リモートセンシングとは ー 仕組み・種類・活用例をわかりやすく解説
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人工衛星やドローンなどを使い、離れた場所から対象の状態を調べる「リモートセンシング」。近年では、農業や防災、気象、インフラ監視など、さまざまな分野で活用されている。

本記事では、リモートセンシングとはどのような技術なのか、その仕組みや種類、人工衛星を利用した主な活用分野についてわかりやすく解説する。

リモートセンシングとは

リモートセンシング(Remote Sensing)とは、遠く離れた場所から、対象物に触れずに情報を取得する技術の総称※1である。日本語では「遠隔探査」や「遠隔観測」と訳される。

人間が直接近づいて調査する代わりに、カメラやレーダーなどのセンサーを使い、対象物が反射・放射する電磁波などを観測する。取得したデータを解析することで、対象物の種類、温度、水分、形状、高さ、時間的な変化などを推定できる。

リモートセンシングに使われる主な観測手段

リモートセンシングには、人工衛星による地球観測のほか、航空機やドローン、地上設備など、さまざまな観測手段が使われている※2

リモートセンシングで使用するセンサーを搭載する機体や設備は「プラットフォーム」と呼ばれ、次のようなものがある。

プラットフォーム主な特徴主な用途
人工衛星広い範囲を繰り返し観測できる気象、農業、災害、森林、海洋、地図制作
航空機必要な地域を比較的高い解像度で観測できる測量、災害調査、地形把握
ドローン狭い範囲を低高度から詳しく観測できる農地診断、整備点検、災害現場の確認
車両・船舶移動しながら周辺や水域を観測できる道路測量、海洋調査
地上設備同じ場所を継続的に観測できる気象観測、火山監視、構造物監視

このうち、人工衛星を使って地球を観測する方法は、特に「衛星リモートセンシング」と呼ばれる。

衛星リモートセンシングは、地球規模の広い範囲を一定の条件で繰り返し観測できる点が特徴である。一方、ドローンは観測範囲が限られるものの、必要な時期に低高度から細かな画像を取得しやすい。

このように、それぞれの観測手段には異なる特徴があり、観測する範囲や必要な細かさ、観測頻度、費用などに応じて使い分けられている。

リモートセンシングと似た用語

リモートセンシングと似た言葉に「地球観測」がある。

リモートセンシングは、離れた場所から対象の情報を取得するための「技術・手段」を指す。一方、地球観測は、地表や海洋、大気、気候など、地球の状態を調べる「活動」を指す。

地球観測には衛星リモートセンシングが広く利用されているが、地上の観測所や海上ブイなどを使って直接測定する方法も含まれる。

用語意味
リモートセンシング対象に触れず、離れた場所から情報を取得する技術
衛星リモートセンシング人工衛星に搭載したセンサーで地球などを観測する方法
地球観測地表、海洋、大気、気候など地球の状態を調べる活動
GIS位置情報を持つ複数のデータを地図上で管理・分析するシステム

GIS」もまた、リモートセンシングと混同されやすい言葉である。

リモートセンシングが地表や大気などの情報を「取得する」技術であるのに対し、GISは、衛星画像や標高、道路、建物、人口などの位置情報を地図上で重ね合わせ、「管理・分析する」仕組みである。

例えば、人工衛星から洪水の範囲を観測する部分がリモートセンシングであり、その浸水範囲と建物データをGIS上の地図で重ね合わせることで、浸水した可能性のある建物や地域を視覚的に把握・分析できる。

生活の中にあるリモートセンシング

リモートセンシングは、研究や専門分野だけで使われる技術ではなく、私たちの生活にも身近な形で利用されている。

代表的な例が天気予報である。

気象衛星は、雲の分布や海面水温、大気中の水蒸気などを宇宙から観測している。また、地上の気象レーダーは電波を発射し、雨や雪から返ってくる電波を測定することで、降水の位置や強さを把握している。

地図サービスに表示される衛星画像や航空写真も、リモートセンシングによって取得されたデータの一例である。

このほかにも、災害の状況把握や農作物の生育確認、道路や地形の測量など、さまざまな場面で活用されている。

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リモートセンシングの仕組みと種類

リモートセンシングでは、単に遠くから対象物を撮影しているわけではない。
対象物が反射・放射する光や電波などの電磁波を測定し、その特徴を分析することで、対象物の種類や状態、形状などの情報を取得している。

