「地方×宇宙の産業創出」に強いamulapoが宇都宮市と連携、体験型セミナー開催へ
©Space Connect株式会社

宇宙ビジネスや新規事業の経験のない方でも参加できる「宇宙ビジネスアイデアワークショップ」が、2024年10月26、27日の2日間、栃木県の宇都宮市で開催される。

宇都宮市は航空宇宙関連産業を重点新興産業に位置付けており、その産業集積等を推進している。

本記事では宇都宮市の宇宙関連事業や、今回開催される宇宙ビジネスアイデアワークショップの詳細についてご紹介する。

宇宙産業と地方自治体

2024年に経済産業省が発表した資料によると、世界の宇宙産業の市場規模は約54兆円となっており、モルガン・スタンレーはこれが2040年までに140兆円規模になると予測している。

現在の54兆円の市場規模のうち、約4分の3は民間衛星・打ち上げ関連。ロケットや衛星の開発、衛星データの利活用を始めとして、宇宙産業とあらゆる産業との連携が「新しい宇宙ビジネス」の広がりを生んでいる。

世界の宇宙産業の市場規模
世界の宇宙産業の市場規模 (経済産業省資料から引用)

日本政府も、宇宙産業を日本経済における成長産業とするため、2020年に4.0兆円となっている市場規模を2030年代早期に2倍の8.0兆円に拡大していくことを目標とし、大きな予算を投入して民間支援を強化

そのような中で、地域経済や地元産業の活性化に向けて宇宙産業を積極的に推進する自治体も増加しており、内閣府と経済産業省が共同で運営する団体が選定した「宇宙ビジネス創出推進自治体」は、鳥取県、長野市など県・市町村合わせて10以上となっている。

他にも、福島県南相馬市など様々な自治体が宇宙産業の活性化に向けて舵を切り、宇宙ビジネス創出支援や地元産業との連携等に取り組んでいるのだ。

宇都宮市の宇宙産業

栃木県宇都宮市でも、「うつのみや産業振興ビジョン」において航空宇宙関連産業を重点新興産業に位置づけ、その産業集積等を推進。

強みとなる地域特性としては、以下のようなものがある。

  • 内陸型工業団地としては国内最大級の規模である清原工業団地などの新興により、航空宇宙関連を含む多くの企業・事業所が集積。全国でも有数の産業都市として発展
  • 近年における起業家支援施設の運営やアクセラレータープログラムの実施により、スタートアップが集積
  • 小型人工衛星の開発を進める帝京大学のキャンパスが存在

2024年に、同市は企業版ふるさと納税を財源とする「宇宙ビジネス認定事業補助金」を新たに創設するなど、宇宙産業振興に向けた取り組みを促進。

「宇宙ビジネス認定事業補助金」は宇都宮市内で宇宙産業に関連する事業を行う事業者の方などを対象に、企業版ふるさと納税を財源として事業の実施に要する費用を補助するもので、現在は、宇宙デブリ(ごみ)対策事業を行う株式会社BULLが対象事業として認定されている。

そしてまた、「宇宙ビジネスアイデアワークショップ」も同市の宇宙産業振興に向けた取り組みの1つだ。

ワークショップについて

ワークショップイメージ画像
©株式会社amulapo

「宇宙ビジネスアイデアワークショップ」は、宇宙関連スタートアップの発掘・創出、市内の既存企業の宇宙ビジネスへの参入を促進するために実施される、宇宙ビジネスや新規事業の経験のない方でも参加できる2日間のワークショップだ。

同ワークショップでは、宇宙ビジネスに関する基本知識習得のための講義や、地域においてビジネス創出経験のある講師によるワークショップなどを通じて、宇宙ビジネスについての理解を深めることができる。

メンターには、宇宙ビジネスに精通し、幅広く活躍する青木英剛氏をはじめ、地元でのビジネス創出経験や宇宙ビジネス・技術に関する知見があるメンバーを選出。

宇宙ビジネスに関心があるがどこから始めてよいかわからないという方でも、アイデア創出からビジネスモデル構築までメンターのサポートを受けながら知識を深め、アイデアを形にするヒントを得ることができるようなワークショップである。

宇宙×地方に強みのあるamulapoが運営

今回の「宇宙ビジネスアイデアワークショップ」では、宇都宮市から委託を受けた株式会社amulapoが運営を務める。

amulapoは、宇宙体験のコンテンツ制作や、教育や人材育成、宇宙に関する技術の開発や支援、研究者の異分野交流の場づくりなど宇宙と社会を相互に発展させるような事業に取り組む研究者集団。

ispaceの月面探査車の開発にエンジニアとして携わった経験を持つ代表取締役CEOの田中克明氏、月面探査ロボットの研究に携わるCOOの松広航氏、宇宙機の航法誘導制御技術の研究に従事するCTOの日高萌子氏など、宇宙開発で活躍するメンバーが揃っている。

同社は2020年の設立以降、茨城県や鳥取県など様々な地域と連携しながら事業を展開してきた。

特に鳥取県では、「鳥取砂丘における夜の月面都市AR体験」など観光コンテンツの展開や、鳥取県庁の鳥取砂丘月面化プロジェクトデータ分析事業の実施、ビジネスプランコンテストの運営などを実施。

鳥取砂丘での月面宇宙飛行士体験の様子
鳥取砂丘での月面宇宙飛行士体験の様子 ©株式会社amulapo

同社は、宇宙に関連する様々な活動を通して地域の活性化に貢献。

同社の事業は観光庁による「地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業」にも採択され、全国で有数のモデル事業として選抜もされている。

宇宙開発の知見を持ちながら、宇宙エンタメ分野や宇宙ビジネス分野で活躍してきた同社が運営するワークショップでは、幅広い視点からの意見や知識の取得が期待できるだろう。

概要・申し込み

「宇宙ビジネスアイデアワークショップ」の概要・申し込み情報は以下の通りとなっている。

居住地問わず、宇都宮市内における宇宙ビジネスへの参入に意欲のある方はどなたでも無料で参加できるため、興味のある方はぜひチェックしていただきたい。

  • 実施日程:2024年10月26日(土) 13:00 ~ 2024年10月27日(日) 12:30
  • 会場:二荒テラス(若者まちなか活動・交流センター)2階 研修室
    (宇都宮市馬場通り1丁目1-1 二荒山会館)
  • 対象者:宇都宮市内において新たに宇宙ビジネスへの参入に意欲を持つ事業者、起業家、学生(高校生以上)等。
    (参加者の居住地は問わない)
  • 募集期間:2024年8月30日(金) ~ 2024年10月7日(月)
  • 応募方法公式Webサイトにて募集要項を確認し、応募フォームに必要事項を記入して応募。
    (応募者多数の場合に抽選を行う可能性あり)

さいごに

いかがでしたか。

今回は、宇都宮市における宇宙産業の取り組みや、同市が開催するワークショップの詳細についてご紹介した。

宇宙産業は製造や観光、物流など他のあらゆる産業との関わりが深く、宇宙産業が伸びることで他の産業が伸び、他の産業が伸びることで宇宙産業が伸びるという、相互の発展関係が期待できる。

他産業にとっては、現段階でどれだけ宇宙産業に参入できるかが、今後の発展のカギとなってくるだろう。

参考

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