2023年8月15日、株式会社スペースデータは、Epic Games社が配信する超人気オンラインゲーム「Fortnite(フォートナイト)」に特化したゲーム開発スタジオ「SpaceGame(スペースゲーム)」を設立したことを発表した。
総プレイヤー数が5億人を超えるメタバースプラットフォームにて、スペースデータ社は衛星データを活用して現実世界と瓜二つの仮想空間を再現しているという。
本記事では、スペースデータ社がなぜフォートナイトを活用して、新しい「世界」の実現を目指しているのか。理由並びに今後の展望について軽く考察している。
目次
衛星データとAIを活用して、超リアルな新宿をゲーム上に再現!?
スペースデータ社について
株式会社スペースデータは、人類が宇宙空間と仮想空間で暮らせる未来の実現を目指し、衛星データ×AI×3DCGの3つの要素を駆使して、バーチャル空間にもう1つの「地球」を自動生成する仕組みを作っているベンチャー企業である。
詳細は下記の動画を見ていただければと思う。
なぜここまで再現度が高いのか
スペースデータ社のメタバース技術の特徴は、地上視点からでも現実世界に近しい仮想世界を再現している点です。
バーチャル空間に現実世界を再現する際に、衛星・航空写真を3Dモデルに適用する方法がよく採用されているが、このアプローチでは、写真の解像度の制約から、景色がぼやけてしまったり、地上での詳細が欠けてしまったりするという問題がある。
しかし、スペースデータ社の場合、衛星データで大枠を構築した後、足りない部分を地上データと組み合わせてAIに機械学習させることで、地上の建造物やその他の特徴(種類、形状、色、材質、高さなど)をシステム的に再現する仕組みを取っていると予想される。
この結果、3D変換時に近距離であっても景観がぼやけることなく、リアルな世界の再現を可能としているのだ。
このような技術はVR、ゲーム、映像制作、さらには自動運転のような人間の視点で三次元空間を動き回る用途に適しており、まさに革新的な技術といっても良いだろう。
現在同社は、AIが生成した現実そっくりの新宿を舞台にしたゲームをフォートナイト上で展開。今回のプレスリリースからも今後、フォートナイトを中心に事業を展開していくと予想される。
FortniteはポストYoutubeになる!?
ここで気になる要素としては、革新的な技術を保有しているスペースデータ社が、なぜフォートナイトをプラットフォームに据えて、事業を展開しているのかである。
フォートナイトは本当にただのゲーム?
スペースデータ社が採用しているメタバースプラットフォーム「Fortnite(フォートナイト)」は、Epic Gamesが販売・配信する、2017年に公開されたTPS(サード・パーソン・シューティングゲーム)だ。
伝統的なオンラインシューティングゲームとは一線を画す点として、高度なグラフィックと広範なカスタマイズ性が挙げられる。
またバトルモード以外に、近時に追加されたクリエイティブモードによって、ユーザーは自分だけのルールでオリジナルの島(マップ)を設計することができ、その島で他のプレイヤーと共にゲームを楽しむことができる。
これにより、Minecraftのような自由度のある世界構築やSuper Mario Makerのような自作のコースを世界中のプレイヤーに公開することが可能となった。
高品質な映画制作などに使用されるUnreal Engineで制作されていることも相まって、フォートナイトは、単なるゲームを超え、メタバースのプラットフォームとしての役割を果たし始めている。
フォートナイトを選択した理由
上記の要素を踏まえて、スペースデータ社がフォートナイトをプラットフォームとして採用する背景には、主に以下の3つの理由があると考えられている。
ゲーム利用者の大半が子供!?
フォートナイトは、登録ユーザー数が5億人を超える圧倒的人気を誇るゲームである。
この内、約7000万人がアクティブユーザーとして挙げられるが、驚くべきことにその大部分は子供たちだ。
この世代がメタバースの空間に頻繁に触れることは、非常に重要な意味を持っている。
なぜなら子供たちは、時代の流れに応じて、新しい技術やトレンドの先駆者となり、未来の消費者基準を形成する役割を果たしているからだ。
彼らが既にメタバース空間に親しみ、その中でのコミュニケーションやエンターテインメントを日常的に楽しんでいることは、フォートナイトの将来の成長、さらにはメタバース市場全体の拡大を大いに示唆している。
アクティブユーザ数はもちろんだが、若い柔軟な思想が集まるプラットフォームで影響力を持つことは、同社のビジョンを実現する上で非常に重要であるといえるだろう。
没入感のあるグラフィック
フォートナイトの高グラフィック性も避けては通れない。
メタバースにおいて最も重要な要素は、ユーザーがその場にいると錯覚できる没入感にあり、高品質なグラフィックは、この没入感を再現する上で必要不可欠である。
人類が仮想空間で暮らせる未来の実現を目指している同社にとっては、現時点で最も没入感が強いプラットフォームを採用するのは自然な判断であろう。
無料で収益化できる仕組み
フォートナイトを利用する最大の理由は、マルチプラットフォームへの対応等、開発環境の充実に加えて、サーバー費用を全額負担するなど、開発者に有利な条件を提示している点であろう。
マップ制作者向けの収益還元プログラムを通じて、クリエイターはゲーム内でのアイデアを収益化する機会を得ており、このプログラムは、面白く革新的なアイデアを持つ者であれば、初期の投資リスクや運営コスト無しで、収益をあげることが可能である。
特にChatGPTのような先進的な技術を組み込まれることにより、これまでに考えられなかった効率性の再現が可能。個人のクリエイターが仮想現実世界の実現を大きく前進させる可能性があります。
それこそ、Youtuberの様にFortniterといった形で数千万円〜数億円の収益を上げるクリエイターも出てくるであろう。
さいごに
いかがでしたか。
Youtubeがデジタルコンテンツのクリエイター文化に革命をもたらしたように、フォートナイトも3Dメタバース領域で新たな変革の波を起こそうとしている。
その動きにいち早く目をつけ、フォートナイトをプラットフォームとして位置づけ、新しい「地球」の創造を開始したスペースデータ社の洞察力は注目に値する。
今後、スペースデータ社を中心にどのような社会が創造されていくのか、非常に楽しみである。