電磁波から対象物の違いが分かる仕組み

リモートセンシングで対象物の違いを見分けられるのは、物質によって電磁波の反射や吸収の仕方が異なるためである。

光や電波などの電磁波が対象物に当たると、その一部は反射され、一部は吸収される。また、物体は温度に応じて熱赤外線などの電磁波を自ら放射している。

どの波長をどの程度反射・吸収・放射するかは、対象物の種類や状態によって異なる。このため、センサーで複数の波長帯における電磁波の強さを測定し、その組み合わせを比較することで、対象物の違いを判別できる。※3

例えば、健康な植物は可視光の赤色を吸収する一方、近赤外線を強く反射する性質を持つ。これに対して、水は近赤外線を吸収しやすい。そのため、赤色や近赤外線など複数の波長帯の観測値を比較することで、植物と水域を見分けたり、植物の状態を分析したりできる。

このような、波長ごとに異なる電磁波の反射・吸収・放射の特徴は「分光特性」と呼ばれる。リモートセンシングでは、この分光特性の違いを利用することで、対象物の種類や状態、水分量、温度など、人間の目だけでは把握しにくい情報を分析できる。

リモートセンシングデータは数値として記録される

リモートセンシングでは、センサーが捉えた電磁波の強さなどを数値として記録する。人工衛星などから取得される画像も、こうした観測値を画像として見える形にしたものである。

例えば、光学センサーでは、地表などから届いた電磁波の強さを細かな範囲ごとに測定する。その値が一つひとつの画素に記録されることで、リモートセンシングデータが構成されている。

衛星画像を構成する数値データのイメージ
衛星画像を構成する数値データのイメージ ©︎Space Connect

さらに、センサーによっては、可視光だけでなく、近赤外線や短波長赤外線、熱赤外線など、複数の波長帯に分けて電磁波を観測する。

このように、特定の波長範囲に分けて観測する区分を「バンド」という。複数のバンドを観測する場合、同じ場所について、波長帯ごとにそれぞれ異なる観測値が記録される。これらの数値に色を割り当てて複数のバンドを組み合わせることで、人が見やすい画像として表示できる。

例えば、赤・緑・青のバンドをそれぞれ対応する色で表示すると、人間の目で見た色に近いトゥルーカラー画像を作成できる。一方、近赤外線など人間の目には見えない波長の観測値にも色を割り当てることで、植生や水域、焼失地などの特徴を見分けやすくしたフォールスカラー画像を作成できる。

バンドの組み合わせによる見え方の比較
バンドの組み合わせによる見え方の比較 ©︎Space Connect

つまり、衛星画像などのリモートセンシング画像は、センサーが取得した観測値をそのまま写したものではなく、波長ごとに記録された数値データを目的に応じて画像として表現したものである。

パッシブセンサーとアクティブセンサー

リモートセンシングに使われるセンサーは、観測に利用するエネルギー源によって「パッシブセンサー」と「アクティブセンサー」に大きく分けられる。※4

分類観測方法代表例
パッシブセンサー対象物が反射・放射する自然の電磁波を受信する可視・近赤外センサー、熱赤外センサー、マイクロ波放射計
アクティブセンサーセンサーから電波やレーザーを照射し、戻ってきた信号を受信するSAR、気象レーダー、LiDAR、レーダー高度計

パッシブセンサー

パッシブセンサーは、自ら観測用の電磁波を発することなく、対象物から届く電磁波を受信して観測するセンサーである。

パッシングセンサーの仕組み
パッシングセンサーの仕組み ©︎Space Connect

可視光や近赤外線を観測する光学センサーは、主に地表で反射された太陽光を利用する。そのため、一般的に夜間は地表の色や反射特性を観測できず、雲がある場合も地表が隠れて観測しにくくなる。

熱赤外センサーは、地表や物体が温度に応じて放射する熱赤外線を観測する。夜間でも地表面温度や熱源を観測を行うことができる。

自然界から放射される微弱なマイクロ波を観測するマイクロ波放射計も、パッシブセンサーの一つであり、海面水温、土壌水分、水蒸気、降水、海氷などの観測に利用されている。

