Starship7回目打ち上げ試験の注目ポイントは?
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SpaceXが開発する超巨大ロケット「Starship(スターシップ)」の7回目打ち上げ試験が、2025年1月16日午前7時(日本時間)に予定されている。(2025/1/15 7:00)

本記事では、今回の打ち上げ試験の注目ポイントについてご紹介する。

Starshipとは

SpaceXが開発している超大型ロケット「Starship」は、人や貨物を地球周回軌道や月、火星、さらにはその先まで運ぶために設計された、史上最大のロケットだ。

大きな特徴は以下の3つ。

  1. 史上最大の大きさと打ち上げ能力
  2. 捨てずに繰り返し使える完全再利用型
  3. 打ち上げスパンの短さ

まず、Starshipは全長約121メートルを誇り、下段の「Super Heavy(スーパーヘビー)」ブースターと上段の「Starship」宇宙船で構成。

およそ100~150tものペイロードを運ぶ能力を持ち、最大100人の乗組員と貨物を輸送可能。月面基地の建設や火星探査のため、また地球上のどの場所でも1時間以内で移動するための輸送手段として期待されている。

次に、従来の一般的なロケットは一度打ち上げられるとその多くの部分が使い捨てられて再び使うことはないが、Starshipロケットはブースター、宇宙船ともに再利用可能。機体を繰り返し使用することで打ち上げコストの大幅な削減を目指している

最後に、一度使用して返ってきた機体をすぐに点検・打ち上げ準備を完了させて再度打ち上げる。飛行機のように着陸・打ち上げ(離陸)をスムーズに行うことで、高頻度に人や貨物を宇宙または地球上のどこかに輸送するのだ。

Starship
Starship ©SpaceX

これまでの試験内容と結果

Starshipの初めての飛行試験は、2023年4月に実施された。この時点で高度39kmに到達するものの、エンジンの不具合により姿勢制御を失い、指令破壊される結果に終わった。

宇宙飛行に初めて成功したのは2024年3月に行われた3回目の試験。Super Heavyは無事に上段から分離し、着水に向けてエンジン点火。水上への軟着陸には失敗した。また宇宙船「Starship」は宇宙空間を飛行した後、大気圏に突入したものの、途中で通信が途絶した。

さらに、4回目の試験では、Super Heavyの軟着陸成功、Starshipのインド洋着水と進展が見られ、5回目試験ではついにSuper Heavyの空中キャッチに成功。

前回の6回目試験では、条件が整わず「空中キャッチ」再挑戦とはならなかったものの、機体の耐熱シールドや操縦条件等、将来のミッションに向けた様々なデータが取得された。

7回目試験の注目ポイント

Starshipの7回目打ち上げ試験の内容は、以下の通りだ。

Starship7回目打ち上げ試験内容
Starship7回目打ち上げ試験内容 ©Space Connect株式会社

3つの注目ポイント

今回の打ち上げ試験において、特に注目のポイントは以下の3つ。

  • 衛星展開ミッション
  • Super Heavy空中キャッチ再挑戦
  • Super HeavyのRaptorエンジン再利用

1つ目に、上段のStarshipの衛星展開ミッションである。

将来の衛星の軌道投入ミッションに向けた一歩として、Starshipの上段部分は、次世代スターリンクとサイズ・重量が同等のシュミレーター10台を搭載。

シミュレーターはStarshipが描く放物線状の軌道(弾道軌道)上に展開され、その後インド洋に着水する予定だ。

2つ目に、Super Heavyの空中キャッチ再挑戦

前回試験では、打ち上げ時にアーム「Chopsticks」のセンサーが損傷したため、空中キャッチが行われなかった。今回は、センサーの保護を強化し、再び空中キャッチに挑戦する。

3つ目に、Super Heavyブースターに搭載されたRaptorエンジンの再使用

今回の試験では、5回目試験で空中キャッチに成功したブースターのRaptorエンジンを再利用する。これにより、飛行実績のあるハードウェアを使った初の試験となる。

他にも様々な試験を実施

上記の他にも、今回の打ち上げでは様々な試験が行われる。

まず、Starship宇宙船の機体は大幅にアップグレードされた。

以前の試験で大気圏再突入時の熱によりダメージを受けていた機体の前方にあるフラップ(翼のような部分)はサイズが縮小され、位置も機体の先端側、熱シールドから離れた位置に移動。

これにより、再突入時の熱影響の軽減が期待されており、基礎となるメカニズム・保護タイルが簡素化された。

また、推進システムは再設計され、推進剤容量は25%増加し、さらに機体のパフォーマンスも向上。より長いミッションを飛行することが可能となった。

機体の熱シールドには、最新世代のタイルを使用。さらに、タイルが欠落したり破損した際に機体を保護する層が追加された。

次に、ソフト面に関しても大幅に変更されている。

燃料の移送や発射場への帰還など、複雑化するミッションに対応するためにシステムを一新。飛行中における機体のパフォーマンスを把握するために、30台以上の機体カメラも搭載された。

Starlink通信により飛行中はリアルタイムの高解像度ビデオとテレメトリをストリーミングすることが可能となっている。

さいごに

いかがでしたか。

Starshipの打ち上げは、X(旧Twitter)の同社アカウントにてライブ中継される予定だ。

SpaceXは、「今年はStarship(スターシップ)にとって飛躍的な年となるでしょう。システム全体の再利用を実現し、地球周回軌道、月、そして火星へ人と貨物を送ることを目指して、より意欲的なミッションに挑戦しながら改良を重ねていく予定です。」と述べている。

一体どんな一年になるのか、非常に楽しみだ。

参考

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