
宇宙から地表の色や形、植生、土地の変化などを捉え、人の目で見た景色に近い画像の取得や赤外線による地表の分析を行う地球観測衛星の一つが「光学衛星」である。
本記事では、光学衛星の仕組みやセンサの種類、衛星の性能を決める要素、主な活用分野などについてわかりやすく解説する。
光学衛星とは
光学衛星とは、一般的に、可視光や赤外線などを観測する光学センサを搭載した地球観測衛星を指す。
人間がカメラで風景を撮影する仕組みに近く、地表の色や形、建物、道路、森林、農地、水域などを画像として捉えられることが特徴である。
ただし、光学衛星が取得するのは、人間の目で見えるカラー画像だけではない。搭載するセンサによっては、可視光に加えて近赤外線や短波長赤外線、熱赤外線なども観測する。これらのデータを解析することで、植生の状態や地表の水分、地表面温度などを推定できる。

光学衛星が地表を観測する仕組み
一般的な可視・近赤外センサは、太陽から地表へ届いた光が反射し、宇宙へ戻ってきたところを観測する。
地表に届いた太陽光は、森林、農地、水、土壌、建物などに当たると、一部が吸収され、残りが反射される。対象物によって吸収・反射しやすい光の波長が異なるため、その違いを調べることで、地表の状態や対象物の種類を推定できる。
例えば、植物は可視光のうち赤色の光を強く吸収する一方、近赤外線を強く反射する性質がある。この反射特性を利用することで、植物が存在する範囲だけでなく、その量や生育状況などを推定できる。
水や土壌、建物なども、それぞれ異なる波長ごとの反射特性を持つ。光学衛星は、こうした違いを複数の波長帯で記録し、地表に存在する対象物やその状態を判別するためのデータを取得している。
一方、熱赤外センサは、主に太陽光の反射ではなく、物体が温度に応じて放射する熱赤外線を観測する。雲に遮られなければ夜間にも観測でき、地表面や海面の温度、火山活動、山火事などの把握に利用される。
光学衛星による一般的な観測の流れは、次のように表せる。

衛星画像はデジタル写真と何が違うのか
光学衛星画像は、一見するとデジタルカメラやスマートフォンで撮影したデジタル写真に似ている。どちらも、光をセンサーで受けて電気信号に変換し、数値データとして保存するという基本的な仕組みは共通している。
両者の主な違いは、観測する光の種類と、データの利用目的にある。

完成した一般的なデジタル画像では、画像を構成する一つひとつの画素に、赤・緑・青の強さを示す数値が記録されている。これら3色の数値の組み合わせによって、さまざまな色を表現する仕組みである。この点は、光学衛星画像も同じである。
一方、多くの光学衛星は、赤・緑・青に相当する可視光だけでなく、近赤外線や短波長赤外線など、人間の目では見えない光も観測する。
同じ地表の地点について、赤い光の反射量、緑の光の反射量、近赤外線の反射量などを、波長帯ごとに分けて記録する。そのうち、赤・緑・青に相当する波長帯を組み合わせることで、一般的なデジタル写真のように、人間の目で見た色に近い「トゥルーカラー画像」を作成できる。
一方、近赤外線や短波長赤外線などの観測値は、そのままでは人間の目で見ることができない。そこで、これらの観測値を画面上の赤・緑・青のいずれかに割り当て、見える色として表示したものが「フォールスカラー画像」である。これにより、通常の写真では分かりにくい植生、水域、焼失地などの特徴を強調できる。
NASAでは、短波長赤外線を含むフォールスカラー画像を、火災による焼失範囲の識別や監視などに利用している。
光学衛星とSAR衛星の違い
光学衛星とSAR衛星の大きな違いは、観測に利用する電磁波の種類と、衛星自身が信号を発するかどうかにある。
一般的な光学衛星は、物体が反射した光や温度に応じて放射する熱を受信する受動型の観測方式である。
対して、SAR衛星は衛星から地表へマイクロ波を照射し、対象物から戻ってくる反射波の強さや位相を観測する能動型の観測方式である。
このような観測方法の違いにより、観測条件や得られる情報にも以下のような違いがある。
