ispaceミッション2、民間初の月フライバイ成功!次なる挑戦は?
©Space Connect株式会社

2025年2月15日、株式会社ispaceは、同社の民間月面着陸プログラム ミッション2『SMBC x HAKUTO-R VENTURE MOON』において、月着陸船「RESILIENCE」が、民間企業による商業用の月着陸船としては史上初となる「月フライバイ(近傍通過)」に成功したことを発表した。

これにより、ミッション2ではマイルストーン(中間目標)のSuccess5を完了したことになる。

本記事では、ミッション2におけるマイルストーンの重要なポイントや、今後の月面着陸までの予定についてご紹介する。

ispace月面着陸のマイルストーン

ispaceの民間月面着陸プログラムでは、打ち上げから月面着陸に至るまで、10段階のマイルストーンが設定されている。

各マイルストーンには達成基準が定められており、達成状況が評価された上で、後続のミッションに適宜フィードバックされる仕組みだ。

ミッション1(前回)とミッション2(今回)におけるマイルストーンの詳細は、以下の表に示す通りである。

2022年に実施されたミッション1では、最終的な月面軟着陸には至らなかったものの、Success8「月周回軌道投入」まで成功。これにより、民間企業として初めて月面への最終降下フェーズに到達した。

一方、ミッション2では、新たな挑戦としてSuccess5「月フライバイ」を実施。この段階は、ミッション1にはなかった要素であり、ミッション2の重要なポイントの一つとなっている。

ispace 民間月面着陸プログラム ミッション2のマイルストーン
ミッション2のマイルストーン ©株式会社ispace
月面着陸ミッションのマイルストーン
©Space Connect株式会社

民間初!月フライバイに成功

2025年1月15日に打ち上げられたispaceの民間月面着陸プログラム ミッション2において、月着陸船「RESILIENCE」はこれまで順調に各マイルストーンを達成している。

そして、2月15日には民間企業として初となる「月フライバイ」に成功した。

フライバイとは、探査機や人工衛星、着陸船が惑星やその衛星の近くを通過することを指す。この際、探査機が観測を行う場合や、通過天体の重力を利用して軌道を調整することもある。

今回のミッションでは、月フライバイは月の重力を利用して軌道を調整し、次の深宇宙航行の段階へ移行するための重要なマイルストーン。目標通過点に対して数十キロの範囲内を通過する必要があり、精密な軌道計画と運用が求められた。

月着陸船「RESILIENCE」は、2025年2月15日(土)午前7時43分(日本時間)に、月表面から高度約8,400kmの地点を通過。

ミッション1で得た軌道制御の経験と実績を活かし、初挑戦ながらも月フライバイを成功させた。

2025年2月15日にispaceのRESILIENCEランダーが高度14,439㎞から撮影した月の写真
2025年2月15日にispaceのRESILIENCEランダーが高度14,439㎞から撮影した月の写真 ©株式会社ispace

月面着陸までの予定

「RESILIENCE」は今後、ミッション1と同様の低エネルギー遷移軌道(図➁, ※1)を使用して深宇宙を航行し、月を目指す。

「RESILIENCE」は低エネルギー遷移軌道を航行した後、太陽の重力を使用して5月初旬に月重力圏に到達し、月周回軌道に投入される予定だ。

[※1] 低エネルギー遷移軌道:一度月を通り越すような大きな楕円軌道を描き、その帰り道で月と再度出会い、月周回軌道に移行するような軌道。この軌道では月や太陽の重力を利用するため、他の軌道を使用するよりも少ない推進剤で月にたどり着くことができるが、その分時間もかかる。

ミッション2 月への軌道
ミッション2 月への軌道 ©株式会社ispace

さいごに

いかがでしたか。

ispaceのミッション2は、民間企業として初めての月フライバイを成功させ、次の段階へと進んでいる。

株式会社ispace 代表取締役CEO & Founderの袴田 武史 氏は以下のように述べている。

「マイルストーンを着実に達成し成功させるRESILIENCEランダー、そして綿密な準備をし、今回ispaceとして初挑戦となった月フライバイを成功させた従業員を非常に頼もしく感じています。この後、低エネルギー遷移軌道を航行しながら、地球から遥か110万キロの深宇宙を通って月を目指すRESILIENCEランダーの旅路を引き続き一緒に見守っていきたいと思います。」

この後、「RESILIENCE」は低エネルギー遷移軌道を航行し、5月初旬に月周回軌道へ投入される予定である。ミッション1の経験を活かしながら、ミッション2ではどのような成果を上げるのか、今後の展開に注目だ。

ミッション2の内容はこちら

参考

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

フォローで最新情報をチェック

おすすめの記事