組み立て期間は3日!?インドの最新インスタントロケット、最初の打ち上げ結果とは
©ISRO

2022年8月7日、インド宇宙研究機構(ISRO)が開発した新型ロケット「SSLV」初号機が、スリハリコタのサティシュダワン宇宙センターの第一発射台から打ち上げられた。

SSLV-D1ミッションは、135kgの衛星「EOS-02」を赤道から約350km、軌道傾斜角約37度の地球低軌道に打ち上げるものであった。このミッションでは約8㎏のAzaadiSAT衛星も搭載。その様子はISROの公式YOUTUBEアカウントでライブ配信され、70万回以上視聴された。

この記事では、今回打ち上げが行われた新型ロケットSSLVについての紹介と、打ち上げの結果について記載する。

72時間で発射準備!?新型ロケット「SSLV」

SSLVは、高さ34m、直径2mの機体で、打ち上げ質量は120t。多段式ロケットであり、第1段〜第3段は固体推進剤を使用。最終段は、液体推進剤を用いた速度制御モジュール(Velocity-Trimming Module, VTM)である。VTMは、目的の軌道に衛星を投入するための速度調整を行う。

同ロケットは、小型・超小型衛星(質量10〜500kg)を500kmの平面軌道に打ち上げる。特徴として、低コスト、オンデマンドでの打ち上げ、複数の衛星の搭載などが挙げられる。しかし、1番注目すべき点はターンアラウンドタイムの短さだ。

ターンアラウンドタイムとは打ち上げ後、次の打ち上げに向けてロケットを準備する期間のことである。ロケットは通常、組み立てに時間を要し、その期間は2カ月以上のことが大半だ。ところが同ロケットの場合、わずか72時間で次の発射準備を終える。ターンアラウンドタイムの削減を進めているSpaceXのFalcon-9ロケットでも21日間を要することを考えると、72時間というのは驚異的な数字である。

打ち上げは成功?失敗?

SSLVの最初の打ち上げは、始めは順調に進行した。第1段~第3段まで順に燃焼し、本体から切り離された。しかし、最終段のVTMに異常が発生。衛星の分離には成功したものの、そこから通信が途絶え、目的の軌道に衛星が投入されたのかどうか判断がつかない状況となった。

ISROは問題発生後すぐに分析を開始。数時間で状況と原因の特定に成功した。状況としては、SSLVは、衛星を目的の円軌道ではなく、別の楕円軌道に投入していたことが判明。人工衛星は使用不可能となり、SSLV-D1ミッションは失敗に終わった。

しかし、同機構は、“すぐに次のSSLV-D2ミッションに戻る。”と、前向きな姿勢を示している。今回のインドの新型ロケットのように、これまでのロケットの打ち上げ手法では考えられなかったような方法で、ロケットを打ち上げる組織が増えている。きっと私たちの思惑を超えて、宇宙産業が発展していくことが予想されるだろう。次のSSLV-D2ミッションの成功に期待だ。

参考:

SSLV-D1/EOS-02 Mission

ISRO Twitter

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