| 比較項目 | 光学衛星 | SAR衛星 |
|---|---|---|
| 主に利用する電磁波 | 可視光、近赤外線、 短波長赤外線など | マイクロ波 |
| 主な観測方法 | 物体が反射した光や温度に応じて放射する熱を受信する | 衛星から電波を照射して反射波を受信する |
| 画像の見え方 | 可視光を使った画像はデジタル写真に近く、直感的に理解しやすい | 白黒の濃淡で表示されることが多く、読み取りには専門的な知識が必要 |
| 夜間観測 | 可視光・近赤外線観測は難しい。熱赤外線は観測可能 | 可能 |
| 雲の影響 | 受けやすい | 受けにくい |
| 得意な情報 | 色、形、土地被覆、植生など | 表面の粗さ、水分、浸水、 地表変動など |
| 主な用途 | 地図、農業、森林、 都市監視など | 災害、地盤変動、船舶、 森林監視など |
光学衛星は、地表の色や形、土地被覆などを視覚的に把握することに適している。デジタル写真に近い画像として表示できるため、地表の状況を直感的に理解しやすい。一方で、地表からの反射光を利用するため、雲に遮られると地表を観測できず、夜間の観測にも制約がある。
SAR衛星は、雲や昼夜の影響を受けにくく、地表面の粗さや水分、浸水域、地表変動などの把握に適している。一方、SAR画像では対象物の実際の色を確認できず、建物や地形の見え方も一般的な写真とは大きく異なる。同じ対象でも電波の照射方向や地表面の状態によって明るさが変化するため、画像を正しく読み取るには電波の反射特性や撮影方向などに関する専門的知識が必要である。
このように、光学衛星とSAR衛星では、観測できる情報や適した条件が異なる。実際の衛星データ利用では、観測目的や天候、時間帯に応じて使い分けることが重要である。
例えば、晴天時の光学画像で地表の色や形を確認し、悪天候時や夜間にはSAR画像で浸水や地表変化の有無を確認する。両方のデータを組み合わせることで、それぞれの特徴を生かし、単独の観測方式では得にくい情報を把握できる。

光学衛星の種類と性能を決める要素
光学衛星は、搭載するセンサや観測する電磁波の波長によって取得できる情報が異なる。衛星画像の性能は、単に画像が細かく見えるかどうかだけで決まるわけではなく、撮影頻度や観測範囲、取得できる波長なども、衛星データを選ぶうえで重要になる。
ここでは、画像、分解能、観測幅などの種類について解説する。
画像の種類
1. マルチスペクトル画像
マルチスペクトル画像は、光学衛星で広く利用されている代表的な画像方式である。可視光や近赤外線、短波長赤外線などを、複数の波長帯に分けて観測する。

「スペクトル」とは、対象物が波長ごとにどの程度の光を反射または吸収するかを表した情報である。
マルチスペクトル方式では、可視光や赤外線の中から、観測目的に応じて設定された複数の波長範囲を個別に観測する。各波長帯の観測値を比較することで、地表にある対象物の種類や状態を推定できる。
例えば、欧州の地球観測衛星Sentinel-2は、可視光から短波長赤外線までを13の波長帯に分けて観測するマルチスペクトルセンサを搭載している。波長帯によって10メートル、20メートル、60メートルの空間分解能を持ち、一度に幅約290キロメートルの範囲を観測できる。
農業や森林管理、土地被覆・土地利用の把握などに用いられる光学衛星の多くは、このマルチスペクトル方式を採用している。
2. パンクロマチック画像
パンクロマチック画像は、可視光を中心とした比較的広い波長範囲を一つのバンドとして観測する画像である。

基本的には白黒の濃淡で表示される。赤・緑・青などを波長帯ごとに分けて観測するのではなく、広い範囲の光を一つの観測値として記録するため、対象物の実際の色を再現することはできない。
一方、幅広い波長の光をまとめて受け取ることで、より多くの光をセンサに取り込める。このため、パンクロマチック画像は、複数の波長帯を個別に観測するマルチスペクトル画像よりも、高い空間分解能で取得される場合が多い。
