日本のロケット発射場まとめ|種子島・内之浦・北海道など主要拠点を整理
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ロケットを打ち上げる場所といえば、まずは種子島宇宙センターを思い浮かべる人が多いだろう。しかし、日本には用途や運用主体の異なる複数のロケット発射拠点が存在する。

JAXAが運用する伝統的な発射場に加え、近年は民間企業によるスペースポート整備も進み、日本の打ち上げインフラは徐々に多様化している。

本記事では、日本の主要なロケット発射場を一覧で整理し、それぞれの特徴と役割、海外の発射場との違いについても解説する。

日本のロケット発射場一覧

日本の主なロケット発射場は以下の通りである。

日本のロケット発射場一覧
日本のロケット発射場一覧 ©Space Connect

1| 種子島宇宙センター

種子島宇宙センター
種子島宇宙センター ©JAXA

種子島宇宙センターは、日本最大かつ中核となるロケット発射場であり、H-IIAおよび次世代主力機H3ロケットの打ち上げが行われている。

南西諸島に位置するため東向きに広い海域を確保でき、静止軌道や太陽同期軌道への打ち上げに適した立地条件を持つ。大型ロケットの組立棟(VAB)、射点、追跡設備などが一体となった総合宇宙港であり、日本の宇宙輸送インフラの中心である。

近年はH3ロケットの開発・実証が進められ、今後は打ち上げ頻度の増加や商業打ち上げの拡大が期待されている。

2| 内之浦宇宙空間観測所

内之浦宇宙空間観測所
内之浦宇宙空間観測所 ©JAXA

内之浦宇宙空間観測所は、固体ロケットの打ち上げ拠点として運用されている発射場であり、現在はイプシロンロケットの主な射場となっている。
1960年代から運用されている歴史ある施設で、日本初の人工衛星「おおすみ」が打ち上げられた場所でもある。

液体ロケット用の大規模設備を必要としない固体ロケットの特性を活かし、科学衛星や技術実証衛星の打ち上げに適している。比較的小規模な施設ながら、日本の科学ミッションを支える重要拠点である。

3| 北海道スペースポート

北海道スペースポート(将来イメージ)
北海道スペースポート(将来イメージ)©SPACE COTAN株式会社

北海道スペースポートは、北海道大樹町に整備が進められている民間主体の宇宙港であり、日本の商業宇宙輸送の拠点として注目されている。広大な土地と太平洋に面した立地を活かし、観測ロケットから将来的な軌道投入ロケットまで対応する計画が進んでいる。

インターステラテクノロジズが観測ロケット「MOMO」の打ち上げ、台湾のロケット会社なども打ち上げを実施しており、日本国内で最も頻繁にロケットが打ち上げられている場所の一つになりつつある。また、滑走路型宇宙機や将来の再使用型ロケットを見据えた拡張計画も進められている。

4| スペースポート紀伊

スペースポート紀伊は、和歌山県串本町に整備された日本初の本格的な民間軌道ロケット発射場である。
スペースワンが小型衛星打ち上げロケット「カイロス」の打ち上げ拠点として整備した施設であり、民間企業主体で軌道投入を目指す日本初の試みとして注目を集めている。

小型衛星コンステレーション需要の拡大を背景に、迅速な打ち上げサービスを提供することを目的としており、将来的には打ち上げ頻度の向上が期待されている。

海外の発射場との比較

世界に目を向けると、日本の発射場数は決して極端に少ないわけではない。しかし、年間の打ち上げ回数だけを見ると、アメリカや中国と比べて差があるのが現状である。

宇宙輸送体制の特徴を整理すると、次のような違いがある。

・アメリカ:発射場が多く、民間企業が主導する分散型
・中国:数か所の発射場に集約し、国家主導で高頻度打ち上げを行う集中型

アメリカではSpaceXやRocket Lab、ULAなど複数の企業が並行して打ち上げを行っており、民間需要の拡大が打ち上げ回数の増加を支えている。また、軍・NASA・民間がそれぞれ異なる射場を利用する体制が確立されている。

一方、中国は発射場の数自体は多くないものの、国家主導で衛星コンステレーションや宇宙ステーション補給などの計画を進めており、年間の打ち上げ回数を急速に増やしている。
特に近年は商業ロケット企業の参入も進み、打ち上げ能力の拡大が続いている。

ロケット発射場の多様化も進む

従来、ロケットの打ち上げは地上の発射場から行うのが一般的であった。しかし近年は、小型衛星市場の拡大や打ち上げコスト低減の要求を背景に、発射方法そのものの多様化が進んでいる。

特に、海上プラットフォームや気球などを利用した打ち上げ方式は、地理条件や安全海域の制約を回避できる手段として注目されている。

船からの打ち上げ

海上プラットフォームや船舶を利用してロケットを打ち上げる方式は、陸上の発射場に比べて安全海域を確保しやすく、打ち上げ方向の自由度が高いという利点がある。

代表的な例としては、赤道付近の海上から大型ロケットを打ち上げていた「シーローンチ(Sea Launch)」が知られており、近年でも中国や欧州などが海上打ち上げの研究を進めている。

また、小型ロケットの分野では、船上からの打ち上げを検討する企業も増えており、洋上発射は将来的な宇宙輸送インフラの一形態として注目されている。

日本でも、2019年に千葉工業大学などが洋上での打ち上げを実施している。

気球での打ち上げ

気球を利用した打ち上げは、高高度まで機体を運んだ後にロケットを点火する方式である。
高度20km前後まで上昇することで、大気抵抗が小さい環境から打ち上げられるため、小型衛星の低コスト打ち上げ手段として研究が進められている。

日本では、宇宙スタートアップの AstroX が、気球とロケットを組み合わせた「ロックーン(Rockoon)」方式の開発を進めている。AstroXは高高度気球を用いたロケット分離・点火の実証実験を行っており、将来的には超小型衛星の打ち上げ手段としての実用化を目指している。

ロックーン方式は、大型衛星の打ち上げには適さないものの、観測機器のサブオービタル飛行や技術実証、小型ペイロード輸送の分野では有効な手段と考えられている。

さいごに

日本のロケット発射場は、数としては多くないものの、それぞれが明確な役割を持ち、日本の宇宙開発を支えてきた。大型液体ロケットを打ち上げる種子島、固体ロケット打上げや科学ミッションを担う内之浦、そして北海道スペースポートやスペースポート紀伊など、民間主体の発射場も増加している。

また近年は、海上や気球を利用した打ち上げなど、従来の「発射場」という概念にとらわれない新しい方法も登場しつつある。こうした動きは、打ち上げ頻度の向上やコスト低減につながる可能性があり、宇宙利用の裾野を広げる重要な要素となっていくだろう。

今後、小型衛星コンステレーションの拡大や商業宇宙市場の成長に伴い、日本の宇宙輸送インフラもさらに変化していくと考えられる。発射場の整備や打ち上げ方式の多様化がどのように進んでいくのかは、日本の宇宙産業の発展を占う上でも重要なポイントとなるだろう。

また、こうしたインフラ拡大の裏側では、ロケット開発や射場運営、衛星運用、データ活用など幅広い分野で人材ニーズが高まっている。宇宙業界でのキャリアに関心がある方は、宇宙業界特化の人材マッチングサービス「スぺジョブ」も参考にしていただきたい。

スペジョブが航空宇宙産業に特化した人材サービスであることを説明した図

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