アストロスケール仏法人、HEMERIAと提携へ|高度3万6000kmで他衛星に接近・観測
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2026年9月15日、アストロスケールのフランス法人Astroscale Franceと仏宇宙企業HEMERIAは、静止軌道(GEO)で運用する小型衛星の開発に向け、戦略的提携を構築する計画を発表した。

両社は、他の衛星などへ接近して近距離から観測するRPO(ランデブ・近傍運用)技術を活用し、防衛や政府、民間・軍事の双方で利用する市場への展開を目指す。

本記事では、両社が開発を目指す小型衛星の役割や、なぜ静止軌道で他の宇宙物体へ接近する必要があるのかを解説する。

アストロスケールとHEMERIAが小型衛星を開発へ

Astroscale FranceとHEMERIAが開発を目指すのは、静止軌道で機動し、他の衛星などへ接近して観測できる小型衛星である。

共同開発では、HEMERIAが衛星プラットフォームを提供し、Astroscale FranceがRPO(ランデブ・近傍運用)技術と関連するペイロードを担当する。

HEMERIAは、防衛・政府向けを含む宇宙システムの設計・製造を手がけており、フランスのGEO実証計画「YODA」では、静止軌道で機動する小型衛星の開発経験を蓄積してきた。

アストロスケールは、対象物への接近や観測、点検、デブリ除去などに用いるRPO技術を開発している。商業デブリ除去実証衛星「ADRAS-J」では、位置情報を発信しないロケット上段へ接近し、周囲を飛行しながら撮像する周回観測や、約15mまでの接近に成功した。

今回の計画では、こうした両社の技術と実績を組み合わせる。想定する顧客は、防衛機関や政府機関、デュアルユース分野の利用者で、フランス国内に加えて海外市場への展開も計画している。

※静止軌道とは

地上から約3万6000kmの高度に位置し、衛星が地上から見てほぼ同じ位置にとどまり続ける軌道

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なぜ静止軌道で「衛星に近づく」必要があるのか

今回の計画で重要なのは、接近・観測の対象となるのが静止軌道(GEO)である点だ。

静止軌道は地上約3万6000kmに位置し、戦略通信や気象サービス、国家安全保障を支える衛星など、重要な宇宙インフラが集まっている。こうした衛星を巡っては、安全保障上の問題も現実に起きている。

フランスでは2017年、ロシアの衛星「Luch-Olymp」が、フランスとイタリアが運用する軍事通信衛星「Athena-Fidus」の近くに約3カ月間とどまった。フランス政府は、通信の傍受を目的としたスパイ行為だったとの見方を示しており、この事例はフランスが宇宙防衛能力を強化する契機の一つとなった。

宇宙空間ではこのほかにも、衛星通信への妨害やサイバー攻撃、衛星そのものを無力化する対衛星能力等の開発もいくつかの国で進められている。そのため、重要な衛星の周辺でどのような宇宙物体が活動しているのかを把握し、必要に応じて対象物が何をしているのかを詳しく確認する能力が求められる。

しかし、地上のレーダーや望遠鏡による監視だけでは、対象物の形状や状態、具体的な挙動まで詳しく把握するには限界がある。

そこで活用されるのがRPO(ランデブ・近傍運用)である。衛星が自ら軌道や速度を調整して対象物へ接近し、その周囲を飛行しながら観測することで、対象物を詳しく確認できる。Astroscale FranceとHEMERIAが目指しているのは、こうした監視・確認を静止軌道上で行える小型衛星であるのだ。

フランスがGEOでの運用能力を国内構築へ

今回の提携では、静止軌道での接近・観測能力をフランス国内で構築し、フランスが自律的に保有・運用できるGEO能力につなげることが大きな狙いとなる。

その実現に向けて両社が重視しているのが、開発期間やプログラムリスク、コストの削減である。従来の大規模なGEO開発計画では数億ユーロ規模の投資が必要になる場合があり、より短期間かつ導入しやすい形で高度なGEO能力を構築することを目指している。

そのため今回の共同開発では、HEMERIAが持つ衛星プラットフォームと、Astroscale FranceのRPO技術や関連ペイロードを組み合わせる。既存の技術基盤を活用することで、開発を加速するとともに、プログラムリスクを抑え、GEOでの運用能力の早期実現につなげる方針だ。

さらに、フランスで構築したGEO能力は、防衛や政府、デュアルユース分野の海外市場にも展開する計画である。同盟国などへの提供も視野に入れ、フランスの宇宙産業基盤を強化しながら、各国で高まるGEO能力への需要に対応していく。

さいごに

今回の提携から見えるのは、アストロスケールがデブリ除去や軌道上サービスで培ってきたRPO技術の用途が、宇宙安全保障の分野にも広がっていることである。

通信や国家安全保障を支える衛星が集まる静止軌道では、周辺を飛行する宇宙物体の状態や挙動を詳しく把握する能力が求められている。Astroscale FranceとHEMERIAは、この需要に対してフランス国内でGEO向けの接近・観測能力を構築し、海外市場への展開も目指す。

今後、具体的な衛星仕様や開発スケジュール、顧客が明らかになれば、今回の構想がどのようなミッションとして実用化されるのかが見えてくるだろう。

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参考

アストロスケール 公式発表

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