2024年4月17日、衛星データ×AI×区画技術で農業の課題を解決するサグリ株式会社が、全国の農地所有者と作り手・担い手をつなげる農地マッチングサービス「ニナタバ」をリリースしたことを発表した。
本記事では、「ニナタバ」が解決する課題や同サービスの特徴についてご紹介します。
サグリ株式会社とは
サグリ株式会社は2018年6月に兵庫県で創業した岐阜大学発のインパクトスタートアップ企業。
インパクトスタートアップとは、社会的・環境的課題の解決や新たなビジョンの実現と持続的な経済成長を目指す企業だ。岸田政権が掲げる「新しい資本主義」の考え方を体現する存在として注目されはじめている。
同社はこれまで、イノベーションの担い手となるスタートアップを官民一体となって集中的に支援する「J-Startup」および「J-Startup Impact」に選定されるなど、様々な功績を収めてきた。
事業では、衛星データ×AI×区画技術で農業や環境における課題を解決。
衛星データをAIで解析することで課題解決を行う企業は多く存在するが、同社はこの技術に区画技術を組み合わせた。
農地を一定基準で区切りいくつかの多角形に分ける農地の区画化は、スマート農業でデジタル化されるあらゆるデータを保持する基盤としても期待されている技術。
同社は機械学習(AI)を活用した自動区画化技術で特許も取得している。
そんな同社が提供するサービスは以下の3つ。
- アクタバ:耕作放棄地が一目でわかる、自治体向け農地パトロールアプリ
- デタバ:農地で申請通りの作物が栽培されているか確認する作付け調査を簡単に効率よく行う自治体向けアプリ
- Sagri:圃場の状態を見える化する圃場管理アプリ
これまで日本だけでなく、インドやケニアなど様々な国で事業を実施しているのだ。
新サービスは「農地マッチング」
同社が今回新しくリリースしたサービスが、「農地マッチング」により農地の利用を促進するサービス「ニナタバ」である。
ニナタバでは、農家を引退するためバトンタッチしたい、遠方に住んでいる、高齢などにより労力が不足しているといった理由から農地を売りたい・貸したい所有者が情報を提供。
この情報を農地を買いたい・借りたい作り手や担い手が取得し、利用希望を申し出ることが可能なのだ。
農地所有者にとって、使用しない農地は、定期的な草刈りなどの管理に労力を要する。さらに、耕作放棄地となった場合は固定資産税が通常の約1.8倍に増加し、害虫の発生や地価の低下などの問題が発生。
一方、新規就農者にとって農地を探すのは手間となるほか、生産規模拡大を目指す農業法人は、分散していない広い農地の探索に非常に苦労しているという現状もあるという。
ニナタバはこれらのような課題を解決し、農業界に大きく寄与し得るサービスなのだ。
サグリの技術がサービスの強みに
農地マッチングを支援するサービス・事業はいくつかあるが、「ニナタバ」の大きな特徴として考えられるのは以下の2つ。
- サグリが持つ衛星解析技術を利用
- サグリの「区画技術」を活用した“地権者の意向の見える化”
「ニナタバ」では、サグリがこれまでのサービス開発で培ってきた衛星データ×AIによる耕作放棄地を検出する技術や、作物の推定を行う技術を利用可能。
これらの技術により、農業の担い手が様々な情報を取得できるだけでなく、自治体が地域計画の「目標地図」として活用することもできる。
また、区画技術により農地が多角形に区画されており、利用者はそれぞれの土地について「貸したい」「売りたい」「自ら耕作する」などの情報を色分けして表示することで、地権者の意向を簡単に把握することができるのだ。
さらに、同サービスの強みの1つとして、日本最大級の農業専門求人サイト「あぐりナビ」を運営する株式会社アグリメディアとの協業で運営されていることが挙げられる。
アグリメディアは全国6,500超の大規模農業法人・農関連企業との取引実績を誇り、担い手不足に悩む自治体と共同で農地を面的にまとめあげ、担い手となる農業法人を誘致・マッチングする取り組みも進めている企業。
同社は、サグリの取り組みに協力する形で自治体には多くの担い手を紹介し、農業法人には生産拡大に寄与する集積農地を提供していく予定だ。
さいごに
いかがでしたか。
「ニナタバ」では、農地情報を無料で掲載して、農地を利用する方を探すことができる。
また、農地を探している方や自治体の方、パートナー参加希望の方に関しては、フォームからお問い合わせすることが可能。
詳しくは、「ニナタバ」のホームページをご覧いただきたい。