
2026年2月6日、防衛省は三菱電機株式会社との間で「次期防衛衛星通信の整備」に関する契約を締結した。
契約金額は1,235億3,000万円。本契約は、現在運用されているXバンド防衛通信衛星「きらめき2号」の後継機となる静止衛星の開発・製造に加え、地上システムの設計までを包括する内容となっている。
本記事では、次期防衛通信衛星の役割と特徴、位置づけについて整理する。
次期防衛通信衛星の概要
本契約で整備される次期防衛通信衛星は、自衛隊の部隊運用における指揮統制など、極めて重要な情報通信を担う基幹インフラとなる。災害対応や有事を含むあらゆる状況下で、安定した通信を確保することが求められる。
現在運用中の「きらめき2号」は2030年度に設計寿命を迎える予定であり、今回の契約により、その後継を途切れなく確保することができる。
次期防衛通信衛星の特徴
次期防衛通信衛星では、妨害に対する抗たん性のさらなる強化に加え、同盟国・同志国との相互運用性の確保、今後増大が見込まれる部隊の通信需要への対応が必要となる。
三菱電機は、これまで商用の静止通信衛星プラットフォーム「DS2000」などで培ってきた静止通信衛星技術を活用し、耐妨害性を一段と高めるとともに、通信容量を拡大した衛星の開発・製造を行う。
特に注目すべきは、「デジタル通信ペイロード」の搭載である。
従来の通信衛星は、通信容量やビーム配置を打ち上げ前に設計する方式が中心で、軌道上での変更には一定の制約があった。今回採用されるデジタル通信ペイロードでは、地上からの制御により、状況に応じて通信容量やビーム照射地域を変更することができる。
予測が難しい現代の安全保障環境において、こうした運用の柔軟性は、迅速な対応能力を支える重要な要素となる。

次期防衛通信衛星の位置づけ
防衛省は、「宇宙領域防衛指針」において作戦の基盤となる衛星通信の確保を掲げ、衛星通信インフラの強化を進めている。電波妨害や傍受などの脅威が指摘される中、単一の衛星に依存しない体制の構築が必要となっている。
そのため、静止軌道の通信衛星に加え、地球低軌道の衛星コンステレーションなど複数の方式を組み合わせた多層的な通信ネットワークの整備が必要だとしている。
今回整備される次期防衛通信衛星は、こうした方針の下で、静止軌道から広域通信を担う中核インフラとして整備されるものであり、将来的には多層型ネットワークの一部として活用されることも想定されるだろう。
さいごに
電波妨害や通信の傍受など、衛星通信を取り巻く脅威が現実的なものとなる中、防衛通信インフラには、安定性に加えて抗たん性や運用の柔軟性が求められている。次期防衛通信衛星は、こうした安全保障環境を前提に、静止軌道から広域通信を確保する基幹インフラとして整備されるものだ。
今回、その開発・製造から地上システムの設計までを一括で担う事業者として三菱電機が選定された。長年にわたり静止通信衛星と防衛用途の通信システムを手がけてきた実績を持つ国内メーカーが、1,200億円超の大型案件を担う形となった点は、防衛通信を民間技術で支える現在の整備方針を具体化したものとも言える。








