衛星データで数十億円の地方自治体コストを削減!?Ridge-iが長野市と共同実証へ
©株式会社Ridge-iの画像を使用

 株式会社Ridge-i(リッジアイ)は、内閣府が実施する、衛星データの利活用促進に向けたプロジェクト『令和6年度課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト』に採択されたと発表した。

リッジアイは長野市と共同で、衛星データを活用して土地の利用状況や建物の価値の変化を検出し、自治体の固定資産税関連業務の大幅な作業効率化を可能とするAI技術を実証する。

本記事では、このAI技術におけるリッジアイの強みや、自治体業務の大幅な効率化を可能とする方法についてご紹介する。

高度なAI技術×コンサルティング

まずはじめに今回の大幅な効率化を実現させた「リッジアイの今まで」についてご紹介する。

リッジアイは、AI・ディープラーニング技術を活用したソリューションにより、経営・社会課題の解決に挑むディープテックベンチャー企業である。

2016年に設立し、2023年5月に東証グロース市場への新規上場を果たした。

事業内容は以下の3つ。

  1. AI活用コンサルティング・AI開発サービス
  2. 人工衛星データ AI解析サービス
  3. AIライセンス提供サービス

リッジアイの強みは、画像解析ディープラーニングを中心に、センサーによる異常検知AI、最適化AIなど様々な最新技術を組み合わせた「マルチモーダルAI」だ。

これにより、人間の作業や知見、感性、感覚を再現することが可能となっている。

同社は、このコア技術に、コンサルティングや衛星データを組み合わせて経営・社会課題を解決。

ビジネスの専門家もチームに交えながら、戦略策定から要件定義フェーズに始まり、現場のコンサルテーションから開発・運用保守まで、顧客が投資対効果を実感するまで一気通貫で伴走する。

衛星データ解析市場のリーディングカンパニーへ

リッジアイの創業以来、AIを活用した様々な事業で数多くの実績をあげている中で、現在、特に好調なのが衛星データのAI解析サービスである。

同社は、様々な種類の衛星データを解析するAI技術や、衛星画像に映る影を削除する特許技術、衛星画像を解析しやすくするような前処理を行う特許技術を所有。

これらの技術が評価され、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や官公庁の公募案件に加えて大手企業からの案件が大型化し、売り上げ高は前年同期比で約4倍となった。

また、SDGs課題と環境変化を衛星画像から発見する「GRASP EARTH」などで第4回から宇宙開発利用大賞を3回連続受賞している。

近年増加しつつある衛星データ解析企業の中でも、注目の企業だ。

【※参考:Ridge-iが東証グロース市場に上場、衛星データ解析で目指すは国内No.1

数十億円の地方自治体コスト削減サービス⁉

リッジアイが今回実証するのは、地方自治体の固定資産異動判読調査業務における課題解決を目的としたサービスである。

固定資産異動判読調査とその課題

固定資産異動判読調査業務とは、固定資産税や都市計画税の課税客体である土地や家屋の利用状況の変化、また家屋の新築・増築または取壊し等を把握する業務。

すなわち、市町村税収の約41%(2022年度)を占める固定資産税の基準となる物件の価値を正確に把握する業務ということだ。

これまでは、航空写真を用いて高さ、形状、色の違い等を比較して変化を検出し、検出した結果に対して、職員による目視確認を行ってきた。

この方法では、以下のような課題が存在する。

  • 既存の航空写真データの取得コストが高い
  • 家屋の変化箇所を検出するためのコストが高い
  • 検出結果に対して、人の目視確認を行うのが大変
  • 家屋変化箇所の検出結果に課税対象外(カーポート等)の誤検出が発生

リッジアイのソリューション

リッジアイは、上記の課題を解決するため、衛星データとAI技術を使用したサービスを提案。

過去の家形図データと、目視のイメージに近い光学衛星データ、電磁波のはねかえり情報から地表表面を観測するSAR衛星データを変化検出AIに読み込ませることで、自動で家屋変化を検出。

地図上に表示可能な形式で調査対象を出力するため、その所在地リストをもとに現地調査を行うことができる。

固定資産異動判読調査業務の効率化に衛星データを活用 
固定資産異動判読調査業務の効率化に衛星データを活用 ※PRTIMESから引用

このサービスの主なメリットは以下の3つ。

  • 衛星データを活用することでデータ取得コストを削減
  • 家屋変化箇所を検出する業務をAIにより一部代替
  • AIの検出精度を上げることで、人の目視確認のコストを削減

衛星データは航空写真に比べ取得コストが安く、データ購入範囲を柔軟に設定可能。

さらに、AI技術も効果的に活用することで、データ取得、分析のコスト削減を図る。

期待される効果としては、長野市で数千万円、横展開後は日本全体で数十億円の地方自治体コスト削減効果を見込んでいるという。

さいごに

いかがでしたか。

リッジアイが提案する新たな衛星データ利活用サービスでは、AIと衛星データの活用により、従来のコスト高や労力を大幅に削減する上に、より効率的で正確な業務遂行が期待できる。

自治体の業務負担も大幅に改善するこの技術が日本社会に与える影響はとても大きなものになるだろう。

これからの展開、そして同社の活躍が非常に楽しみだ。

参考

リッジアイ、内閣府 宇宙開発戦略推進事務局による「令和6年度課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」に採択 

2024年7月期第3四半期決算説明資料

事業計画及び成長可能性に関する事項

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