シンガポールに法人を持つ新星スタートアップ企業『PLANETES』。

Web3.0と宇宙を掛け合わせることで、『仮想とリアルの臨界点を超える』とは一体どういうことなのか。

Vol.2では、日本人ファウンダー若元 淳鷹CEOがどのように宇宙産業に参入することになったのか、Web3.0 × 宇宙の行く末についてご紹介しています。

(本記事は、vol.1とvol.2の2部作構成になっております、この記事はvol.2です。vol.1をまだ読んでいない方はこちらをチェック【Web3.0 × 宇宙】超新星!? PLANETESの全てがわかる vol.1】)

PLANETES INT 若元 淳鷹CEO ©︎Space Connect

PLANETES 代表 若元 淳鷹CEOについて

ー ここからは後編です。Web3.0と宇宙の領域で事業を展開する若元さんって絶対に普通の人じゃないですよね。これまでのご経歴とかお聞きしてもいいですか。

実は、私の前職は宇宙でもWeb3.0関連でもなく、建築士です。

もちろん、昔から宇宙、とりわけ建築の領域で漠然と興味は持っていたものの、直接携わる機会はありませんでした。

なので、元々4年間は住宅の設計をしていたんですよね。

ー そこからどのように宇宙産業と繋がったんですか。

それで28歳の時に、IT関連の会社を起業。

自身の会社を運営しながら、並行して建築士のノウハウを活かして、鑑定のお仕事をしていました。

この仕事をしている際にですね、宇宙開発の重要性を感じる出来事があったわけです。

ー 横槍を入れてしまい申し訳ないのですが、鑑定って何ですか。

マニアックだからわからないですよね。笑

建物の瑕疵トラブルを解決するために、建物を調査する仕事です。

例えば、自然災害が起こった時に、損害保険会社に自分の家が壊れたので、保険料をお願いしますと請求しますよね。

それに対して、保険会社って見積もりを送られても支払いの適正額がわからないので、それを第三者として、お支払い額を決めるといった仕事です。

全国で1000人くらいのニッチな仕事だと思います。

若元CEOの前職は建築士!? ©︎Space Connect

ー そんな仕事があるんですね。そこからどのように宇宙と繋がったんですか。

これが面白いところなんですけど、鑑定の仕事が1番忙しくなる時って、大規模災害が起きた時なんですよね。

そうなった時に保険会社1社で20万件ぐらい請求が来るんです。たった1つの事故ですよ。

それで、これが稼ぎ時ってことで、見積額に尾ヒレを付ける業者が非常に多いんですよ。

見積もりを取るにも大規模災害の時って半年程かかったりするので、その分の手間賃もかさ増しだ。といった具合に。

まぁ、経営者をしてると、会社の運営が厳しい時って、次の月の資金繰りが気になって、先を見る目線が近くなってくるじゃないですか。

なので、このような業者がやっていることも理解はできるんですよね。

ただ、なんか、何ですかね。

世の中が困っていて、みんなが一丸となるべき時に、それを逆手にとって、稼ごうとしてる社会事象の在り方に個人的な憤りを感じていまして。

その時にどうにかして、このような問題をこれからの新しい技術で解決できるのではないかと考えたわけです。

そこで行き着いたのが宇宙産業、とりわけ人工衛星の技術だったというわけです。

ー なるほど、確かに相性が良さそうです。

人の手を介さずに人工衛星の技術を活用して、見積もりを取ることができれば、手間賃のかさ増しとかもできなくなる。

要するに公正さを持った適切な社会システムが醸成されるようになるわけです。

そう思って、人工衛星の技術とか活用方法について記事や論文を調べ漁っていたんですよね。

それで行き着いた結論は、やっぱり衛星のデータ活用になると、費用が高すぎる

ただ衛星データの価格が高い理由って、撮像するための衛星の数が不足しているからなんですよ。

すなわち『宇宙産業のインフラが整っていないから。』ここに全ては起因していることに気づいたんです。