そのため、建物や道路、土地の境界など、地表にある対象物の形状や細かな構造を確認する用途に適している。
また、パンクロマチック画像の細かさと、マルチスペクトル画像の色情報を組み合わせる「パンシャープン」と呼ばれる処理を行うことで、元のマルチスペクトル画像より空間分解能の高いカラー画像を作成できる。
3. ハイパースペクトル画像
ハイパースペクトル画像は、光を多数の細かな波長帯に分けて観測する画像である。

マルチスペクトル画像が離れた複数の波長帯を観測するのに対し、ハイパースペクトル画像は、連続した細かな波長帯を観測し、画素ごとに詳細なスペクトル情報を取得する。
物質は、その種類や成分によって、波長ごとに光を吸収・反射する割合が異なる。ハイパースペクトル画像では、この特徴的なパターンを詳しく捉えられるため、通常のカラー画像やマルチスペクトル画像では区別しにくい鉱物や土壌、植生などの識別や状態の推定に利用できる。
例えば、米国地質調査所(USGS)は、ハイパースペクトルデータを用いて、地表に分布する鉱物や岩石、土壌などの識別・分布把握に取り組んでいる。
マルチスペクトル画像よりも物質を細かく識別できる一方、取得するデータ量が多く、解析には高度な処理が必要となる。また、波長帯を細かく分けるほど一つの波長帯で受け取れる光が少なくなるため、空間分解能や観測幅などとの両立が課題となる。
4. 特別枠:熱赤外画像
熱赤外画像は、広い意味では光学センサーによって取得される画像に含まれる。ただし、可視光や近赤外線を利用する一般的な光学画像とは観測原理が異なるため、ここでは特別枠として紹介する。

可視光や近赤外線を使った一般的な光学画像が、地表や物体で反射した太陽光を捉えるのに対し、熱赤外画像は、地表や物体が温度に応じて放射する熱赤外線を観測する。画像から表面温度や熱分布を推定できるため、目で見ただけでは分からない温度の違いや熱源の位置を把握できる。
主な用途には、次のようなものがある。
- 地表面温度の把握
- 海面水温の観測
- 火山活動の監視
- 山火事の検知
- 都市部のヒートアイランド分析
- 工場や設備などの熱源監視
熱赤外センサは太陽光の反射を利用しないため、観測条件が整えば夜間でも地表から放射される熱赤外線を捉えられる。ただし、雲があると地表からの熱赤外線が遮られるため、地表面温度を観測することは難しい。
また、熱赤外画像は、可視光や近赤外線の画像より空間分解能が低い場合が多く、個々の建物の細かな形状を識別する用途よりも、広い範囲の温度分布や高温域の位置を把握する用途に適している。
衛星画像には4種類の分解能がある
衛星データの性能を評価する際は、さまざまな「分解能」を確認すると、データの特性を把握しやすい。
NASAは、リモートセンシング画像の代表的な分解能として、空間・時間・スペクトル・放射の4種類を挙げている。
| 分解能 | 意味 |
|---|---|
| 空間分解能 | 地表をどの程度細かく見分けられるか |
| 時間分解能 | 同じ場所をどの程度の頻度で観測できるか |
| スペクトル分解能 | 電磁波をどの程度細かな波長帯に分けて観測できるか |
| 放射分解能 | 受信した電磁波の強さの違いをどの程度細かく区別できるか |
1. 空間分解能
空間分解能とは、地表をどの程度細かく見分けられるかを示す指標である。

一般的には、衛星画像を構成する1画素が、地上の何メートル四方に相当するかで表される。
例えば、空間分解能が2メートルの場合、1画素がおおむね地上の2メートル四方に相当する。この数値が小さいほど、建物や道路などの小さな対象物を細かく確認しやすい。
ただし、空間分解能の数値が、そのまま識別できる対象物の最小サイズを示すとは限らない。対象物の形や周囲との明るさの差、センサの性能、画像処理などによって、見分けやすさは変わる。
2. 時間分解能
時間分解能とは、同じ場所を繰り返し観測できる時間間隔を示す指標である。観測間隔が短いほど、時間分解能が高いと表現される。
