2024年1月27日、宇宙スタートアップ企業である株式会社アクセルスペースが、営業・事業開発職や技術職向けに中途採用向け会社説明会を実施した。
社員の大半が宇宙業界未経験者でありながら、「小型衛星技術のパイオニア」として上場も視野に入れて事業を展開する同社の事業や仕事はどのようなものなのか。
実際に会社説明会に足を運び、調査して参りました。
衛星界のAWS!?アクセルスペースの宇宙事業
今回アクセルスペースの事業紹介で登壇したのは同社の取締役で、AxelGlobe事業本部長を務める深澤達彦氏。アクセルスペースには2022年11月に入社している。
アメリカの半導体スタートアップのAPAC(アジア太平洋)地域責任者として経営に参画した経験や海外の人工衛星スタートアップの国内事業の立ち上げと組織開発・運営を責任者として担った経験を持つ人物である。
アクセルスペースが「小型衛星のパイオニア」である理由
アクセルスペースの創業は2008年。 学生による小型衛星の開発・運用に世界で初めて成功して世界を驚かせた中村友哉氏、永島隆氏などにより設立された企業だ。
2013年にウェザーニュース社の衛星「WINISAT-1」を打ち上げて以来、合計9基の人工衛星の打ち上げに成功し、運用してきた。
そのうち5基は同社の人工衛星、4社は外部から受託して開発した人工衛星である。
同社の設立当時はまだ小型衛星に関する知見や技術も、自社の衛星を所有する民間企業もあまりない時代。
「WINISAT-1」は世界初の民間商用の超小型衛星であり、アクセルスペースはまさに世界の小型衛星市場を築いてきたパイオニアなのだ。深澤氏は同社の創業メンバーについて「生き字引で、本当に何でも知っています。彼らと話せるところはアクセルスペースの面白いところの1つですし、私が日々楽しんでいるところです。」と話した。
まるで宇宙業界のAWS!アクセルスペースの事業構造
上記のように超小型衛星の受託開発事業から始まったアクセルスペースだが、2015年には自社衛星を使用して地球を高頻度に観測し、そのデータを解析することで地上での活動に役立てる「AxelGlobe」を展開した。
また、2022年には従来の衛星の受託開発事業を発展させた新サービス「AxelLiner」を開始。
従来の受託開発事業は顧客側にも衛星開発や宇宙利用に関する技術や制度などの一定の理解を要求したり、人工衛星以外の調達や許認可の取得が必要であったりとハードルの高いものであった。
しかし、AxelLinerでは小型衛星の設計開発から運用までをトータルでサポートすることにより、この課題を解決しているのだ。
現在の同社の主な事業は、これらの「AxelLiner」と「AxelGlobe」の2つになるが、深澤氏はその事業構造を「Amazon」のクラウドコンピューティングプラットフォーム「AWS」に例えた。
「AWSでは、Amazon側がユーザーとしてAWSを使用して色んな要求をして、機能の拡大やサービスの向上を行ったからこそ、一般のお客様に対して求められるサービスを提供できたと理解しています。
私たちのサービスでもAxelGlobeはAxelLinerのユーザーであるので、関係性が似ているだろうなと。ここのサイクルを回すことで、それぞれのサービスレベルが高くなっていくと考えています。」
株式会社アクセルスペース 取締役 深澤 達彦氏
とのように述べた。
AxelGlobe の可能性
現在、宇宙業界は拡大しており、2020年におよそ40兆円であった世界の宇宙業界の市場規模は2040年にはそのおよそ3倍にまで成長すると予測されている。
また、同社の社員は衛星関連事業について「世界規模で見ると、2021年時点で人工衛星の製造・運用事業はおよそ2兆円の市場規模で、宇宙データ/技術利活用事業はおよそ17兆円規模のマーケットになっています。
これらは年々成長を続けていて今後も拡大していくと思われます。宇宙データ/技術利活用事業に関していうと市場の成長率が年4~7%程あり、安定的に成長を続けていて2029年には1兆円を超える見通しとなっています。」と説明した。
そのような中で、同社の宇宙データ/技術利活用事業「AxelGlobe」は世界中で最も使われる地球観測プラットフォームを目指す。
同社は現在地上の2.5m~5mの物体を識別できる中分解能の衛星「GRUS」を5基運用。
これらの衛星データから提供される地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」の用途は様々で、例えば、以下のような例が挙げられる。
- スマート農業における農地状況分析・生育状況把握
- 浸水域や土砂崩れ状況の調査など災害時の迅速な状況把握
- 森林の違法伐採の監視や森林火災・噴火の早期検知
- 衛星の状況把握、デブリとの衝突リスクの把握など宇宙状況の把握
最近では国土交通省・国土地理院が、日本の国土を統一規格で表すために作成するデジタル形式の基本図である電子国土基本図の関連プロジェクトに「AxelGlobe」を採用した。
また、令和6年能登半島地震では地震発生直後に被災地域の撮影を衛星に指示し、翌日午前に撮影を実行。地上に衛星データを降ろしてデータを解析し、翌日の夕方には国の関係機関に提供し、その後メディアに無償公開というスピード感でデータを提供した。
今後は、2026年に同じ中分解能の衛星を7基同時に打ち上げる予定とのこと。衛星の数が増加すれば、撮影の頻度が高まるため、AxelGlobeで提供可能なサービスの質が高まり、上記のマーケットを中心に広げることができる。
「多様性」のある職場
アクセルスペースでは、現在約150名以上の社員が働く。
ほとんどの募集職種は宇宙業界経験を必須条件としておらず、宇宙業界出身者はむしろ少ないとのこと。高専卒から博士卒等の様々な学歴を持つメンバーや他業界で多くの経験を積んできたスペシャリストなどが集い、様々な専門知識・アイディアが飛び交う。
また、国籍も様々で現在は24か国もの国々からメンバーが集まっており、様々な文化・価値観が混じり合う。社内の公用語は日本語と英語両方で、日英会話の学習補助も受けることができる。
年代も20代から60代まで、様々な年代の人が所属。非常に「多様性」に富んだ職場なのだ。
現在は人事や経理から各種エンジニアまで、文系・理系ともに非常に多くの職種で人材を募集している。
求人一覧はこちらからご確認いただきたい。
AxelGlobe事業が求める人物像
AxelGlobe事業の特徴は「マーケットの幅広さ」と「有機的でグローバルな組織」だという。
マーケットは官公庁から民間、中小規模のビジネスから大規模のビジネスと幅広く、国内と海外の比率が5:5。
外国籍メンバーが過半数揃うグローバルな組織で同じ方向を向き、自律的、共創的、独創的に行動ができる状態を目指している。
フィットする人物としては、以下が挙げられていた。
- プロアクティブな行動ができるビジネススキル
- エンドユーザー視点に立ち自ら提案できる
- 各方面のステークホルダーと垣根を越えてコミュニケーションや連携をとれる
ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
さいごに
いかがでしたか。
今回は、小型衛星の開発サービス「AxelLiner」と地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」を展開するアクセルスペースの中途採用向け会社説明会をもとに、同社について紹介しました。
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