内閣府と米FAA、商業宇宙輸送で連携|安全基準や許認可の調和へ
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内閣府宇宙開発戦略推進事務局は2026年9月1日、米連邦航空局(FAA)との間で、国際商業宇宙輸送に関する協力覚書に署名したと発表した。

覚書では、ロケットの打ち上げや再突入、有人宇宙飛行、宇宙港などを対象に、安全基準やリスク管理基準、適合性評価における共通事項を検討する。

本記事では、協力覚書の内容と日米が規制調和を進める背景、商業宇宙企業への影響について解説する。

内閣府とFAAが商業宇宙輸送の協力覚書に署名

協力覚書は2026年8月31日、内閣府宇宙開発戦略推進事務局の龍崎孝嗣局長と、米連邦航空局のブライアン・ベッドフォード長官によって署名された。

覚書を結んだ米FAAのブライアン・ベッドフォード長官(左)と内閣府の龍崎孝嗣事務局長(右)
覚書を結んだ米FAAのブライアン・ベッドフォード長官(左)と内閣府の龍崎孝嗣事務局長(右)(出典:内閣府)

正式名称は「内閣府宇宙開発戦略推進事務局と米国連邦航空局との間の国際商業宇宙輸送に係る協力覚書」

商業宇宙輸送に関するベストプラクティスを共有するとともに、産業標準を推進し、日米双方が関心を持つ分野やプロジェクトで協力することを目的としている。

FAAは米国において、民間企業によるロケットの打ち上げや宇宙船の再突入、商業宇宙港などを規制・認可する機関である。米国内だけでなく、米国の事業者が国外で実施する商業打ち上げや再突入についても許認可を担っている。

龍崎局長は、今回の覚書を通じて日米両国の法令や基準の調和を図り、安全で信頼性の高い商業宇宙輸送の拡大を目指す考えを示した。ベッドフォード長官も連携を深める意向を表明し、今後も定期的に会合を実施することを両者で確認している。

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商業宇宙輸送の安全基準を調和

今回の覚書では、法令や規制に関する情報交換、安全基準やリスク管理基準、適合性評価における共通事項の検討、会議の共同開催など、主に4つの協力活動が示された。

内閣府と米FAAによる主な協力内容
内閣府と米FAAによる主な協力内容 ©︎Space Connect

共通事項を検討する対象には、ロケットや宇宙船の打ち上げ・再突入だけでなく、サブオービタル飛行、有人宇宙飛行、宇宙港も含まれている。

サブオービタル飛行とは、宇宙空間へ到達するものの、地球を周回する軌道には入らず地上へ戻る飛行である。宇宙旅行や高速輸送、微小重力実験などへの利用が想定されている。

日米はこれらの分野について、安全基準やリスク管理基準に加え、製品やサービスなどが規格や基準を満たしているか確認する「適合性評価」の共通事項も検討する。

ただし、今回の覚書で示されたのは、こうした分野について共通事項を検討していく方針までである。今後の協議では、具体的な調和の対象や制度への反映方法が整理されていくことになる。

現時点では、審査の共通化そのものを決定した段階ではなく、日米の規制当局が基準の調和に向けて継続的に協議する枠組みを整えた段階と捉える必要がある。

国際的な宇宙輸送で課題となる二重の許認可

国外での打ち上げには複数の許認可が必要になる場合も

FAAによると、米国の商業宇宙事業者が国外で打ち上げや再突入を行う場合でも、FAAの許認可が必要となる。加えて、実施国の規制にも従う必要があるため、事業者には複数国の制度への対応が求められる。

一方、外国の商業ロケットや再突入機を米国内で運用する場合も、FAAの許認可対象となる。

日本では宇宙活動法に基づき、人工衛星等の打ち上げ許可やロケットの型式認定、打ち上げ施設の適合認定などを内閣府が担っている。

こうした国ごとの制度の違いは、海外で宇宙輸送事業を展開する際の手続き負担につながる。FAAは、各国で共通する規制基盤を整えることで、国際的な宇宙輸送における不要な手続きの重複を減らせるとしている。

日米で安全基準や評価方法の共通点を整理することで、将来的にはこうした手続きの重複や事業者の負担軽減につながる可能性がある。

米国は年間1,000回超の輸送体制を計画

米国では2026年8月20日、新たな「国家宇宙輸送政策」が公表された。同政策は2030年までに、年間1,000回を超える打ち上げ・再突入を支えられる体制の構築を目標としている。

政策には、射場や再突入拠点の拡張だけでなく、米国の宇宙輸送能力や標準の海外展開、市場アクセスの拡大、各国との規制調和を進める方針も盛り込まれた。

今回の日米協力覚書が同政策に基づく取り組みであるとは発表されていないが、一方、米国が商業宇宙輸送の高頻度化と国際展開を進めるなか、国外での安全基準や許認可制度を調和する重要性は高まっている。

米国の国家宇宙輸送政策については、以下の記事で詳しく解説している。

さいごに

内閣府宇宙開発戦略推進事務局とFAAが署名した協力覚書では、打ち上げや再突入、サブオービタル飛行、有人宇宙飛行、宇宙港などを対象に、法令や安全基準の調和を進める方針が示された。

今回の署名によって審査制度が直ちに共通化されるわけではないが、日米の許認可当局が継続的に協議する枠組みが設けられた意義は大きい。

今後は、安全基準やリスク管理基準、適合性評価について、日米がどのような共通事項を具体的に検討していくのかが注目される。具体的なワーキンググループや制度設計が示されれば、日米の宇宙企業が相手国で事業を展開する際の手続きにも影響するだろう。

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参考

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