Starship7回目はブースター空中キャッチに成功!上段は飛行中に分解、その原因とは?
©SpaceXの画像を使用

2025年1月17日、SpaceXの超大型ロケット「Starship(スターシップ)」による7回目の打ち上げ試験が実施された。

本記事では、今回の打ち上げ試験結果についてまとめている。

打ち上げ試験結果の詳細

下段ブースター「Super Heavy」

Starship7回目の打ち上げ試験は、1月17日午前7時37分に開始。

下段のブースター「Super Heavy(スーパーヘビー)」は5回目の打ち上げで回収したものを含むRaptor(ラプター)エンジン全33基が点火し、ロケットは順調に上昇した。

次に、上段の宇宙船「Starship(スターシップ)」のエンジンに着火してから下段のスーパーヘビーを分離する『ホットステージング』に成功。

ブースターは再着陸を行うためのブーストバック燃焼に正常に移行し、予定されていた13基のRaptorエンジンのうち12基が再点火して射場に向けて降下を開始した。

その後、ブースターは順調に降下し、着陸に向けて燃焼を実行。予定されていた13基のRaptorエンジンについて、ブーストバック燃焼で再点火しなかったエンジンを含めて全て再点火。

この燃焼により「Super Heavy」は減速してキャッチタワーアーム「Chopsticks」まで移動し、見事ブースターの2度目の空中キャッチに成功した。

Starship
Starship ©SpaceX

上段宇宙船「Starship」

ブースター「Super Heavy」との分離後、上段の宇宙船「Starship」は、6基のRaptorエンジンすべてに点火し、宇宙に向けて上昇を始めた。

しかし、下段ブースター「Super Heavy」の空中キャッチが成功して少し経った後、6基のエンジンが1基ずつ停止。

残り1基、高度はおよそ146㎞に達した地点で機体の速度や高度等の状態を示すテレメトリも停止し、SpaceXからは「Starship」との通信が途絶えたと発表があった。

その後、燃えているStarshipの残骸らしきものがタークス・カイコス諸島近辺に落下する様子が、複数のXアカウントにて投稿された。

SpaceXは今回の「Starship」について、機体後部で火災が発生したことによる予定外の急速な分解が発生したと説明している。

また、SpaceX創業者であるElon Musk(イーロン・マスク)氏はXアカウントにて、「初期調査の結果、Starshipのエンジン防火壁の上部空間で酸素と燃料が漏れ、その漏れが排気能力を超える圧力を生じさせるほど大きかったことが判明した」と述べた。

つまり、極低温状態の液体酸素と燃料が漏れた結果、防火壁上部の空間に排気能力を超えるガスが発生し、空間内に溜まったことで圧力が上昇、発火に至ったということである。

今回を含む、これまでのStarship打ち上げ試験はあくまで「テスト」。今回は将来のミッションに向けて熱保護の機構や推進システムが大幅にアップグレードされており、また飛行システムに関しても一新されていた。

現在の状況と今後の展開

今回の試験では、機体残骸の落下により民間に負傷者がでたとの報告はなく、物的損害も最小限に留まっていると、タークス・カイコス諸島政府の国家安全保障局は述べている。

一方、FAA(アメリカ連邦航空局:Federal Aviation Administration)は、機体の残骸が指定エリア外に落下したことを確認していると発表。

また、事故発生当時はあらかじめ設定された危険区域外における機体残骸と航空機の衝突を防ぐため、Starshipの残骸が発生したエリアの外で航空機を一時的に減速または迂回させたり、出発地で航空機を停止させたりしたことを明らかにした。

Elon Musk氏は、「酸素・燃料の漏れがないかを再確認するほか、火災を防ぐシステムの導入や、排気口面積の拡大を行う予定だ。現在は次回の打ち上げを来月以降に延期する必要があるとは考えていない。」と述べているが、FAAはSpaceXに事故調査を行うよう要求しており、同機関の許可が下りるまでは打ち上げが延期される可能性もあるだろう。

SpaceXは現在、根本となる原因調査のためデータを分析しており、さらにFAAとも連携して徹底的な調査を行って今後のStarship打ち上げ試験を改善するための措置を実施するとしている。

また、すでに8回目打ち上げ試験用のブースター「Super Heavy」と宇宙船「Starship」は製造されており、打ち上げ前試験を経てフライトの準備を進めているという。

さいごに

いかがでしたか。

今回の試験では、一部の課題が明らかになったものの、「Super Heavy」ブースターによる2度目の空中キャッチという重要な成果を達成した。Starshipは、試験ごとに確実な進化を遂げており、困難を乗り越えつつ実績を積み重ねる姿勢は、宇宙産業の未来に大きな希望を与えている。

一方で、民間の安全性確保や航空機への遅延等の影響は無視できないものであり、改善策が必要だろう。

次回の打ち上げ試験では、今回の教訓がどのように反映されるのかに注目したい。SpaceXの挑戦は今後も続く。その動向を引き続き見守りたい。

参考

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