時間分解能が高ければ、災害発生後の状況変化や建設工事の進捗、農作物の生育など、短期間で変化する対象を継続的に監視しやすい。
複数の衛星を連携させる衛星コンステレーションでは、単独の衛星よりも同じ場所を観測できる機会を増やし、システム全体の時間分解能を高めることができる。
3. スペクトル分解能
スペクトル分解能とは、電磁波をどの程度細かな波長帯に分けて観測できるかを示す指標である。波長分解能、分光分解能とも呼ばれる。
スペクトル分解能は、波長帯の数だけでなく、一つひとつの波長帯の幅や配置によって決まる。狭い波長帯を細かく設定するほど、波長による反射や吸収の変化を詳しく捉えられる。
波長帯を細かく分けて観測できれば、見た目の色や形が似ている対象物でも、光の反射特性の違いから識別できる可能性が高まる。
多数の連続した波長帯を観測するハイパースペクトルセンサは、鉱物や土壌、植生などの種類や状態を詳しく分析する用途に適している。
4. 放射分解能
放射分解能とは、センサが受け取った光や電磁波の強さを、どの程度細かく区別して数値として記録できるかを示す指標である。
放射分解能が高いセンサは、明るさや反射の強さの小さな違いを、より細かな数値の差として記録できる。
例えば、同じ森林や農地に見える場所でも、植物の生育状態や地表の水分量によって、反射する光の強さが異なる場合がある。
こうした小さな差を記録できれば、肉眼では分かりにくい地表の状態や変化を分析しやすくなる。
分解能以外に確認したい観測条件
衛星画像を選ぶ際は、4種類の分解能に加えて、観測幅や撮影の自由度、データの提供速度なども判断材料となる。
観測幅とは、衛星のセンサが1回の通過で撮影できる地表の幅である。衛星は軌道に沿って移動しながら、観測幅の範囲を帯状に観測する。
衛星やセンサの設計では、空間分解能、観測幅、撮影頻度、データ量などの間にトレードオフが生じることが多い。
高い空間分解能で細かな画像を取得する場合、一度に観測できる範囲が狭くなりやすい。一方、広い範囲を一度に観測できる衛星は、森林、農地、海洋、気象などの広域監視に適しているが、空間分解能が低くなりがちで、個々の建物や車両などは識別しにくい場合がある。
さらに、実際に衛星データを利用する際は、次のような条件も用途に影響する。
- どの波長帯を観測できるか
- 希望する場所や日時を指定して撮影できるか
- 過去の画像がどの程度蓄積されているか
- 取得後、どの程度の時間でデータが提供されるか
目的に適した衛星データは、最も高精細な画像ではなく、必要な範囲、頻度、波長、提供速度を満たす画像と言える。
光学衛星の活用例
光学衛星は、画像の直感的な分かりやすさと、複数の波長から地表の状態を分析できることを生かし、幅広い分野で利用されている。
ただし、光学衛星画像だけで目的の情報を得られるとは限らない。実際の分析では、他の種類の衛星データや地図、気象データ、行政情報、現地調査などを組み合わせて判断する。
地図作成・都市開発・インフラ管理
高い空間分解能を持つ光学画像では、道路、建物、造成地、港湾施設などの位置や形状を確認できる。
異なる時期に取得した画像を比較すれば、新たに建設された建物や道路、土地開発、工事の進捗など、土地利用や地表の変化を把握できる。
主な用途には、次のようなものがある。
- 地図の作成や更新
- 都市の拡大状況の把握
- 建設工事の進捗確認
- 道路や鉄道周辺の監視
- インフラ周辺の土地利用変化の把握
- 違法造成や不法投棄が疑われる場所の抽出
身近な例としては、Google Earth(グーグルアース)がある。ただし、Google Earthには衛星画像だけでなく、航空写真や3D画像、ストリートビューなども使用されているため、表示される画像のすべてが光学衛星によって撮影されたものではない。
農業・森林管理
近赤外線を含むマルチスペクトル画像を利用すると、植物の反射特性から、農作物や森林の状態を分析することが可能である。
