アクセルスペースHD、Q1決算は売上高3倍も最終赤字拡大|GRUS-3不具合が影響
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2026年10月15日、小型衛星の開発・運用および地球観測データ事業を展開する株式会社アクセルスペースホールディングス(以下、アクセルスペースHD)は、2027年5月期第1四半期(Q1)決算を発表した。

本記事では、最新決算のポイントと事業の進捗、今後の衛星開発計画について整理する。

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アクセルスペースホールディングスの概要

アクセルスペースHDは、東京都中央区に本社を置き、小型衛星の開発・運用事業を手がける株式会社アクセルスペースを中核子会社とする持株会社である。

同社グループの事業は、大きく「AxelLiner」と「AxelGlobe」の2つに分かれる。

AxelLiner事業は、顧客の要望に応じた小型衛星の開発・製造から打ち上げ、運用までを支援する事業である。宇宙用機器を実際の宇宙環境で試験する軌道上実証サービス「AxelLiner Laboratory(AL Lab)」も展開している。

一方、AxelGlobe事業は、自社の小型光学衛星「GRUS」シリーズで取得した地球観測画像や解析サービスを提供する事業である。

2031年5月期末までに30機体制の自社衛星コンステレーションを構築することを目標としており、政府機関の安全保障用途をはじめ、農業、インフラ管理、災害監視、環境監視などへの活用を進めている。

アクセルスペースが開発した衛星
アクセルスペースが開発した衛星(出典:アクセルスペース/PRTIMES)

アクセルスペースHDの決算内容|2027年5月期第1四半期

第1四半期決算概要

アクセルスペースHDが発表した2027年5月期第1四半期決算(2026年6月~8月)では、売上高が9億5,081万円、営業損失が8億2,683万円、経常損失が9億273万円、親会社株主に帰属する四半期純損失が27億8,470万円となった。

前年同期と比較すると、売上高は約3.1倍に拡大し、営業損失も縮小した。一方、GRUS-3の不具合に伴う特別損失の計上により、最終損失は拡大している。

AxelGlobe事業が売上高の拡大をけん引

アクセルスペースHDの売上高拡大をけん引したのは、地球観測データを提供するAxelGlobe事業である。

同事業の売上高は10億1,462万円となり、前年同期比3,302.2%増加。セグメント損益も前年同期の2億8,730万円の赤字から、2億3,433万円の黒字へ転換した。

主な増収要因は、防衛省が進める「衛星コンステレーションの整備・運営等事業」の進展である。

また、既存顧客からの受注や経済産業省の委託試験研究も売上高の増加に寄与した。

費用面では、2028年5月期に打ち上げを予定する高分解能衛星3機の研究開発費に加え、GRUS-3の打ち上げ保険料や政府系案件に関連する支払手数料などが計上された。しかし、売上高の拡大による利益の増加が費用の増加を上回り、AxelGlobe事業は前年同期の赤字から黒字へ転換した。

AxelLiner事業では契約に関する協議が業績に影響

顧客向け衛星開発や軌道上実証を提供するAxelLiner事業では、売上高がマイナス6,380万円となった。前年同期は2億7,855万円の売上高を計上していた。

また、セグメント損失は前年同期の4億5,060万円から6億1,558万円へ拡大した。

売上高がマイナスとなった主な要因は、小型衛星用推進機メーカーPale Blueとの軌道上実証サービス契約に関する売上高の取消処理である。

両社は2025年12月に、Pale Blueが開発するホールスラスタの軌道上実証サービス契約を締結。しかし、実証に使用する衛星に技術的な課題が生じ、Pale Blueが契約解除を申し入れたことから、2026年10月6日に協議を開始した。

これを受け、アクセルスペースHDは契約継続が不確実となったことから、前期に計上した関連売上高を取り消した。

一方、NEDOから受託した試験研究は計画に沿って進捗している。費用面では、衛星の製造計画やPale Blueとの契約協議に伴う引当金などの計上により売上原価が増加し、セグメント損失の拡大につながった。

GRUS-3の不具合により約18.8億円の特別損失を計上

今回の最終損失が拡大した主な要因は、2026年7月に打ち上げた小型光学衛星「GRUS-3」の不具合である。

打ち上げたGRUS-3の7機のうち4機に、撮影した画像データを地上へ送信する高速通信系統に不具合が生じ、予定していた商用運用が困難となっている。

これに伴い、同社は当該4機について将来の収益回収可能性を検討し、18億7,912万円の減損損失を特別損失として計上。

このため、売上高の増加によって営業損失は縮小したものの、多額の特別損失によって最終損失が拡大する結果となった。

2027年5月期の通期業績予想を下方修正

2027年5月期の通期連結業績予想については、2026年10月6日に下方修正したものを据え置いている。

売上高予想は従来の90億円から67億円へ引き下げ、最終損失は2億4,000万円から36億5,000万円へ拡大する見通しとなった。

主な要因は、GRUS-3の不具合による衛星画像の提供開始の遅れと、Pale Blueとの軌道上実証サービス契約に関する協議の影響である。また、GRUS-3の減損損失も最終損益に影響している。

