2022年10月21日、Space BDは、「ぐんまスペース&エアロプロジェクト事業」における、2022年度「群馬県宇宙イノベーションパートナーシップ業務」を同年9月に受託したことを発表した。
「ぐんまスペース&エアロプロジェクト事業」とは、群馬県が県内の宇宙産業振興を目的に主導するプロジェクト。
Space BDは、今冬より、同県内企業の宇宙ビジネス参入支援などを通じた機運醸成に取り組む見通しだ。
本記事では、群馬県とSpace BDがどのような形で宇宙企業に対して、支援していくのかについて執筆する。
群馬県と宇宙産業
群馬県と言えば、草津温泉やこんにゃくが有名であるものの、県外育ちだと、あまり馴染みのない県かもしれない。
しかし、意外かもしれないが、群馬県は、かつてより航空宇宙産業が根付く由緒ある土地である。
それこそ宇宙と言えば、つくばのある茨城が真っ先に思い浮かぶと思うが、同じ北関東の群馬も負けていない。
戦前に世界有数の航空機メーカーとなった中島飛行機の一大拠点が置かれた地であり、現在は、日本の宇宙産業を支える巨頭、IHIエアロスペースの主要工場も群馬県にあるのだ。
そんな同県は、2016年から、県主導で宇宙産業におけるマッチング事業や技術指導などに力を入れている。
航空宇宙産業への新規参入や販路拡大を後押しする「ぐんま航空宇宙産業振興協議会」も設立した。
現在も約200の企業が加盟しており、事業の創出、推進活動が活発に行われている。
最近の一例では、今年の8月2日に“宇宙ビジネス入門セミナー~衛星データ活用編~”が開催された。
セミナーではJAXAの講師による講演や「衛星データ活用アイデアソン」が行われ、興味深い意見も飛び交っていたそうだ。
群馬県は本年度、県内宇宙ビジネスの市場拡大を本格的に進めるため、セミナーや体験型講座の開催になんと約1000万円の予算を設けている。
このように、実は群馬県と宇宙産業の関わりは深いのである。
また、Space BDは、JAXAとの関わりも深く、宇宙産業の商社的な立ち位置の会社であるため、群馬県が宇宙産業に力を入れる方針を打ち出しているのであれば、連携することもごく自然な流れなのであろう。
群馬県とSpace BDの連携
群馬県は、Space BDとの連携を通じて、ワークショップの開催や実証プロジェクトの実施などで協業していくとのこと。
ワークショップでは、衛星データの利活用やモノづくり産業における宇宙進出など、群馬県庁と協議したテーマでアイデアを議論。
また、同ワークショップから生まれたいくつかのアイデアを、実証プロジェクトとして、プロトタイプの開発・検証をしていく予定だ。
Space BDの地域活性ソリューション
Space BDでは以下の4つの分野で、宇宙に係る地域課題の解決をサポートしている。
- 産業振興
- 人材育成
- 衛星データ利活用
- 地域プロモーション
本件の場合、1.産業振興の分野で宇宙産業活性化に貢献する予定だ。
さいごに
近年、SpaceXの台頭や前澤氏の宇宙旅行の影響もあり、「宇宙」といった言葉が再び脚光を浴び始めている。
先月開催された北海道宇宙サミットでも、「宇宙産業にこれから参入しなければならない」といった目的意識を持った他産業企業が参加しており、少しづつだが、宇宙産業拡大の余波を感じる。
だが、興味を持っても、そこから宇宙産業に参入する足掛かりを掴むのは難しい。
このような課題の解決策として、県と宇宙系企業が連携して、企業の新規事業創出の後押しをする企画は、非常に有益な価値を提供するものであると、筆者は考えている。
とはいえ、参加する企業がいなければ、このような価値のある取り組みも意味を成さない。
宇宙ビジネスを知ってもらう機会をどこまで創出できるのかが、今後の鍵になってくるだろう。
Space BD 株式会社について
Space BDは、日本の宇宙ビジネスを、世界を代表する産業に発展させることを目指す「宇宙商社®」。
2017年の創業以来、宇宙への豊富な輸送手段の提供とともに国際宇宙ステーション(ISS)を初めとする宇宙空間の利活用において、ビジネスプランの検討からエンジニアリング部門による技術的な運用支援までをワンストップで提供している。
技術力に立脚した営業力・事業開発力を礎に、多様なキャリアバックグラウンドを持ったメンバーが、宇宙を活用した官民の事業化支援・事業変革、教育分野などに事業を展開。
2022年8月現在、衛星取扱い約50件を含め100件以上の実績を重ねている。
参考: