
スペースワン株式会社(以下、スペースワン)は、2026年2月25日に予定されている「カイロスロケット3号機」の打上げ実現に向けてクラウドファンディングを開始した。日本ではまだ果たされていない商業ロケットによる衛星軌道投入達成に向け、これまでの経験を糧に新たな一歩を踏み出す。
本記事では、カイロス3号機の打上げ計画ならびに、クラウドファンディング実施の背景についてご紹介する。
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目次
小型ロケット「カイロス」と3号機打ち上げ計画
カイロスの概要とこれまで
「カイロス」は、日本の民間企業であるスペースワンが開発する小型固体燃料ロケットである。全長は約18メートル。ロケットと専用射場を一体で運用することで、小型衛星を迅速かつ柔軟に宇宙軌道へ投入する「宇宙宅配便」の実現を目指している。
スペースワンはこれまでに、「カイロス」シリーズの打ち上げを2度実施している。初号機は2024年3月に打ち上げられたが、固体燃料の燃焼速度を実際よりも大きく見積もっていたことが原因とされ、計画どおりの飛行には至らなかった。続く2号機は2024年12月に打ち上げられ、宇宙空間に到達。しかし、センサーの誤信号をきっかけに燃焼ガスを噴出するノズルに異常が発生し、ロケットが飛行経路を逸脱したと説明されている。
こうした2度の打ち上げ結果を踏まえ、現在準備が進められているのが3号機である。実際に打ち上げることで得られたこれまでの飛行データをもとに、設計の見直しや運用面での改善が行われている。

5つのペイロードを搭載予定
カイロス3号機に搭載予定のペイロードには、株式会社アークエッジ・スペースが開発した3Uサイズのキューブサット「AETS-Ⅰ」や、テラスペース株式会社が開発した70kg級衛星「TATARA-ⅠR」など計5機が含まれており、高度約500kmの太陽同期軌道への投入を目指している。
和歌山県串本町と那智勝浦町にまたがる専用発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられる予定で、打上げ予定時刻は2026年2月25日午前11時00分に設定されている。
ペイロードの分離は、同日11時53分35秒から11時54分01秒にかけて行われる計画だ。成功すれば、日本の民間ロケットとしては初めて、人工衛星の軌道投入を達成した事例となる。

クラウドファンディングについて
スペースワンは、カイロス3号機の打ち上げ実現に向け、クラウドファンディングプラットフォーム「READYFOR」にて資金支援の募集を行っている。第一目標金額は8,000万円、最終目標は1億円に設定されており、集まった資金はカイロス3号機の打ち上げ費用の一部などに充てられる予定だ。
本プロジェクトはAll in方式で実施され、目標金額の達成有無にかかわらず打ち上げは行われる。つまり、このクラウドファンディングは「打ち上げができるかどうか」を左右するものではなく、挑戦の過程を社会と共有し、賛同する人たちとともに次の一歩を踏み出すための手段として位置付けられている。
地域の応援を背に、ともに挑む3度目の打上げ
ロケットの打ち上げは、成功や失敗といった結果が注目されやすい一方で、そこに至る準備や判断の積み重ねは外部からは見えにくい。
READYFORのプロジェクトページでは、スペースワン自身の言葉で、これまで歩んできた道程や、開発に携わる社員が何を考え、どのような課題に向き合っているのかが率直に記されている。クラウドファンディングを通じて、こうした背景を理解したうえでプロジェクトを後押しできる点は、支援者にとって一つの意義となる。
また、ロケットの打ち上げは、企業だけで完結する取り組みではない。安全確保や運用面の調整を含め、地元自治体や地域の理解・協力が不可欠となる。
カイロス専用射場「スペースポート紀伊」のある和歌山県串本町・那智勝浦町では、町内にロケットを応援する旗が設置され、射場にも地元の子どもや高校生から寄せられた応援メッセージが掲示されるなど、地域の人々が日々の生活や仕事の中でスペースワンの挑戦を支えている様子が伝わってくる。
クラウドファンディングへの参加により、地域に根ざした挑戦に、距離を越えて関われる点も、支援者にとっての価値の一つと言えるだろう。
応援グッズなどクラファン限定のリターンも多数!
支援プランは計9種類の支援コースが用意されている。返礼品としては、ロゴ入りグッズや記念品のほか、打ち上げ見学プラン、実際に使用されるロケット部材に関わる特典などが含まれる。いずれも、支援者がプロジェクトの一部として関わっていることを実感できる内容となっている点が特徴だ。


さいごに
日本では現在、ロケットの打ち上げ機会が限られており、多くの企業や大学が、人工衛星の打ち上げを海外のロケットに依存している状況が続いている。実際、国内で衛星を打ち上げる手段が限られていることは、研究開発や事業化のスケジュールにも影響を与えてきた。
もし日本の民間ロケットによって、国内から安定的に衛星を打ち上げられるようになれば、こうした状況は変わり得る。海外ロケットを利用することで発生している打ち上げ費用の国外流出を抑えられる可能性があるほか、海外の衛星を日本のロケットで打ち上げることで、新たな収益機会が生まれることも期待される。
カイロスロケット3号機は、日本の民間ロケットによる宇宙輸送を次の段階へ進める試みである。同社の挑戦に注目だ。
打上げ概要
- 日時:2026年2月25日(水)11時00分
- 射場:スペースワン株式会社 打上げ射場「スペースポート紀伊」
- 打上げ予定軌道:太陽同期軌道 高度500m
- 支援詳細:READYFOR 民間ロケット「カイロス」3号機打上げへの大挑戦 #希望の星を宇宙へ
参考
カイロスロケット3号機の打上げ予定について(スペースワン株式会社, 2026-01-07閲覧)