一方、修正後の売上高予想67億円は前期比167.1%増に相当し、引き続き大幅な増収を見込んでいる。

財務状況と新たな資金調達計画

アクセルスペースHDの2027年5月期第1四半期末(2026年8月末)の総資産は111億6,531万円となり、前期末の146億926万円から減少。また、現金及び預金は前期末の約58.2億円から約34.0億円へ減少している。

衛星の開発・製造や打ち上げに関連する前渡金が増加する一方、GRUS-3の減損損失の計上などにより固定資産が減少した。

こうした中、同社は2026年10月15日、新株予約権の発行を決議した。当初の条件ですべて行使された場合、約43億円の資金調達を見込む。調達資金は、主に衛星の製造・打ち上げや海外事業の拡大などに充てる予定である。

なお、実際の調達額は株価や権利行使の状況によって変動する。

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事業の進捗と今後の計画

GRUS-3、残る3機は2027年2月の商用運用開始を目指す

アクセルスペースは2026年7月7日、次世代地球観測衛星「GRUS-3」7機の打ち上げに成功した。しかし、その後4機で、撮影した画像データを地上へ送信する高速通信系統の不具合が確認された。

不具合が発生したのは、画像データの送信に使用する「電力増幅器」と呼ばれる機器である。電力増幅器の放熱が十分でなかったことで内部の温度が上昇し、部品が損傷した可能性が高いと推定されている。

不具合が発生した4機は、高速通信系統による画像データの送信が困難となったが、衛星の姿勢制御や低速通信系統などは正常に動作している。そのため、低速通信系統を活用したデータの商用利用を検討している。

一方、不具合が確認されていない3機については、電力増幅器の消費電力を抑え、通信時間を短縮するなどの対策を講じ、2027年2月の商用運用開始を目指す。

また、10月15日には外部専門家5名による「GRUS-3不具合検証アドバイザリーボード」の委員が確定したことを公表。同組織では、不具合の原因や再発防止策を第三者の視点から検証し、2026年11月末頃をめどに最終報告を取りまとめる予定である。

AxelLiner LaboratoryではASPINA製機器の軌道上実証を計画

AxelLiner事業では、宇宙用機器の軌道上実証サービスの展開を進めている。

2026年10月15日には、ASPINAシナノケンシと共同開発した「リアクションホイール※」の軌道上実証を実施する予定であると発表した。AxelLiner Laboratoryとして初の軌道上実証ミッションとなる。

※リアクションホイール

内部の車輪を回転させることで、人工衛星の向きを制御する機器

今回実証する機器は、両社が2020年から共同開発を進めてきた100kg級人工衛星向けの製品であり、受注から出荷まで2~3か月という短納期の実現を目指している。

同機器は、7月に打ち上げ、不具合が確認されたGRUS-3のうち1機に搭載されているが、リアクションホイールの軌道上実証は実施可能とのこと。

今回の実証では、リアクションホイールの信頼性や姿勢制御性能、宇宙環境での特性を検証する。取得したデータをASPINAの今後の開発・製品化に活用する方針である。

海外販売網の拡大と衛星データの利活用を推進

AxelGlobe事業では、海外市場や民間分野への販路拡大も進めている。

2026年9月2日には、欧州の航空宇宙大手Airbusグループ傘下のAirbus Defence and Spaceと、GRUSによる中分解能光学衛星画像の販売パートナーシップ契約を締結したと発表。

また、9月18日には、パシフィックコンサルタンツと衛星データの利活用による社会インフラ分野の課題解決に向けた業務提携覚書を締結した。

これらの取り組みにより、海外への衛星画像の販売拡大に加え、防災やインフラ管理などの分野で衛星データの活用促進を図る。

今後は、防衛省関連事業に加え、海外や民間分野での収益機会をどこまで拡大できるかが注目される。

2031年5月期末に向けて衛星30機体制を目指す

アクセルスペースHDは、2031年5月期末までに約30機の自社衛星コンステレーションを構築する目標を掲げている。これに向け、2028年5月期に打ち上げを計画する高分解能衛星3機をはじめ、観測能力の向上に向けた衛星開発を進める方針だ。

一方、GRUS-3の不具合を踏まえ、2029年5月期の衛星計画について見直しも検討している。

具体的には、高分解能衛星2機の完成時期を後ろ倒しするとともに、新たな中分解能衛星3~4機の打ち上げを前倒しする案が示された。

なお、これらの計画変更は現時点で決定していない。

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さいごに

アクセルスペースHDにとって、GRUS-3の不具合への対応と、衛星画像の安定供給体制の確立が当面の重要課題となる。2027年2月に予定する商用運用の開始が、今後の事業展開における一つの節目となりそうだ。

また、衛星コンステレーションの拡充には継続的な投資が必要となる。資金調達と衛星開発を進めながら、防衛省関連事業での収益拡大を海外や民間分野にも広げられるかが注目される。

同社グループでは現在、様々なポジションで人材を募集している。興味のある方は、業界特化型の転職プラットフォーム「スペジョブ」をチェックしていただきたい。

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参考

※本記事は、2026年10月15日時点の公開されている決算資料やIR情報をもとに、企業の事業動向を整理することを目的としたものです。特定の銘柄の売買を推奨するものではなく、投資助言を目的としたものでもございません。

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