AIを活用したソリューション事業を提供する株式会社Ridge-iは、2023年4月26日、東京証券取引所グロース市場 (証券コード: 5572) に新規上場したことを発表した。
AI技術に強みを持つ同社だが、今後、衛星データ解析市場にも本格的に参入してくることが今回のレポートから明らかになっている。
本記事では、同社の衛星データ解析事業に着目。
Ridge-iの将来性並びに投資検討材料も含めて参考にしていただければと思う。
目次
Ridge-iについて
AI技術を顧客『に』提供するではなく、顧客『と』伴走することで新規上場を果たしたRidge-i。
そんな同社の主要事業は3つ。
- 自社で開発したAIプログラムや利用ライセンスの提供
- AI・ディープラーニング技術のコンサルティングおよび開発
- 人工衛星データ解析AIサービス
どの事業も包括的にAIを活用したモデルになっている。
売上構成の大半は、AI活用コンサルティング事業で全体の92%を占めているのだが、人工衛星データ解析AIサービスも5%と微力ながら売り上げに貢献している(2022年2022年7月期の売上構成比)。
では、なぜ売り上げがあまり見込めない人工衛星データ解析AIサービスを同社は展開しているのだろうか。
ここからは、衛星データとAIを活用して、どのような課題を解決してきたのかも含めて考察していく。
Ridge-i × 衛星データ
NHKとの意外な関わり方
例えば、2022年に4月17日に放映された、NHKスペシャル『忘れられゆく戦場~ミャンマー 泥沼の内戦~』では、同社が衛星画像をAIで分析し、海外紛争による建物の崩壊を視覚化している。
ここでポイントになるのは、依頼から納品まで2週間と圧倒的に速いところ。
NHKのような報道番組では、情報の鮮度が命になるので、その辺りを加味した対応力の速さが同社の強みと考えられる。
モーリシャスを救ったのは衛星データ
続いて、2020年7月25日、日本の貨物船が座礁し、燃料の重油が大量流出した事故について。
世論を騒がせた同ニュースだが、ここでもRidge-iの衛星データ解析サービスが大活躍。
海面の油膜を捉えることができるSAR衛星で海面上を撮影したデータを解析し、重油流出と推定される箇所をヒートマップで表示。
重油流出の被害範囲を瞬時に特定した結果、環境被害の拡大防止に寄与した。
駐車場スペースも楽々検知
また、駐車場予約アプリと連携して、衛星画像から駐車場用スペースを自動検出するAIを開発。
これにより、新たに駐車場として活用できる遊休地を効率的に見つけることが可能となり、駐車場開拓における営業活動の時間対効果の削減にも貢献。
その他にも土砂崩れの検出、森林火災箇所の摘出、街の影やノイズ除去等。
同社の衛星データ活用サービスが、あらゆる社会問題の解決に一枚噛んでいるのだ。
このような側面から、Ridge-iは、衛星データ解析の領域において、すでにリーディングカンパニーの地位を築きつつある。
実は、ここが非常に重要なポイントである。
Ridge-iの成長戦略
現時点では、全体売上の数%しかない衛星データ活用セクションだが、Ridge-iはこの領域で、国内のリーディングポジションを狙うと具体的に明言している。
この背景を知ると、同社の美しすぎる成長戦略の全貌が理解できるはずだ。
人工衛星解析市場の拡大に伴い、同社の戦場でもある地球観測市場も2040年には、2.5兆円と市場が急拡大することが予想されている。
とりわけ、官公庁では安全保障の領域。
民間ではSDGsやESG含めた環境領域のニーズが急拡大していくはずだ。
高いAI技術力を有している模倣困難性の高さが同社の強みなのだが、今後大きな成長が期待される市場でリーディングカンパニーの地位を確立している競争優位性も、投資検討材料としては、留意すべきポイントであろう。
トヨタをはじめ、業界のトッププレイヤー達の顧客ニーズを押さえ、AI活用コンサルティング事業で収益を上げてきたことにより、念願の上場を果たしたRIdge-i。
それに加えて、上場後の成長戦略を見据えて、この急成長産業のトップランカーの地位を築き上げた同社の経営手腕には、目を見張るものがある。
このような側面から、新興ベンチャー企業のRidge-iは攻守のバランスが取れた安定度の高い企業といえるのではないだろうか。
さいごに
いかがでしたか。
本記事では、主に同社の衛星データ解析AIサービスを主体に論理を展開してきましたが、同社の強みは、他社を寄せ付けない高度な技術力とそれをビジネスに落とし込める翻訳能力の高さであると筆者は考察している。
マルチモーダル技術をはじめ、Ridge-iのAI技術の高さや概要等を知りたい方は是非、下記の参考URLから確認していただければと思う。