農業分野では、農地の位置や作付面積の把握、作物の生育状況、収量の予測、水不足や生育不良、病害などの影響が疑われる場所の抽出に利用される。
森林分野では、森林面積の変化、伐採、山火事の被害、植生回復などを広域かつ継続的に監視できる。
災害状況の把握
災害発生前後の光学画像を比較すれば、土砂崩れ、建物や道路の被害、山火事の焼失範囲、河川や海岸線の変化などを確認できる。
光学画像は一般的な写真に近く、被害状況を直感的に理解しやすいため、防災機関や自治体の職員だけでなく、専門的な画像解析の知識を持たない人とも状況を共有しやすい。
一方、台風、豪雨、洪水などの災害時には、被災地域が厚い雲に覆われていることが多く、光学衛星では地表が見えず、必要なタイミングで状況を確認できない場合がある点に注意が必要である。同様に、夜間には、太陽光の反射を利用する可視光や近赤外線の画像を取得できない。
この弱点を補う手段として利用されるのがSAR衛星である。SARは雲を通過しやすいマイクロ波を利用するため、光学衛星が観測できない状況でも、浸水域や地表の変化を把握することができる。
海洋監視・安全保障
高分解能の光学衛星画像は、港湾施設、飛行場、船舶、車両、基地、建設中の設備などを視覚的に確認できるため、海洋監視や安全保障分野でも利用されている。
対象物の色や形、影、周囲との位置関係を読み取れる点は、光学衛星の大きな強みである。
ただし、画像に写った対象物を正確に識別するためには、空間分解能だけでなく、撮影角度、太陽の位置、雲や影の状態、過去画像との比較、解析者の知識なども必要になる。
また、衛星画像から人物の行動や建物内部を直接確認できるわけではなく、光学衛星で分かるのは、基本的に上空から確認できる外観や地表面の状態である。
光学衛星データを提供する代表企業5選
光学衛星を手がける企業は、空間分解能、観測頻度、観測範囲、データ提供までの時間など、それぞれ異なる強みを持っている。
ここでは、光学衛星事業を展開する世界で代表的な5社を紹介する。
| 企業 | 主な衛星 | 特徴 |
|---|---|---|
| Vantor | WorldView、WorldView Legion | 30cm級の超高分解能画像 |
| Planet Labs | SuperDove、Pelican | 地球規模の高頻度観測 |
| Airbus Defence and Space | Pléiades Neo、Pléiades、SPOT | 超高分解能から広域観測まで対応 |
| BlackSky | Gen-2、Gen-3 | 高頻度撮影とAI解析 |
| アクセルスペース | GRUS-1、GRUS-3 | 日本発の小型光学衛星コンステレーション |
Vantor
Vantorは、米国を拠点に光学衛星画像や地理空間情報を提供する企業である。2025年にMaxar Intelligenceから社名を変更しており、旧社名でも広く知られている。
WorldViewシリーズやWorldView Legionなどの光学衛星を運用し、30cm級の超高分解能画像を提供している。Vantorの画像衛星コンステレーションは10機で構成され、同じ場所を1日に最大15回観測できる。
30cm級の画像では、建物や道路、港湾施設、航空機、車両など、地表にある比較的小さな対象物まで詳しく確認できるため、都市計画や地図作成のほか、防衛、安全保障、災害対応など、高い空間分解能が必要な用途に強みを持つ。
Planet Labs
Planet Labsは、多数の小型光学衛星を運用する米国の地球観測企業である。
同社の広域観測サービス「PlanetScope」は、主にSuperDoveと呼ばれる小型衛星によって取得された画像を提供している。SuperDoveは、赤、緑、青、近赤外線に加えて、コースタルブルーやレッドエッジなど計8つの波長帯を観測する。