すると段々、宇宙産業の全容も見えてきまして、ここに無数の社会課題を解決する糸口があるってことに気づいたわけです。

ここから、宇宙のガソリンスタンドを作る構想に繋がってきて、それを達成するために宇宙の民主化構想に行き着くわけです。

ー なるほど。理解しました。この事業にかける思いは、社会構造の憤りからきているんですね。

まぁ、そうなりますね。

ここまでは、社会ニーズの観点から事業を始めた話をしましたが、少し長期的な目線で見ても、思っていることはあります。

それこそ、日本では人口の減少が社会問題になっていますが、世界的に見ると人口は増加傾向にあって、2100年頃には、110億人に達すると言われているんですよね。

そうなると、環境問題とか資源の枯渇問題とかに確実に直面すると思っています。

これは建築士として、環境や資源について常に情報のインプットをしているので確度は高いと思います。

で、この環境問題を解決する策として、惑星の資源探査や人類が他の惑星に飛び出して移住する合理性を証明した論文にぶち当たりまして。

震えたんです。

私のしたいことの全てはここにあると気づいてしまったので。

だから自分のこれからの30年間全てをここにかけようと思いました

これからの30年間をかける若元CEOの覚悟 ©︎Space Connect

ー 純粋にかっこいいです。若元さんのこれからのご活躍を心から期待しています。

なぜシンガポールを選んだのか

ー 少し話は変わりますが、シンガポールで法人登記をした理由はなんですか。

やっぱり、Web3.0を絡めて事業をするってなると、シンガポールの方が最新技術に対して、柔軟に対応ができる点ですね。

そもそも日本の法律では、ちゃんとしたBCG(ブロックチェーンゲーム)は作れないので、海外行きは確定でした。

ー なるほど。ちなみに宇宙産業は国の利権と密接に関わるものですが、日本で生まれた若元さんはその辺りどのように考えていますか。

正直、日本を変えるためってマインドはないですね。

もちろん、宇宙産業は各国の利権が絡むものであり、軽んじてはいけないのは重々承知の上です。

ただ、PLANETESは民間企業として、宇宙産業の民主化を目指している企業です。

なので、思い描く未来としては、国家単位のナショナリズムな視点よりも視座を高く、世界全体がより良い方向に向かえるようなグローバリズムな視点に重きを置いています

日本のためではなく、世界、いや、宇宙を含む社会全体の秩序形成のためですね。

そういった面では、多民族国家のシンガポールで民主化の流れを推進するWeb3.0事業に取り組むことの意義は理解できるはずです。

ー 説得力がありますね。Web3.0と宇宙を組み合わせた一大プロジェクトを企画するにあたって、どのようなメンバー構成を組んでいますか。

まだ、メンバーを集めている途中ですが、私を含めて現時点で6人のコアメンバーが集まっています。

軽く紹介すると、

  1. CG開発、AIプロモーションに長けたエンジニア
  2. BCG開発に特化したエンジニア
  3. ゲーム開発プロデューサ
  4. 宇宙開発専門の技術顧問
  5. クリプト法務の専門家

そして、私を含めた6人体制です。

ー なるほど、よくそんな豪華な異業種プレイヤー達を集めてこれましたね。

中々大変でしたよ。

でもどうしても、思い描くビジョンを実現させたくて。

私が色々な所に行って、啓蒙活動を繰り返して、ようやく最高のチームの土台ができました。

ー 若元さんの人望が為せる技ですね。今後、事業を展開するにあたっての懸念点はありますか。

たくさんありますが、特に困っているのは、我々と共に働く優秀な仲間を見つけることですね。

それこそ、Web3.0も宇宙も最初からマーケットがグローバルなので、人種が混ざったコミュニティを運営できるCM(コミュニティマネージャー)とかBizDev人材と出逢いたいものですね。