アクティブセンサー

アクティブセンサーは、センサー自身が電波やレーザーを対象物に向けて照射し、反射して戻ってきた信号を観測する。

人工衛星から地表へ電波やレーザーを照射し、反射して戻る信号を測定するアクティブセンサーの仕組み
アクティブセンサーの仕組み ©︎Space Connect

代表例がSAR(合成開口レーダ)である。

SARはマイクロ波を地表へ照射し、その反射波の強さや位相を観測する。この方法は昼夜を問わず観測でき、使用する周波数帯によって違いはあるものの、光学センサーより雲や降雨の影響を受けにくい。

また、LiDARはレーザー光を対象物へ照射し、戻るまでの時間などを測ることで距離や高さを求める。航空機やドローンから地形、森林の高さ、建物などの三次元情報を取得するほか、大気中の雲やエアロゾルの観測にも利用されている。

主なセンサーと観測できる情報

リモートセンシングでは、使用するセンサーや電磁波の種類によって、観測できる情報が異なる。

観測方式電磁波主に分かること
可視・近赤外センサー可視光、近赤外線色、植生、水域、土地被覆
短波長赤外センサー短波長赤外線水分、鉱物、焼失地、雪氷
熱赤外センサー物体が放射する熱赤外線地表面温度、海面水温、火災、火山
SARマイクロ波表面の粗さ、水分、浸水、地殻・地盤変動
LiDARレーザー光距離、高さ、立体構造
マイクロ波放射計自然に放射されるマイクロ波土壌水分、海面水温、水蒸気、降水

それぞれのセンサーには異なる特徴があり、観測したい対象や取得したい情報に応じて使い分けられている。

例えば、可視光や近赤外線を利用する光学センサーは、人が見た状態に近い画像を作成できるため、対象物の形や色などを直感的に把握しやすい。一方、SARは電波の反射特性を観測するため、画像の明るさをそのまま対象物の色として読み取ることはできない。

また、異なるセンサーを組み合わせることで、それぞれの弱点を補うこともできる。例えば災害時には、光学画像で被災地の状況を視覚的に確認し、雲に覆われて地表が見えない地域をSARで観測するといった使い方が行われている。

リモートセンシングデータを評価する4つの分解能

リモートセンシングデータは、単に「どこまで細かく見えるか」だけで性能を評価することはできない。観測できる頻度や波長の細かさ、電磁波の強さをどこまで細かく区別できるかといった点も重要になる。

主な指標としては、空間分解能、時間分解能、波長分解能、放射分解能がある※4

分解能意味
空間分解能地表をどの程度細かく見分けられるか
時間分解能同じ場所をどの程度の頻度で観測できるか
波長分解能電磁波をどの程度細かな波長帯に分けて観測できるか
放射分解能電磁波の強さの違いをどの程度細かく区別できるか

例えば、空間分解能が高いほど、小さな建物や細い道路などを見分けやすくなる。一方で、高い空間分解能を求めると、一度に観測できる範囲が狭くなったり、データ量が増えたりする場合がある。

必要な分解能は、観測する目的によって異なる。広い範囲の海面水温や雲の分布を把握する場合は、建物を識別できるほど高い空間分解能は必要ない。一方、道路や建物の変化を確認する場合には、より高い空間分解能が求められる。

そのため、リモートセンシングデータを利用する際は、単に最も細かなデータを選ぶのではなく、観測したい対象や目的に応じて、必要な分解能を選ぶことが重要である。

リモートセンシングデータが活用されるまでの流れ

リモートセンシングは、センサーでデータを取得して終わるものではない。

観測によって得られたデータを農業や災害対応、インフラ監視などに活用するためには、目的に応じた観測からデータの補正・解析、利用しやすい情報への変換まで、複数の工程が必要になる。

リモートセンシングデータが利用されるまでの流れ
リモートセンシングデータが利用されるまでの流れ ©︎Space Connect

1.観測目的を決める

最初に、何を知りたいのかを明確にする。

農作物の生育状況を調べる、洪水の範囲を確認する、地盤の変動を測定するなど、目的によって必要なセンサーや波長、分解能、観測時期は異なる。

2.対象を観測する

人工衛星や航空機、ドローンなどに搭載したセンサーで対象を観測する。

使用するプラットフォームやセンサーによって、観測できる範囲や頻度、取得できる情報は異なる。

3.地上へデータを送る

センサーが捉えた電磁波などの情報は、数値データとして記録される。

人工衛星の場合、取得したデータは衛星内に一時的に保存され、地上局と通信できるタイミングで無線通信によって地上へ送信されることがある。

航空機やドローン、地上設備では、それぞれのシステムに応じた方法でデータが保存・転送される。

4.データを補正する

センサーが取得したデータには、観測条件やセンサーの特性などによる影響が含まれているため、目的に応じて補正処理を行う。

例えば、位置を地図上に合わせる幾何補正や、観測値を一定の基準に合わせる放射補正などがある。光学データでは、大気による光の散乱や吸収の影響を補正する大気補正が行われる場合もある。