PlanetScopeは約3m級の空間分解能で世界の陸域をほぼ毎日観測するため、広い範囲で起きる変化を継続的に追跡できる点が特徴である。個々の建物を細かく確認することよりも、農地の状態、森林減少、災害による被害、建設工事、土地利用の変化などを定期的に把握する用途に適している。また、特定地点をより高い空間分解能で撮影するPelicanや、可視光から短波長赤外線までを細かな波長帯に分けて観測するハイパースペクトル衛星Tanagerも展開している。
Airbus Defence and Space
Airbus Defence and Spaceは、欧州を代表する航空宇宙・防衛企業であり、複数の光学地球観測衛星を運用している。
主な光学衛星には、30cmの空間分解能を持つPléiades Neo、50cm級のPléiades、広い範囲を観測するSPOTなどがある。Pléiades Neoは、地表の細かな対象物を確認する超高分解能観測に対応している、一方、SPOTは一度に広い範囲を撮影できるため、地図作成、農業、森林管理、環境監視などに活用されている。
用途に応じて異なる空間分解能や観測幅の衛星画像を提供できることが、Airbusの強みである。
BlackSky
BlackSkyは、光学衛星による高頻度撮影とAI解析を組み合わせ、撮影から解析結果の提供までの迅速性を重視した地理空間情報サービスを展開する米国企業である。
第3世代のGen-3衛星は、35cm級の光学画像を取得できる。重要地点を1日に複数回撮影し、衛星画像の変化をAIで解析することで、現地の状況を迅速に把握できる仕組みを構築している。
BlackSkyは、特定の場所を高頻度で監視することに重点を置いており、港湾に出入りする船舶、空港に駐機する航空機、軍事施設、工場、災害発生地域など、短時間で状況が変化する対象の監視に適している。
衛星画像を販売するだけでなく、撮影指示、画像配信、AI解析までを一体化している点が特徴である。
アクセルスペース
アクセルスペースは、日本で小型衛星の開発・製造・運用を行う企業である。自社の光学地球観測衛星GRUSを使用した衛星データ提供サービス「AxelGlobe」を展開している。
2026年7月7日、次世代光学衛星GRUS-3を7機打ち上げ、同月10日に全機のクリティカル運用を完了した。現在は初期運用を進めており、GRUS-3による地球観測データサービスは2026年内の開始を目指している。
GRUS-3は2.2mの空間分解能と、1機当たり28.3kmの有効観測幅を持つ。7機を組み合わせた1日当たりの撮影能力は合計約230万平方キロメートルとされている。
また、GRUS-3には、沿岸部や浅い海域の情報を捉えるコースタルブルーの波長帯が追加された。これにより、従来の地表や植生の観測に加えて、海底地形や藻場など浅海域の観測への活用も想定されている。
北緯25度以上では同じ場所を1日1回観測できる設計であり、精密農業、森林監視、地図作成、環境監視、安全保障などへの活用が見込まれている。
さいごに
光学衛星は、可視光や赤外線などを観測する光学センサを搭載し、宇宙から地表の色や形、植生、温度などを捉える地球観測衛星である。
一般的な写真に近い画像だけでなく、近赤外線や熱赤外線などを利用することで、植物の生育状況や水域、焼失地、地表面温度など、人間の目では分からない情報も分析できる。
光学衛星は、地図作成、農業、森林管理、災害対応、安全保障など、幅広い分野で活用されており、データを選ぶ際は、空間分解能だけでなく、撮影頻度や観測幅、波長、データの提供速度などを目的に応じて比較することが重要である。
今後は、衛星コンステレーションによる高頻度観測やAIを活用した画像解析が進み、光学衛星は地球上の変化を継続的に把握し、さまざまな意思決定を支える社会インフラとして、さらに重要性を増していくだろう。
宇宙業界では現在、様々な企業が人材を募集している。興味のある方は、業界特化型の転職プラットフォーム「スペジョブ」をチェックしていただきたい。

参考
NASA Earthdata:New HLS False Color Composite Layer Added to FIRMS















