文科省、インターステラテクノロジズに39.3億円を追加配分|SBIRの累計交付上限額は193.7億円に
©Space Connect

2026年10月7日、文部科学省は「中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3基金事業)」の宇宙分野について、インターステラテクノロジズ株式会社(以下、IST)への39.3億円の追加配分を決定したと発表した。

本記事では、追加配分の内容とこれまでの審査経緯、ZEROの開発に向けた取り組みについて解説する。

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文科省、ISTへの39.3億円の追加配分を決定

ZEROの開発・飛行実証に39.3億円を追加配分

今回の追加配分は、SBIRフェーズ3基金事業の事業テーマ「民間ロケットの開発・実証」の一環として決定された。

同事業は、国内の宇宙輸送能力の強化に向け、民間企業によるロケットの技術開発から飛行実証までを支援するものである。開発の進捗に応じて段階的に審査を行い、次の開発段階への移行や支援額を決定する仕組みを採用している。

ISTは2026年3月のステージゲート審査を通過し、最終段階となるフェーズ3への移行が認められた。現在は、2028年3月末までの事業期間で、小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」の技術開発・飛行実証に取り組んでいる。

今回は、事業目標の確実な達成と成果の最大化を目的に、外部有識者で構成する臨時のステージゲート審査委員会が開催され、書面審査とプレゼンテーション審査を実施。審査対象となったISTの1件について、39.3億円の追加配分が決定した。

フェーズ3の交付上限額は113億円、累計193.7億円に

ISTは、2023年の採択以降、段階的に支援を受けながらZEROの開発を進めてきた。

フェーズ1では20.0億円、フェーズ2では46.3億円の交付上限額が設定され、2025年2月にはフェーズ2に14.4億円の追加配分が決定。

さらに、2026年3月の審査でフェーズ3への移行が認められ、73.7億円の交付上限額が設定された。

今回の39.3億円の追加配分は、フェーズ3の当初交付上限額の約53%に相当する。これにより、フェーズ3の交付上限額と追加配分額の合計は113.0億円となり、全フェーズを通じた累計交付上限額は154.4億円から最大193.7億円へ拡大した。

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SBIR「民間ロケットの開発・実証」の採択企業と支援状況

2023年に4社を採択、フェーズ2には3社が移行

国際競争力を持つ民間ロケットの開発・飛行実証を支援するSBIRフェーズ3基金事業の「民間ロケットの開発・実証」では、各社が異なる技術や事業形態を目指すなか、国は開発の進捗や事業化の見通しなどを段階的に審査し、支援対象を選定してきた。

2023年9月に文部科学省が10件の応募からIST、スペースワン株式会社、将来宇宙輸送システム株式会社、株式会社SPACE WALKERの4社の採択を決定。

その後、2024年9月のステージゲート審査では、IST、スペースワン、将来宇宙輸送システムの3社がフェーズ2への移行を認められた。

最終フェーズにはISTとスペースワンの2社が移行

2026年3月のステージゲート審査では、ISTとスペースワンの2社が最終段階となるフェーズ3へ移行。

文部科学省の民間ロケット開発を支援するSBIR事業の選定経緯。2023年に4社を採択し、2024年にIST・ISC・スペースワン株式会社がフェーズ2へ移行。2026年にISTとスペースワン株式会社がフェーズ3へ移行し、ISCはフェーズ2を2027年5月末まで延長。
文部科学省のSBIRフェーズ3基金事業「民間ロケットの開発・実証」における企業の採択とフェーズ移行の流れ(©Space Connect, 文部科学省の公表資料を基に作成)

スペースワンは、2025年2月にフェーズ2で4.1億円の追加配分を受けており、同社の累計交付上限額は、フェーズ1の3.2億円、フェーズ2の12.3億円、追加配分4.1億円、フェーズ3の44.6億円を合わせた64.2億円となっている。

一方、将来宇宙輸送システムはフェーズ3への移行が認められなかったものの、フェーズ2の事業期間を2027年5月末まで延長。同社は2025年2月に0.85億円、2026年6月に10億円の追加配分を受けており、これまでのフェーズ1の20億円、フェーズ2の50億円と合わせ、累計交付上限額は80.85億円となっている。

2026年10月時点では、ISTとスペースワンがフェーズ3、将来宇宙輸送システムが延長されたフェーズ2で支援を受ける形となっている。なお、2026年10月に実施された今回の追加配分審査では、ISTの1件のみが審査対象となり、スペースワンは対象に含まれていない。

ロケットZEROの開発と商用化に向けた取り組み

ISTがSBIRフェーズ3基金事業の支援を受けて開発を進める小型人工衛星打ち上げロケット「ZERO」は、以下のような特徴を持つ。

最大1,000kgの小型衛星打ち上げに対応

ZEROは、小型人工衛星の打ち上げに特化した2段式ロケットである。

全長は32m、全備重量は71トンで、低軌道(LEO)への最大衛星投入能力は1,000kg。エンジンは第1段に9基、第2段に1基を搭載する構成で、燃料に家畜ふん尿由来の液化バイオメタンを採用しているのが特徴だ。

打ち上げ拠点は、東と南に海が広がる北海道大樹町の北海道スペースポート(HOSPO)。ISTはZEROを通じて、衛星専用の打ち上げから複数衛星の相乗り打ち上げまで、多様な需要に対応する宇宙輸送サービスの提供を目指している。

トヨタとの連携や民間資金調達で開発体制を強化

ISTは、ZEROの技術開発と並行して、商用化を見据えた製造体制の強化や資金調達、顧客獲得を進めている。

2025年8月には、トヨタ自動車株式会社およびウーブン・バイ・トヨタ株式会社との業務提携を発表。自動車産業で培われた製造技術や生産管理の知見を取り入れ、ロケットの高頻度打ち上げと低コスト化を目指している。

資金面では、2026年1月にウーブン・バイ・トヨタを主導的な投資家とするシリーズFで、総額201億円の資金調達を完了した。

また、ZERO初号機については、国内外の7機の衛星を搭載する予定で、衛星分離機構の実証を行う韓国企業を含む8社・団体との打ち上げ契約を締結している。

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さいごに

文部科学省は、SBIRフェーズ3基金事業において、ISTのロケットZERO開発に39.3億円の追加配分を決定した。これにより、同事業における累計交付上限額は最大193.7億円となった。

ISTは、ロケット本体の技術開発に加え、トヨタとの製造分野での連携や民間資金の調達を進めている。こうした取り組みは、初号機の飛行実証だけでなく、その後の商用打ち上げサービスを実現するうえでも重要となる。

今後は、2027年度末までの事業期間において、ZEROの開発と飛行実証がどこまで進むかが焦点となる。国内の小型衛星打ち上げ能力の拡大に向け、技術開発と事業化の進展に注目したい。

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スぺジョブ

参考

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