[必読] SpaceXから学べ!!!日本のベンチャー企業において大切な3つのこと

これは宇宙飛行士の野口聡一氏がSpaceXでの学びを通じて感じた日本の宇宙ベンチャー企業が成功するために大切な3つのことについて、言及している記事だ。宇宙ビジネスに関係なく、ビジネスマンはこの記事を読むことを強くお勧めする。

記事の論点要約 :

宇宙飛行士の野口氏は、JAXA、NASAでの26年間の経験よりもSpaceXの2年間での学びの方が多かったという。日本の宇宙ベンチャー企業がイーロンマスク率いるSpaceXから学ばなければいけないことは3つ

  1. Agile (アジャイル)
  2. Flexible (フレキシブル)
  3. Drastic (ドラスティック)

上記の3つの要素を兼ね備えた組織を作ることが日本の宇宙ベンチャー企業にとって必要である。

宇宙ビジネスカンファレンスの様子
宇宙ビジネスカンファレンスの様子 ©︎fumi

今回の内容は、SPACETIDE主催のアジア最大級の宇宙ビジネスカンファレンス3日間の数多くのトークセッションの中で、特に印象に残った日本の宇宙飛行士として一時代を築き上げた野口 聡一氏と宇宙キャスター榎本 麗美氏のトークセッションの内容に沿って執筆させていただいた。

人類の宇宙進出の先にある未来社会

参考にしたトークセッション
今回の記事の参考になったトークセッション ©︎SPACETIDE

このトークセッションのテーマが、人類の宇宙進出の先にある未来社会。宇宙進出が人々や社会にもたらす価値を宇宙ビジネスの展望を交えつつ議論するといった趣旨だ。それでは、野口氏と榎本氏の議論の内容について記述することにする。

↓ここからトークセッション要約

昨年、宇宙旅行者の数がプロの宇宙飛行士の数を超え、宇宙旅行元年と言われた。国の選抜試験を通過し、プロにならないと宇宙にいけないというのがこれまでの通例であったが、その常識を覆したのがSpaceXという民間企業だ。

民間企業がロケットやカプセルを作ること自体は新しいことではない。ただ、結局のところ、国の援助は必要不可欠だった (Ex. NASAの発射場を借りる等)。

しかし、同社は、2020年の試験飛行に成功すると、ロケットの製造、運用、人の訓練、非常時の救援部隊まで、国の助けを借りずに全て自社で完結する仕組みを作ったのだ。ここまでなら誰でも思い付く。しかし、現実は甘くない。

そんな思惑が飛び交う中、同社は、民間人だけが搭乗して初めて低軌道に達した有人飛行、インスピレーション4を成功させた。要するに、宇宙飛行士無しで誰でも宇宙に行ける新しい時代を作ったということになる。

トークセッションの様子
榎本氏(左)と野口氏(右)のトークセッションの様子 ©︎fumi

成功する3つの秘訣

では、SpaceXはどのように宇宙業界にイノベーションを巻き起こしたのか。ここからがいよいよこの記事の本題だ。今でこそ、誰もが憧れる会社だが、創業から20年間余りの歴史は、決して明るいものだけではない。

それこそ、前半は失敗の連続であった。NASAからの資金調達が出来なければ、潰れていたであろう。しかし、同社は生き残った。その結果、宇宙業界に新たなイノベーション旋風を巻き起こしたのだ。

では、SpaceXのイノベーションの源泉はどこにあったのだろうか。その要因を野口氏は3つ挙げている。まずは変革の速さ、Agile(敏捷)な組織であること。

例えば、何か失敗が起きた時、同社はその失敗の報告書を上げている間に改良試験を終え、次のロケットを発射している。反省する暇があったら、改善して次のサイクルを回すといったような国家には真似できないスピード感があった。

2つ目は、非常にFlexible(柔軟)な組織であること。同社のロケットは従来のものと比較して、とにかく低価格。理由の1つとして、再利用できるロケットを作ったことが挙げられる。

基本的に使い捨て、1度打ち上げたら終わりのロケットを再利用できるというのは、非常に革新的な取り組みであった。創業者がIT畑出身ということもあり、型に嵌まらない考え方で事業を進めることができたのも大きいだろう。

そして3つ目は、Drastic(思い切りの良い)な組織であること。この章の冒頭でも述べたが、同社はとにかく失敗が多い会社だ。しかし、失敗を決して恐れない。人命に影響があるなどの致命的な結果を招かない限り、たとえ大きなリスクであったとしても積極的に挑戦する。

これが結果として、開発のスピードを速め、技術力を飛躍的に高めたと推測される。Agileの要素で述べたことと、類似する部分でもあるが、過渡期の激しい荒波の中でも失敗を恐れず抜本的な変化を厭わない企業文化を醸成できていた、これも成功要因の1つであっただろう。

Agile Flexible Drastic
野口氏の考える宇宙ベンチャー企業の成功に必要な要素

さいごに

国家政策として宇宙事業を進める場合、失敗しても原因究明を徹底しないといけない。それに対して、同社は民間企業だったからこそ、AgileでFlexibleでDrasticな組織を作ることができた。要するに、民間企業の良さを最大限に活かした企業、それがSpaceXだ。

野口氏が、JAXA、NASAでの26年間の経験よりも同社の2年間での学びの方が多かったとトークセッション中に仰っていたが、その真意はここまで記事を読むと容易に理解できるはずだ。では、日本の企業に当てはめてみると、どうだろう。

民間企業の良さを最大限に活かさず、官僚的な思考に捉われ、現状に甘んじている企業が大半なのではないだろうか。それでは、いつまでたっても世界は広がらない。テクノロジーが急速に発展し、世界に取り残されつつある日本。この変化に食らい付いていくためにもSpaceXから学ぶべきことは非常に多いのではないだろうか。

人物紹介:

野口 聡一

日本の宇宙飛行士 (Space Shuttle, Soyuz, SpaceX)

合同会社 未来圏 代表

株式会社国際社会 経済研究所 理事

榎本 麗美

J-SPARKナビゲーター

宇宙キャスター

一般社団法人そらビ 代表理事

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