【解説】スペースポート 第一弾 宇宙港から生まれるビジネスの可能性
©スペースポートジャパン

みなさん、スペースポートと聞くと、何を思い浮かべますか?

実は明確な定義がなく、ロケット発射場とその周辺施設を合わせたものと考えられているようです。ロケット発射場と聞くと、NASAやJAXAといった政府機関が保有するイメージが強いかもしれません。

しかし!! スペースポートは今後日本の産業を支えるための要となっていく重要なインフラと位置付けられており、政府機関のみならず民間企業、さらにはスタートアップまでもが力を合わせて整備しています。

スペースXなど、米国を中心としてベンチャー企業が参入することにより宇宙産業は年々拡大しており、産業の規模は現在の約40兆円から30年後には100兆円を超えるとも言われています。(Space port Japan調べ)

このように世界的に市場拡大が期待される産業の発展に重要なインフラと位置づけられている機能がスペースポートです。本連載では、スペースポートがどのように皆さんの生活を豊かにし、日本、ひいては世界の経済に貢献していくかを紐解いていきたいと思います。

ロケット発射に関する歴史

そもそも、スペースポートの民間開発が注目されている理由としては、

  1. ロケット発射によるビジネスニーズが高まっている
  2. 宇宙産業に民間が参入するため、規制緩和が進んでいる
  3. ロケット発射に伴う低コスト化が進んでいる

といった3つの要因が、民間企業のロケット発射需要を後押しているためです。ここで少し、ロケット発射に関する歴史を見ていきたいと思います。 

発射台として有名なものとしては、NASAが保有するケネディ宇宙センターや、国内ではJAXAが保有する種子島宇宙センターがありますよね。宇宙ギークではない皆さんも聞いた事があるのではないでしょうか。

そもそも、ロケット発射自体は今から約100年前の1926年に遡り、「近代ロケットの父」と呼ばれることになるロバート・ゴダードが、世界で初めての液体燃料ロケットの打ち上げに成功します。

また、日本では1955年ごろ、バズーカ砲の火薬を転用して発射された23cmのペンシルロケットを皮切りに、様々なロケットが発射されています。 

このように、ロケット発射の歴史は非常に長いのですが、戦後において宇宙開発を独占・けん引してきたのは各国の政府機関でした。

ロケット技術は戦闘ミサイルなどの軍事機器にも利用する事ができるため、第二次世界大戦後も政府が多額の予算をかけて開発を進めてきました。 

その後、各国間の軍事的緊張が緩和されてきたこと、1900年代後半に衛星通信や衛生放送ビジネスに民間が参入してきたこと。この2つの事象に起因して、様々な規制緩和が進み、徐々に宇宙産業に民間が参入しやすくなってきた歴史があります。 

そして2000年代に入り、衛星データのオープンソース化といった規制緩和や、無駄な機能をそぎ落としたコスパの良いロケット技術開発が進んでいることも、宇宙産業の民主化が進む要因となっています。 

たとえばホリエモンが立ち上げたインターステラ社“ロケット界のスーパーカブを作ることを目指す”、というミッションの下、低価格でコンパクトな小型ロケット開発と商業化を目指しています。さて、実際ロケットを飛ばすことにより、将来どんな世界が実現するのでしょうか?

インターステラテクノロジス ロケットMOMO
©インターステラテクノロジズ社

ロケット発射によって実現する将来の世界とは??

ロケット発射によって実現する将来像としては、人工衛星による通信やデータを利活用したサービスや、人・モノの移動に関連するビジネスが進むと予測されており、2050年までにグローバルで100兆円の市場規模に拡大すると言われています。 

宇宙通信プラットフォーム構想というものがあり、地球及び宇宙空間どこにいても、任意の場所から必要な情報に容易にアクセスできる世界が実現されると予測されています。

宇宙通信プラットフォーム構想図
©宙を拓く タスクフォース報告書(案)

さらに、多数のリモートセンシング衛星が低軌道で運用されることと、地上でのIoTセンサーが増えることにより、多種多様な地球観測データが高解像かつ高頻度で取得されるようになります。これにより、自然災害の予測精度や、自動運転等の位置情報活用システムの精度向上が期待されます。

また、これらのサービスが増えると通信トラフィックが増加し、接続が悪くなるなどの不具合に対しても、容量やエリアを柔軟に切り替えることで、快適な通信を実現する事が実現可能です。

昨今、データセンターのエネルギ―消費量が莫大になることがサステナビリティの観点で問題視されていますが、将来的には宇宙空間で太陽エネルギーを活用しながらデータ解析が行われ、アウトプットだけが地上で実施されるという世界も実現されることでしょう。

人工衛星データ解析による実現される世界
©宙を拓く タスクフォース報告書(案)

さらには、人類の移動圏が広がることにより、宇宙旅行等のレジャー関連ビジネスや、月・火星などの地球外の資源を活用したビジネスを開発する事が可能になってきます。イチ個人としては、死ぬまでに一般庶民も活用できるサービスとして実現してほしいです笑

火星探査
©宙を拓く タスクフォース報告書(案)

本題!!スペースポート整備ニーズの高まり

さて、ロケット発射のニーズが高まり、民間企業の参入障壁も下がってくると、多頻度のロケット発射を実現する発射台が必要です。発射台はこれまで世界に27か所建設され、22か所運営されています。今後新たに30か所以上で民間主導のスペースポートが建設・運用されていく予定といわれています。(デロイトトーマツ調べ )  

スペースポート開発をリードしているのはアメリカで、FAA(アメリカ連邦航空局)が12か所ものスペースポートを承認しています。 

また、アメリカのみならず、カナダ・イギリス・イタリア・オーストラリアなど、世界中の様々な国が、宇宙産業を支えるインフラになるべく、名乗りを上げています。

世界のスペースポートマップ
©世界のスペースポートマップ

日本はどうでしょうか? 

もちろん、日本においてもスペースポートの整備が本格的に始まり、日本をアジアのスペースポートHUBとすべく開発支援を実施するSpace Port Japanが2018年に設立されています。 

実際に2021年4月には北海道大樹街において北海道スペースポート(HOSPO)が稼働し、同年7月にはインターステラテクノロジズが観測ロケットを2回打ち上げ、いずれも宇宙空間に到達しています。国内では他にも、和歌山県・大分県・沖縄県などがスペースポートの候補地として準備を進めています。

次回(第二弾)では、世界と比較した日本スペースポートの優位性、スペースポートを取り巻くステークホルダーや開発の実務について、より詳しく解説していきたいと思います。

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