UAEと日本の協力による宇宙開発:三井物産がUAE宇宙機関の衛星の環境試験を実施

2023年3月31日、三井物産エアロスペース株式会社アラブ首長国連邦(UAE)の政府宇宙機関であるムハンマド・ビン・ラシード宇宙センター( Mohammed Bin Rashid Space Centre、以下「MBRSC」)が開発する大型人工衛星「MBZ-Sat」試験機の環境試験を2022年12月から2023年1月まで実施し、すべて完了したと発表した。

同社は、MBRSCとMBZ-Satに関して、2つの環境試験の請負契約を2022年6月に締結していた。

その2つとは、「実機と同一仕様の試作品を用いて衛星の耐久性や安全性を確認するための試験(Qualification Model;QM)」と、「実際に打ち上げられる衛星がすべての性能要件を満たしていることを確認するための試験(Flight Model;FM)」だ。

今回行われたのは、前者の試作品を用いる試験(QM)。

宇宙空間での過酷な環境に対応できるか検証する、振動試験熱真空試験などが行われた。

試験場所は、JAXA筑波宇宙センター内の試験設備で、施設の運営権をJAXAから委譲されている株式会社AESの協力のもとで行われた。

民間企業が海外で製造された衛星の環境試験を同設備で実施するのは、今回が初めてである。

JAXAは、運用には高額な設備投資や高度な技術力が必要となる試験施設の利用拡大を狙い、2020年より官民連携事業を開始していた。

MBZ-Satの実機を用いた環境試験(FM)は、2023年度中の実施を計画している。

UAEの宇宙開発と今回試験を行った衛星「MBZ-Sat」について

UAEの政府宇宙機関「MBRSC」は、2006年に設立されて以来、数々の宇宙プロジェクトに成功している。

近年は深宇宙探査に関する取り組みが印象的で、2021年に、日本のH-ⅡAロケット42号機で打ち上げられた火星探査機「ホープ・プローブ」が火星周回軌道へ到達している。

また、ispaceの月着陸船「HAKURO-R」に搭載中の月面探査ローバー「Rashid」は2023年に月に着陸させる計画で、成功すればUAEは月面着陸に成功した世界で四番目の国となる予定だ。

人工衛星に関しては、2009年に独自に開発した最初の地球観測衛星であるDubaiSat-1を打ち上げた。

その後も、より高性能なDubaiSat-2など、複数の衛星を打ち上げている。

今回環境試験を行ったMBZ-Sat2023年に打ち上げ予定で、高解像度の衛星画像撮影を目的としている。

打ち上げに成功すれば、中東地域で最も競争力のある商業衛星となる予定だ。

MBZ-Satについて

まとめ

今回のMBZ-Satの環境試験成功は、UAEと日本の宇宙開発協力の一環として、両国間の技術交流やビジネスチャンスの拡大に寄与することが期待される。

また、今後の宇宙開発分野での連携がさらに進むことで、新たな技術や産業の創出が促される可能性もある。

日本の宇宙産業の発展のためには、国際的な連携を積極的に進めることも重要だ。

参考

UAEドバイ政府の宇宙機関MBRSCが開発する大型人工衛星「MBZ-Sat」のQualification Model環境試験を完了

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