5.データを解析する

補正したデータを分析し、観測した対象の種類や状態、時間による変化など、目的に応じた情報を抽出する。

複数の観測値や異なる時期のデータを比較・組み合わせることで、対象の特徴や変化を把握できる。

6.利用できる情報へ変換する

解析結果は、地図、グラフ、通知、レポート、APIなど、利用者が判断しやすい形式へ変換される。

リモートセンシングでは、観測データを取得するだけでなく、解析を通じて利用者の判断や行動につながる情報へ変換することが、実際の活用において重要になる。

リモートセンシングの主な活用分野

リモートセンシングは、広い範囲の状態や変化を効率的に把握できることから、農業や防災、環境監視、インフラ管理など、さまざまな分野で活用されている。

観測対象分析できる主な情報主な利用分野
植物・森林生育状況、植生分布、伐採、森林火災農業、林業、環境保全
水域・海洋海面水温、水質、海氷、赤潮、油流出漁業、海洋監視、気象
地表・地形土地被覆、標高、浸水、土砂移動地図、防災、都市計画
建物・インフラ位置、変化、沈下、周辺状況建設、設備管理、保険
大気雲、降水、水蒸気、エアロゾル、温室効果ガス天気予報、気候変動、大気環境
船舶・車両など位置、数、移動、活動状況交通、海洋状況把握、安全保障

農業

農業では、農地を上空や宇宙から観測し、作物の生育状況や圃場内のばらつきを把握するために利用されている。

植物は生育状態によって可視光や近赤外線の反射特性が変化するため、この性質を利用して植生指数などを算出すれば、広い農地を一度に比較できる。

主な用途には、次のようなものがある。

・作物の生育状況の把握

・収穫時期や収量の予測

・肥料や農薬を散布する場所の判断

・耕作放棄地や作付面積の把握

・世界の主要穀物生産地域の監視

農林水産省も、衛星リモートセンシングを利用し、世界の主要穀物生産地域の気象情報提供や、国内農地の状況把握に取り組んでいる。※5

森林・環境

森林や自然環境の監視では、人が継続的に調査することが難しい広い地域の状態や変化を把握するために利用されている。

異なる時期の衛星データを比較することで、森林伐採、植生の回復、山火事による焼失、病害による変化などを把握できる。

また、可視光や赤外線、マイクロ波など異なる電磁波を利用することで、植生の状態や水分、森林の構造など、目的に応じた情報を取得できる。

災害対応

災害時には、現地へ近づくことが難しい場所を広い範囲から観測し、被害状況を把握するためにリモートセンシングが利用されている。

主な活用例には、次のようなものがある。

・洪水や津波による浸水範囲の把握

・地震による地表変動の分析

・土砂災害や斜面崩壊の確認

・山火事や焼失範囲の検知

・建物被害や道路寸断の確認

特に人工衛星は広い範囲を観測できるため、大規模災害の状況把握に利用されている。光学衛星では被災地の様子を視覚的に確認しやすく、SAR衛星では雲や太陽光の影響を受けにくい特徴を生かして、悪天候や夜間でも観測できる。

インフラ監視

道路や鉄道、橋、ダム、堤防などのインフラは広い範囲に分布しており、すべてを人の目だけで高い頻度で確認するには多くの時間と人員が必要になる。

リモートセンシングを利用することで、広い範囲から変化が生じている可能性のある場所を抽出し、点検や現地調査を優先すべき場所を絞り込むことができる。

特に干渉SARでは、異なる時期のSARデータを解析することで、道路や鉄道、堤防などの周辺で生じる地盤沈下や地表変動を把握し、点検が必要な場所を絞り込むために活用されている。

