している。

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次の打上げ予定

2026年10月20日現在、H3ロケットの次回打ち上げ日時は正式に発表されていない。

今後は、新型宇宙ステーション補給機「HTV-X2」などの打ち上げが計画されている。

H3ロケットの打上げ実績とスケジュール

H3ロケットは、2023年の初号機打上げ以降、段階的な検証と改良を重ねながら打上げ実績を積み上げてきた。以下では、これまでの各号機の打上げ実績を整理する。

1号機

1号機(試験機1号機)では、H3ロケットの初飛行として、地球観測を目的とした先進光学衛星「だいち3号(ALOS-3)」の打上げが実施された。

打上げは、2023年3月7日10時37分55秒(日本標準時)に種子島宇宙センターから行われ、第1段エンジンの燃焼および1段・2段分離までは計画どおりに進行した。

しかし、第2段エンジンが着火せず、所定の軌道への投入が不可能と判断されたことから、飛行中に指令破壊信号が送られ、ミッションは失敗に終わった。

打上げ日2023年3月7日(火)
時間10時37分
場所種子島宇宙センター
ペイロードだいち3号(ALOS-3)

2号機

2号機(試験機2号機)では、H3ロケットの飛行実証および性能確認を主目的としたミッションが実施された。本機は初号機と同様の機体形態を採用し、開発の妥当性を検証する位置付けで打上げが行われている。

打上げは、2024年2月17日9時22分55秒(日本標準時)に種子島宇宙センターから実施され、ロケットは計画どおり飛行した。第2段機体は所定の軌道への投入に成功し、打上げから約16分43秒後には小型衛星「CE-SAT-IE」の分離も確認されている。

また本ミッションでは、ロケット性能確認用ペイロード(VEP-4)の分離に加え、小型副衛星「TIRSAT」への分離信号送出や、第2段機体の制御再突入といった一連の機能も検証された。

打上げ日2024年2月17日(土)
時間9時22分55秒
場所種子島宇宙センター
ペイロード模擬衛星
小型副衛星2基(CE-SAT-IE、TIRSAT)

3号機

3号機では、地球観測を目的とした先進レーダ衛星「だいち4号(ALOS-4)」の打上げが実施された。本衛星は、宇宙航空研究開発機構が開発した陸域観測技術衛星2号「だいち2号」の後継機にあたり、災害監視や地殻変動の把握などへの活用が想定されている。

打上げは、2024年7月1日12時6分42秒(日本標準時)に種子島宇宙センターから行われ、ロケットは計画どおり飛行した。打上げから約16分34秒後、ALOS-4は正常に分離され、所定の軌道への投入に成功している。

打上げ日2024年7月1日(月)
時間12時6分42秒
場所種子島宇宙センター
ペイロードだいち4号(ALOS-4)

4号機

4号機では、防衛用途の通信インフラを担うXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」の打上げが実施された。本衛星は、安定した通信環境の確保を目的とし、静止軌道での運用が想定されている。

打上げは、2024年11月4日15時48分(日本標準時)に種子島宇宙センターから行われ、H3ロケットとして初めて静止トランスファ軌道(GTO)への投入ミッションが行われた。ミッションは計画どおり進行し、衛星の軌道投入に成功している。

また本ミッションでは、将来の高付加価値ミッションに向けた技術実証として、長時間の宇宙飛行(ロングコースト)および2段エンジンの再着火に関するデータ取得も実施された。

打上げ日2024年11月4日(月)
時間15時48分
場所種子島宇宙センター
ペイロードXバンド防衛通信衛星「きらめき3号」
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H3ロケット9号機、打ち上げ成功|「みちびき7号機」を予定軌道へ
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5号機

5号機では、日本の測位インフラである準天頂衛星システム(QZSS)の一環として、「みちびき6号機」の打上げが実施された。本衛星は、GPSの補完・補強機能を担い、日本およびアジア太平洋地域における測位精度の向上を目的としている。

打上げは2025年2月2日17時30分(日本標準時)に種子島宇宙センターから行われ、H3ロケット(H3-22S形態)は計画どおりに飛行した。その後、衛星の静止トランスファ軌道への投入に成功している。

打上げ日2025年2月2日(日)
時間17時30分
場所種子島宇宙センター
ペイロードみちびき6号機

7号機

7号機では、国際宇宙ステーション(ISS)への物資補給および技術実証を目的とした新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」の打上げが実施された。HTV-Xは、従来の補給機「こうのとり(HTV)」の後継機として開発され、物資輸送能力の向上や将来の有人宇宙活動に向けた技術実証を担う機体である。

