インターステラテクノロジズとスペースワン、最大120億円の宇宙戦略基金「STAND」に採択
©Space Connect

2026年10月30日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙戦略基金の技術開発テーマ「民間ロケット打上げ実証加速化(STAND)」の採択結果を公表した。

今回採択されたのは、小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」を開発する@インターステラテクノロジズ株式会社(以下、インターステラテクノロジズ)と、小型ロケット「カイロス」を開発するスペースワン株式会社(以下、スペースワン)の2社である。

本記事では、STANDの概要や両社の採択内容、民間ロケットの商用化に向けた今後の展開について解説する。

宇宙戦略基金「STAND」とは

民間ロケットの複数回打ち上げを支援する制度

「民間ロケット打上げ実証加速化(STAND)」は、事業化初期段階にある民間ロケット事業者を対象に、複数回の打ち上げを通じた技術開発・実証を支援する制度である。

民間ロケットの商用化には、打ち上げ実績を積み重ね、衛星事業者からの信頼を獲得することが重要となる。

しかし、事業化初期段階では実績が少ないため顧客を獲得しにくく、次の打ち上げに必要な資金の確保も難しいという課題がある。

こうした課題に対応するため、STANDでは、複数回の打ち上げ実証に加え、ロケットの信頼性向上や低コスト化、製造・運用工程の改善などを支援。

これにより、打ち上げ実績の蓄積とサービスの信頼性向上を促し、国際競争力のある民間宇宙輸送サービスの早期事業化を目指している。

1件あたり最大120億円、最大6回の打ち上げ実証を支援

JAXAの公募要領によると、STANDの支援総額の上限は240億円で、1件あたり最大120億円の支援を想定している。

STANDは、1件あたり最大6回の打ち上げ実証を基本としており、事業の進捗に応じて段階的な評価(ステージゲート評価)が実施される。

項目内容
技術開発テーマ民間ロケット打上げ実証加速化(STAND)
支援総額の上限240億円
1件あたりの支援上限額120億円
打ち上げ実証回数原則最大6回
採択企業2社
事業期間2031年3月まで(予定)

なお、120億円は1件あたりの支援上限額であり、今回の採択によって各社に同額の交付が決定したわけではない。

また、打ち上げ実証回数や支援額は、今後の事業進捗や評価結果などによって変更される可能性がある。

宇宙業界の人材マッチングサービス スぺジョブ 広告バナー
[PR]

STANDに採択された2社の取り組み

今回採択されたインターステラテクノロジズとスペースワンは、いずれも小型人工衛星の打ち上げサービスの商用化を目指す国内企業である。

JAXAが公表した採択結果では、両社の技術開発課題が以下のように示されている。

採択企業技術開発課題
インターステラテクノロジズ国際競争力のある高頻度打上げサービス実現に向けた技術開発
スペースワン民間小型ロケットの複数回打上げ実証と固体増強型ロケットの開発・実証

インターステラテクノロジズ|ZEROの複数回打ち上げ実証へ

インターステラテクノロジズは、北海道大樹町に本社を置き、ロケットや人工衛星の開発・製造、宇宙輸送サービスなどを手がける企業である。

現在開発を進めている「ZERO」は、小型人工衛星の軌道投入を目的とした2段式液体ロケットだ。

小型ロケット「ZERO」
小型ロケット「ZERO」©インターステラテクノロジズ株式会社

同社はこれまで、文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)」を通じてZERO初号機の開発に取り組んできた。同事業における累計の交付上限額は193.7億円となっている。

今回のSTANDでは、ZERO初号機で培った技術を発展させ、2号機以降の複数回の打ち上げ実証を通じて、宇宙輸送サービスの商用化を目指す。

具体的には、打ち上げで得られる飛行データや運用実績を蓄積し、機体設計の改良や製造工程・運用方法の改善を進める。

これにより、ロケットの打ち上げ能力や信頼性、運用性、生産性を向上させ、継続的な商用打ち上げに対応できる体制を構築する方針である。

また、同社は2026年1月にウーブン・バイ・トヨタ株式会社をリード投資家として、シリーズFで総額201億円の資金調達を完了しており、同社およびトヨタ自動車株式会社との業務提携を通じて、ZEROの商用化を見据えた製造体制の構築にも取り組んでいる。

▶インターステラテクノロジズの詳細はこちら

スペースワン|カイロスの打ち上げ実証と固体増強型ロケットの開発

スペースワンは、小型固体ロケット「カイロス」を開発し、人工衛星の打ち上げサービス「宇宙宅配便®」の実現を目指す企業である。

和歌山県串本町・那智勝浦町にまたがる自社射場「スペースポート紀伊」を拠点に、ロケットの開発・打ち上げ実証を進めている。

カイロスは、2024年3月に初号機、同年12月に2号機、2026年3月に3号機を打ち上げたものの、いずれも予定していたミッションの完遂には至っていない。

3号機の打ち上げでは、飛行中に飛行中断措置を実施。2026年8月には、機体に蓄積した静電気による電気ノイズが通信異常を引き起こした可能性が高いと発表。4号機に向けて静電気対策や通信機器の改善を進める方針である。

こうした打ち上げ実証と並行して、機体の性能向上に向けた開発も進めている。

文部科学省のSBIRフェーズ3事業では、打ち上げ能力や衛星投入精度の向上を目指す「増強型カイロス」の研究開発に取り組んでいる。同事業における累計の交付上限額は約64.2億円となっている。

今回のSTANDでは、「民間小型ロケットの複数回打上げ実証と固体増強型ロケットの開発・実証」が採択された。

同社は、こうした開発や打ち上げ実証を通じて、商用宇宙輸送サービスの実現を目指している。

▶スペースワンの詳細はこちら

宇宙ビジネスのニュースを、Googleでも Googleでフォロー

さいごに

STANDは、事業化初期段階にある民間ロケット事業者の複数回打ち上げ実証を支援し、ロケットの信頼性向上や早期商用化を後押しする。

インターステラテクノロジズとスペースワンの両社は、それぞれZEROとカイロスの開発・実証を進めながら、持続的な宇宙輸送サービスの実現を目指す。

日本の民間ロケットが継続的な商用打ち上げを実現できるか、今後の実証成果と事業化の進展が注目される。

宇宙業界では現在、様々な企業が人材を募集している。興味のある方は業界特化型プラットフォーム「スペジョブ」をぜひチェックしていただきたい。

スぺジョブ

参考

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

フォローで最新情報をチェック

おすすめの記事