気象・海洋

気象分野では、雲や水蒸気、降水、地表面温度、海面水温などを広い範囲で継続的に観測するためにリモートセンシングが利用されている。

特に静止気象衛星は、地球のほぼ同じ範囲を短い間隔で繰り返し観測できるため、雲や台風などの変化を追跡するうえで重要な役割を担っている。

海洋分野では、海面水温や海氷、赤潮、濁り、油流出などの把握に利用される。海洋は現地で観測できる地点が限られるため、広い範囲を繰り返し観測できる人工衛星の利点が大きい。

漁業では、海面水温や植物プランクトンなどの情報が、漁場を判断する材料として利用されている。

地図作成・都市計画

光学画像や航空写真、LiDARなどは、道路や建物、河川、土地利用などの位置や形状を把握するために利用されている。

同じ地域を異なる時期に観測することで、新しい道路や住宅地の建設、市街地の拡大、土地利用の変化なども確認できる。

また、ステレオ撮影やSAR、LiDARなどから地表の高さを求め、数値標高モデルを作成することもできる。こうしたデータは、地図作成のほか、防災や都市開発などにも利用されている。

取得したリモートセンシングデータは、道路や建物、人口、行政区域などの情報とともにGIS上で表示・管理・分析することもできる。

資源探査・安全保障

資源探査では、対象物ごとに異なる電磁波の反射特性などを利用して、地質や鉱物の種類、地表の状態を調べるためにリモートセンシングが活用されている。

航空機や人工衛星などから広い範囲を観測することで、調査対象となる地域を絞り込み、その後の現地調査を効率化できる。

また、安全保障分野では、人工衛星や航空機、無人機などによるリモートセンシングを利用して、船舶や車両、施設、地形などの位置や変化、活動状況を把握するために活用されている。

リモートセンシングの課題と限界

リモートセンシングは、広い範囲や近づきにくい場所の状態を効率的に把握できる一方で、観測条件や使用するセンサーによって、取得できる情報には限界がある。

必要な時期・場所のデータが存在するとは限らない

リモートセンシングでは、確認したい時期や場所のデータを必ず取得できるとは限らない。

人工衛星の場合は軌道や観測頻度、航空機やドローンの場合は飛行条件などによって、観測できる時期や範囲が異なる。また、光学センサーでは雲や日照条件の影響を受ける場合もある。

過去の状態を調べる場合も、対象地域がその時期に観測されていなければデータは存在しない。そのため、利用できるデータの期間や観測履歴を事前に確認する必要がある。

異なるデータをそのまま比較できるとは限らない

長期的な変化を調べる際には、異なる時期やセンサー、観測機器から取得したデータを組み合わせることがある。

しかし、使用するセンサーによって、観測する波長や分解能、観測方向、取得時刻、データの処理方法などが異なる。そのため、複数のデータをそのまま並べるだけでは、正確に比較できない場合がある。

同じ対象でも観測条件の違いによって見え方や観測値が変化することがあるため、位置や分解能をそろえたり、観測値を補正したりするなど、比較できる状態へ整える必要がある。

変化を捉えても原因まで特定できるとは限らない

リモートセンシングは、広い範囲から対象の状態や変化を把握することに適している。一方、その変化がなぜ起きたのかまで、観測データだけで特定できるとは限らない。

例えば、植物の状態に変化が見られても、水不足や病害虫、栄養状態など複数の原因が考えられる。また、地表や構造物の周辺に変化が確認されても、それだけで災害や損傷の発生を断定することはできない。

そのため、リモートセンシングで変化や異常の可能性がある場所を把握し、気象情報や設備記録、現地調査など、ほかの情報と組み合わせて判断することが重要である。

さいごに

リモートセンシングは、離れた場所から対象の状態や変化を把握できる技術であり、人工衛星や航空機、ドローン、地上設備など、さまざまな観測手段で利用されている。

観測する目的によって、適したセンサーや観測範囲、頻度、必要なデータの細かさは異なる。また、取得したデータはそのまま利用するだけでなく、補正や解析を行い、ほかの情報と組み合わせることで、農業や災害対応、インフラ管理などの判断に活用される。

リモートセンシングを効果的に活用するためには、目的に応じた観測手段を選び、取得したデータを実際の判断や行動につながる情報へ変換することが重要である。

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参考

※1:JAXA「リモートセンシングと放射伝達」

※2:産業技術総合研究所「リモートセンシングとは?」

※3:国立環境研究所「リモートセンシング」

※4:NASA Earthdata「Earth Observation Data Basics」

※5:農林水産省「衛星データの利活用」

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