打上げは、2025年10月26日9時00分15秒(日本標準時)に種子島宇宙センターから行われ、ロケットは計画どおり飛行した。打上げから約14分4秒後、HTV-X1は正常に分離され、所定の軌道への投入に成功している。

また本ミッションは、H3ロケットにおいて最大能力となる「H3-24W形態」(固体ロケットブースタ4本搭載)の初飛行であり、大型貨物輸送やISS補給といった高負荷ミッションへの対応能力を実証する位置付けでもあった。

打上げ日2025年10月26日(日)
時間9時00分15秒
場所種子島宇宙センター
ペイロード新型宇宙ステーション補給機「HTV-X1」

8号機

8号機では、準天頂衛星システム(QZSS)の一環として「みちびき5号機(QZS-5)」の打上げが実施された。準天頂衛星システムは、日本国内において常時天頂付近に衛星を配置することを目的とし、複数の軌道面に配置された衛星を組み合わせて運用される測位インフラである。

打上げは、2025年12月22日10時51分30秒(日本標準時)に行われ、第2段エンジンの第1回燃焼終了時点では所定の地球周回軌道(パーキング軌道)への投入に成功した。

しかし、第2段エンジンの第2回燃焼が正常に立ち上がらず早期停止したことにより、最終的な目標軌道への投入には至らず、ミッションは失敗とされた。

打上げ日2025年12月22日(月)
時間10時51分30秒
場所種子島宇宙センター
ペイロードみちびき5号機

6号機

6号機は、第一段のメインエンジン「LE-9」を3基搭載し、補助の固体ロケットブースター「SRB-3」を装着しない「30形態」の初打上げであった。性能確認用模擬ペイロード(VEP-5)と小型副衛星6機を搭載した。

打上げは、2026年6月12日9時53分59秒(日本標準時)に行われ、メインミッションとなる第2段エンジンの軌道投入に成功。

また、衛星に加わる衝撃を低減する、新規開発された超小型衛星搭載アダプタが搭載され、その性能も実証された。

打上げ日2026年6月12日(金)
時間9時53分59秒
場所種子島宇宙センター
ペイロード性能確認用模擬ペイロード(VEP-5)
小型副衛星6機

9号機

9号機は、第1段のメインエンジン「LE-9」を2基、固体ロケットブースター「SRB-3」を2本搭載した「H3-22S」形態であり、準天頂衛星システム「みちびき7号機」を搭載した。8号機の原因究明を踏まえた対策が機体に施されている。

打ち上げは、2026年8月11日4時23分31秒(日本標準時)に行われた。ロケットは計画どおり飛行し、打ち上げから約29分4秒後に「みちびき7号機」を正常に分離。所定の軌道への投入に成功した。

打ち上げ日2026年8月11日(火)
時間4時23分31秒(日本標準時)
場所種子島宇宙センター
ペイロード準天頂衛星システム「みちびき7号機」

10号機

10号機は、第1段のメインエンジン「LE-9」を2基、固体ロケットブースター「SRB-3」を4本搭載し、ロングフェアリングを採用した「H3-24L」形態の初飛行となった。火星衛星探査機「MMX」を搭載し、H3ロケットとして初めて惑星探査ミッションを担った。

打ち上げは、2026年10月20日4時41分03秒(日本標準時)に種子島宇宙センターから行われた。ロケットは計画どおり飛行し、打ち上げから約1時間11分13秒後にMMXを正常に分離。軌道への投入に成功した。

H3ロケットによる地球周回軌道向けの衛星輸送に加え、惑星探査機の打ち上げ実績を積み重ねたことになる。

打ち上げ日2026年10月20日(火)
時間4時41分03秒
場所種子島宇宙センター
ペイロード火星衛星探査機「MMX」
打ち上げ結果成功(MMXの正常分離を確認)

さいごに

H3ロケットは、2023年の初号機打ち上げから2026年10月の10号機まで、計10回の打ち上げを実施してきた。1号機と8号機では失敗を経験したものの、9号機に続き、10号機でもMMXの軌道投入に成功し、運用実績をさらに積み重ねている。

特に10号機では、H3-24L形態の初飛行に成功するとともに、惑星探査機の輸送実績を獲得した。30形態や24形態など、異なる機体構成での打ち上げ成功が重なり、H3ロケットが対応できるミッションの幅は広がりつつある。

今後は、こうした実績を踏まえ、安定した打ち上げ頻度の確保とコスト目標の達成が重要となる。政府ミッションを支える基幹ロケットとしての役割に加え、商業打ち上げ市場での競争力をどこまで高められるかが注目される。

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スぺジョブ

参考

JAXA|H3ロケットーHP