スペースワン、カイロス3号機の飛行中断原因を説明|静電気ノイズで通信異常か
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2026年8月30日、スペースワン株式会社(以下、スペースワン)は、小型固体燃料ロケット「カイロス」3号機が飛行中断に至った原因と、4号機に向けた対策を説明した。

飛行中の機体は正常だった一方、自律飛行安全システムの一部で通信異常が発生していた。原因は、機体に蓄積した電荷による電気ノイズである可能性が高いとしている。

本記事では、同日に行われた記者説明会の内容をもとに、3号機の調査結果と4号機に向けた対策を整理する。

カイロス3号機の飛行中断原因

飛行中断に至った経緯

カイロス3号機は2026年3月5日11時10分、和歌山県串本町の専用射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられた。

しかし、打上げから68.8秒後、第1段エンジンの燃焼中に、高度約29kmの地点で飛行中断措置が取られた。

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スペースワンが飛行データを解析した結果、機体の位置、速度、姿勢などは正常であり、予定していた飛行経路からの逸脱も確認されなかった。

一方、機体に搭載された自律飛行安全システムの一部で、通信異常が発生していた。

カイロスには、2系統の自律飛行安全システムが搭載されている。各系統は、機体の飛行状態を監視する飛行安全管制機器と、各段の飛行を中断させる飛行中断機器で構成される。

3号機では、一方の系統において、飛行安全管制機器と第1段の飛行中断機器を結ぶ通信に異常が発生した。全6経路のうち、異常が確認されたのは1経路で、残る5経路は正常だった。

通信異常が発生した系統は、必要なときに飛行を中断できなくなる可能性があると判断し、機体へ飛行中断指令を送った。

つまり、機体が予定していた飛行経路を外れたためではなく、通信異常を検知し、「飛行中断機能を失うおそれがある」と判断されたしたことで、飛行中断措置が取られたことになる。

スペースワンは、通信異常を検知した後の飛行中断処理については、設計どおりに作動したと説明している。

また、通信異常が発生していなければ飛行を継続できた可能性は高いとする一方、その後にも複数の飛行イベントが予定されていたため、ミッションの成功までは断定できないとしている。

通信異常の原因は電気ノイズか

通信異常は、機体に蓄積した電荷による電気ノイズが通信線に入り、通信ソフトウェアをリセットさせたことで発生した可能性が高いとしている。

電気ノイズとは、本来想定していない電気信号が通信回路へ入り、機器の動作を乱す現象である。

通信ソフトウェアがリセットされたことで、飛行安全管制機器と飛行中断機器の通信が一時的に途絶え、自律飛行安全システムが異常を検知したとみられる。

スペースワンは、実機と同じ仕様の機器に静電気を加える地上試験を実施した。その結果、通信ソフトウェアのリセットと、数秒間の通信停止を再現できたという。

ただし、3号機で実際に通信が途絶えていた時間は、異常発生直後に飛行中断へ移行してデータが途切れたため、特定できていない。

静電気は、打ち上げ前から地上設備と機体を接続する通信インターフェースの周辺に蓄積した可能性があるという。従来から静電気対策は講じられていたものの、一部で検討が十分ではなかったとしている。

一方、機器の温度などに異常はなく、3号機に使用した機器固有の不具合を示すデータも確認されなかった。このため、スペースワンは今回の通信異常を偶発的な事象とみている。

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カイロス4号機に向けた3つの対策

スペースワンは、今回の調査結果を踏まえ、カイロス4号機では静電気対策や機器のノイズ耐性を強化し、さらに通信ソフトウェアのリセット機能も見直す方針である。

静電気・電気ノイズへの対策を強化

4号機では、機体に蓄積する電荷を除去し、通信線への電気ノイズの混入を防ぐ対策を実施する。

あわせて電子部品などを変更し、機器が電気ノイズの影響を受けにくい構成へ改める。

対策は、今回通信異常が発生した部分だけに限定せず、同様の通信方式や機器を採用している箇所も確認し、必要な改善を機体全体へ反映する方針である。

通信異常時のリセット機能を改善

電気ノイズなどによって通信ソフトウェアがリセットされた場合でも、早期に通信を復旧できるよう、リセット機能を改善する。

通信停止から復旧までの時間を短縮することで、自律飛行安全システムが飛行中断機能を失ったと判断する事態を防ぐ考えだ。

ハードウェアによるノイズ耐性の強化と、ソフトウェアによる復旧機能の改善を組み合わせ、同様の通信異常の再発防止を図る。

自律飛行安全システムは継続使用

自律飛行安全システムは、4号機以降も継続して使用する。

地上から飛行中断を指示する方式では、飛行経路に沿って多数の地上設備を整備する必要があり、設備投資や維持管理の負担も大きくなる。

スペースワンは2030年代に年間30回の打ち上げを目標としており、高頻度かつ低コストな宇宙輸送サービスを実現するうえで、自律飛行安全システムは欠かせないとしている。

カイロス4号機の打ち上げ時期は未定

スペースワンは、カイロス4号機について可能な限り早期の打ち上げを目指しているが、具体的な打ち上げ時期は未定としている。

打ち上げ日と搭載ペイロードは、打ち上げのおよそ2カ月前に発表する予定である。搭載ペイロードも未定で、ダミー衛星を搭載する可能性を含めて検討している。

4号機に向けては、今回判明した通信異常への対策に加え、これまでの飛行で十分に確認できていない項目も点検する。特に3段目以降について、設計、開発、組立、検査の各工程を改めて確認する方針である。

また、スペースワンは、鹿児島県南さつま市のエルムが開発した移動型地上局の納入を受けている。地上局は飛行中のロケットを追尾しながら通信する設備で、直径2.4メートルのパラボラアンテナを2トントラックに搭載し、必要な場所へ移動して運用できる。

この地上局が4号機で使用されるかは公表されていないものの、スペースワンが今後のカイロス打ち上げに向け、地上側の通信体制も整えていることがうかがえる。

さいごに

今回の調査では、カイロス3号機の飛行状態そのものではなく、自律飛行安全システム内の通信異常が飛行中断の起点になったことが明らかになった。

通信異常を検知した後の飛行中断処理は設計どおりに作動しており、システムは安全側に機能していた。一方、意図しない電気ノイズによって飛行中断に至った点は、打ち上げサービスの信頼性を高めるうえで解消すべき課題である。

4号機では、静電気や電気ノイズへの対策に加え、これまで十分に実証できていない飛行項目の確認も行われる。対策を反映した機体の準備がどこまで進み、次の打ち上げ時期がいつ示されるのか注目されるだろう。

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参考

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