ー 集める難易度高そうですね。より詳細なペルソナはありますか。

求めてる人材としては、民主化なので、人種、性別は一切問わないです。

ただ、やっぱりやる気があって、ビジョンに共感してくれる人と働きたいですよね。

PLANETES × Web3.0 × 宇宙

ー GameFiと宇宙開発を分けて進めていくとおっしゃていましたが、いずれはそこも統合していくのでしょうか。

もちろんです。

初期の段階では、Web3.0 × 宇宙の掛け合わせを完全に融合させるのは、やや難しいです。

ただ、いずれは燃料補給のガソリンスタンドの決済手段をトークンいわゆるクリプトを使用して決済できるようにしようと思っています。

Web3.0の概念と宇宙のセルフガソリンスタンド、実は全て繋がっているので。

ー 具体的にどのような方法で決済サービスを実現させるんですか。

宇宙産業は最初からグローバルな市場かつ国の利権が絡むものなので、自治的な運営の形態を取るのが理想だと思っています。

そうなると、管理主体を持たず、言語の壁もないクリプトを活用した決済手段は理にかなっているわけです。

実装の仕方は、人工衛星に発信機をつけてもらって、燃料補給されたらそこから自動的に口座からお金を落とすような形式を想定しています。

このお金とゲーム内の通貨を連携させるわけです。

決済は、自動でひゅっと引き落としされます ©︎Space Connect

ー あれですね、クリプトをガソリン代として活用できるってことですね。

まさしくそうです。

あと、これは少し先の話にはなりますが、30年後には個人で宇宙探査ができる未来を作りたいと思っています。

ー 個人で宇宙探査とは... 詳しく教えてもらえますか。

結局、どの産業も裾野を広げていくためには、産業の民主化。

すなわち、個人の参加が必須だと思っているんですよね。

誰でもタクシーの運転手になれるようにして、市場規模を飛躍させたUberの様に、宇宙の探査機を個人で運転させて、いわゆるトレジャーハンティング的な形でリアルな惑星探査に携わってもらいたいんです

ー えぇ、どういうことですか。

実は、これも私たちが開発している燃料補給機と相関があります。

そもそも、宇宙空間での燃料補給の方法は現時点で2つありまして、1つ目が、燃料をロケットで打ち上げる方法ですね。

ただこれだと、輸送コストの問題もそうですが、実は地球の重力って、岩石惑星の中でも1番負荷が大きいので、ロケットを活用した輸送手段では、重力が一生足枷になるんですよね。

それを解決する手段がもう1つの補給手段である宇宙空間での燃料補給です。

ロケットが当たり前に打ち上がる時代になると、今度は宇宙で取れた燃料を活用した地産地消のシステム構築が間違いなく次の議論になります。

そこを見据えて、私たちが目をつけているのが小惑星での資源探査です。

実際に月面で資源探査や燃料確保の議論は近年活発に行われています。

なんたって地球の重力の6分の1しかないですから。

でも個人的には、地球の重量の6分の1『も』重力があると思っています。

結局、ロケットで打ち上げることを意識したら重力は必要ないわけです。

そこで改めて小惑星の話が出てくるわけです。

月で資源を取っても、月から宇宙空間に輸送しなければならない。そうなると、どうしても燃料の消費が大きくなるので、重力が考慮されない小惑星から資源や燃料を確保する方が遥かに効率がいいのです。

月の重力は地球の6分の1『しか』ではなく、6分の1『も』になることがポイント ©︎Space Connect

ー なるほど、小惑星を活用して、燃料を補給するといったことですよね。

そうなんです。

日本のはやぶさが2020年に小惑星のサンプルリターンに成功しましたよね。

あれ、炭素質惑星に行ったんですけど、あの炭素質の惑星サンプルから揮発性物質が含まれているのがわかってるんです。

で、すごく端的に言えば、揮発性物質を熱することで宇宙機器の推進剤として活用できるんです。

他の小惑星にも同様のものが含まれている可能性は当然あるので、つまりそういうことです。

ー 面白い。とはいっても小惑星に行くのは中々難しそうですね。

それが意外とそうでもなくて。

例えば、近年、月面への物資輸送の話で話題になっていますが、実は小惑星も選べば、地球低軌道から月面に行く推力の3%ほどで行けるものもあるんです。

それでも難易度は高いですが、実現可能性は十分あります。

ー 3%でいけるんですね。全く知らなかったです。

そうなんですよね。

なので、月面には街のようなインフラができると思うんですけど、宇宙空間にある燃料補給インフラの場合、そういった小惑星を活用して、運用するのが将来のコスト的には非常にお得になるわけです。

