農業分野で新たな需要!? JAXA×電通、人工衛星データを活用した新しい挑戦とは

7月2日、NASAは、地球に降り注ぐ太陽放射を観測する小型衛星を打ち上げた。これはプロトタイプ実験であり、将来的に太陽放射量の測定と解析の両方を行う小型衛星の開発に向けられている。

株式会社電通グループと宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)の下、人工衛星データ活用による、広告の高度化を通じた需要の創出と受給の最適化の実現に向け、共創活動を開始したと報じた。

人工衛星データは既に様々な分野で活用が進んでいる。例えば農業分野においては農作物の収量増大や収穫時期予測に活用されている。

しかしながら、天候の影響によりデータが欠損[*1]し、解析が困難になるといった課題があった。この取り組みでは上記の課題の解決を目指し、人工衛星データの解析技術を高めるという。

また同時に、得られた情報を販売・広告施策にリアルタイムで反映させることで、商品の需要を感知し、過不足のないよう需給関係を最適化する。電通は、衛星データを解析して、農作物の出荷量、出荷時期や価格の予測モデルを構築・高精度化。

その作物を食材として用いる調味料商材の広告出稿の種類・タイミングの最適化を目指す。これにより、広告効果の向上のみならず、食料廃棄量の低減も期待されている。

JAXAは、これまで培った地球観測衛星の利用技術をベースに、雲の影響等により衛星データの利用が制限される課題の改善にAIを用いて取り組んでいる。実地データと衛星解析データを突合し評価することで課題の改善を目指す。

解析における連携協力者として、株式会社スペースシフト、株式会社Fusicが挙げられた。衛星データを広告に利用することでどれだけの効果が出るのか楽しみである。

また、今回の共創はデータ解析技術の発展を促し、衛星利用ビジネスを盛り上げることは疑いの余地がない。どの分野にとってもビジネスチャンスだ。

[*1]衛星データの欠損

光学センサを用いて撮像した人工衛星画像は一般的な地上のカメラと近く、地球表面の色が見える。そのため、雲がかかった場所や夜間は地上の様子を撮影できない。一方、表面の温度がわかる熱赤外線センサなど雲りの日や夜でも解析可能な撮像方法もある。

参考文献:

人工衛星データ活用による広告の高度化を通じた 需給連携事業の共創を開始 

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