
株式会社WHERE(以下、WHERE)は2026年6月4日、大東建託株式会社(以下、大東建託)に対し、衛星データとAIを活用した不動産AIツール「WHERE」を6月より提供すると発表した。
本記事では、大東建託による「WHERE」の運用開始の概要、導入の背景、同ツールの特徴などについて解説する。
目次
大東建託が「WHERE」の運用を開始
概要
大東建託は、土地オーナーに対する賃貸住宅の建築提案をコア事業とし、全国に約200拠点を展開する国内最大級の賃貸住宅建設会社である。
今回、大東建託は用地仕入れ活動の高度化と効率化を目的として、衛星データとAIを活用した不動産AIツール「WHERE」の運用を開始する。
「WHERE」は大東建託に対し、遊休農地や活用可能性のある不動産に関する独自情報と、約7,300万件の不動産データベースを組み合わせ、不動産取引につながる可能性が高い物件リストを提供。これにより、営業担当者はすべての土地を一つずつ確認するのではなく、土地活用の可能性が高い候補に優先順位を付けてアプローチできるようになる。
大東建託は、一部エリアでの運用結果を検証したうえで、提供範囲を順次拡大する予定としている。将来的には、全国約200拠点でデータを活用し、衛星データとAIが導き出す情報を起点とした用地開拓体制の構築を目指す。
背景
今回の背景には、不動産業界における用地開拓手法の変化がある。
たとえば、2026年10月1日に予定されている法務省の「不動産登記受付帳の開示制度の見直し」により、これまで受付帳から確認できていた登記の目的や不動産の所在などの情報が把握しにくくなる。そのため、不動産会社にとっては、相続や売買などをきっかけに営業対象となる土地を探す従来の手法が難しくなる可能性がある。
こうした制度変更を見据え、大東建託では、従来の手法に依存しない、持続可能で効率的な用地開拓手法の確立を進めてきた。
また、限られた営業リソースを有効に活用し、土地活用の可能性が高い土地オーナーに的確にアプローチするためには、経験や勘だけに頼るのではなく、データに基づいて営業対象を絞り込む体制が重要となるのだ。


不動産AIツール「WHERE」とは
「WHERE」は、株式会社WHEREが開発・提供する、衛星データとAIを活用した不動産仕入れ支援プラットフォームである。注目ポイントは以下の通り。
市場に出ていない不動産の発掘を支援
「WHERE」は、衛星データや法務、地形、統計などの各種データを組み合わせ、全国約7,300万件の不動産データベースを構築している。利用者は、エリアや土地の状態などの条件を設定することで、自社の事業方針に合った候補物件を短時間で絞り込むことができる。
これにより、広いエリアの中から条件に合う不動産を効率的に抽出し、従来は人の経験や勘に依存する部分が大きかった土地探索や用地仕入れの高度化を支援。
一般的な不動産ポータルサイトなどに掲載されている物件だけでなく、土地活用の可能性を持ちながら、売却や取引の意思が表面化していない不動産の情報を発掘できる点が特徴だ。
地権者へのアプローチまで支援
加えて、地権者との接点づくりや商談の創出までを支援できる点もWHEREの特徴である。
株式会社WHEREは、テクノロジーとオペレーションを組み合わせて不動産取引を生み出す「Deal Tech」を掲げている。候補物件の抽出やリスト作成に加えて、地権者へのアプローチ、反響対応、交渉、契約実務なども支援することで、不動産会社の仕入れ業務を一気通貫でサポートする。
不動産の探索から地権者との商談までを支援できる点は、営業担当者の負担を軽減し、限られた営業リソースを有望な案件に集中させるうえで大きな強みとなる。
衛星データは不動産営業をどう変えるのか
今回の取り組みで重要なのは、衛星データが不動産営業の「入口」に使われている点である。
不動産の用地開拓では、土地オーナーとの人脈、営業担当者の経験、地域の不動産会社からの紹介、現地調査などが重要な役割を担ってきた。これらは今後も必要な手法である一方、最初にどの土地を見るべきか、どのエリアを重点的に調べるべきかという判断は、担当者ごとの経験や地域情報に左右されやすい。
衛星データを活用すれば、広範囲の土地や建物の状況を俯瞰し、土地活用の可能性がある場所を事前に把握しやすくなる。つまり、営業担当者が一つひとつ現地を確認する前の段階で、候補地を見つけるための手がかりを得られる。
今回、大東建託が全国約200拠点での活用を見据えている点は、衛星データを使った不動産営業が、限定的な実証実験にとどまらず、全国規模の業務利用へ広がる可能性を示している。
さいごに
今回の大東建託による不動産AIツール「WHERE」の運用開始は、衛星データの活用領域が、不動産市場の分析に加え、実際の用地開拓や営業活動へ広がっていることを示す事例である。
衛星から取得したデータは、専門的な分析や実証実験で利用されるだけでなく、今回の取り組みのように、企業の日常的な業務判断を支える情報基盤として活用され始めている。
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