ただ、小惑星は本当に数が無数にあって、燃料がある惑星を探索するのって、大変なんですよね。

ここで、さっき私が言った個人の宇宙探査、すなわちトレジャーハンター達の出番です。

ー え、どういうことですか。

無数にある小惑星に燃料があるかどうかの探索するのって、普通に考えて大変じゃないですか。

だからゆくゆくは、惑星探査をゲームでノウハウをつけた個人にやってもらおうと考えています。

この構想の面白いところって、本来は仕事であるはずの探査業務を個人が遊び感覚で楽しめるところなんですよね。

この辺りの観点もWeb3.0らしいと思いませんか。

誰でも個人で宇宙探査ができる時代を作ると意気込む若元 淳鷹CEO ©︎Space Connect

ー なるほど、賢い。面白い構想です。

ゲームを体験して、リアルな宇宙開発に興味を持ったユーザがこの夢のある産業に入ってくるようになる。

もちろん、ゲームのユーザが宇宙関連企業に就職するといった未来も良いとは思いますが、私情を挟むと、やっぱり個人の宇宙探査ってところに繋げたいですね。

そのために必要な資金やノウハウはゲームを遊ぶことで確保、将来の宇宙探査に繋げてもらう。

そうするとですよ、仮想もリアルも両方の宇宙産業の民主化が進む

ようやく、仮想とリアルの臨界点を超えるイメージが掴めてきましたか。

ー はい。なんかこれ一度ゲームで遊んでしまったら、人生の全てが宇宙産業に覆われそうですね。

まとめ

ー そろそろまとめに入ります。その前にWeb3.0と宇宙開発、2つを同時並行で進めるとおっしゃていましたが、具体的なロードマップを教えてもらえますか。

はい。流れとしては、

Phase I : GameFi

2025年までに開発中のBCGα版のローンチ

2026年からは、試行錯誤を繰り返しながらゲームを本格的に動かして、資金を調達します。

Phase II : GameFi / SD(宇宙開発)

2025年以降は、そこから得た資金も活用しつつ、裏側で宇宙開発も実施

とりわけ、燃料補給機の開発ですね。

Phase III : GameFi / SD

2030年には、BCGと補給機、PLANETESの基盤になる両翼が完全に完成しています。

Phase IV : GameFi × SD

そこから2040年までにBCGを遊んでいる全てのユーザと協力して、私たちが開発する燃料補給インフラを世の中の当たり前にしたいなと思っています。

Phase V : GameFi ∞ SD

そして、最終的に2050年には個人の宇宙探査の時代、さっき言ったトレジャーハンターですね。

このような世界観を創造していく予定です。

PLANETES具体的なロードマップ
具体的なロードマップ ©︎PLANETES

ー ありがとうございます。さいごに若元さんから読者に向けて、伝えたい想いを教えてください。

はい。

それこそ宇宙もWeb3.0も事業を進めていくにあたり、想定通りに全てが進まない可能性だってあると思っています。

それこそ、色々な微調整を強いられるはずです。

ただ、PLANETESのCEOとして、私たちが思い描く、民主化の世界、とりわけ世界をより良い方向に進めるといった軸からは絶対に外れないように意識しています。

企業っていう母体があっても本質はWeb3.0の会社なので。

そして、この事業の始まりは、社会に対する憤りが起点なので。

私たちはこれから30年かけて、みんなが憧れる宇宙で個人が活動できるようなインフラを作っていきますし、その裏側の仕組みもWeb3.0の概念も含めて構築していくので、PLANETESに興味を持ってもらったり、一緒に働きたいという方がいらっしゃったらお声がけをいただきたいです。

ぜひ仲間になって、一緒に世界を変えましょう

PLANETES INT ファウンダー 若本 淳鷹

©︎Space Connect

ー ありがとうございました。

さいごに

いかかがでしたか。

『仮想とリアルの臨界点を超える』と豪語するPLANETESの今後の活躍に期待が高まるばかりです。

SPACE CONNECTでは、引き続きPLANETESの動向を追っていきたいと思います。

参考:

PLANETESで働きたい方はこちら

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