2023年9月8日、福島県南相馬市で一大イベントが開催される。それは「宇宙産業を福島から」をテーマにした東北初の宇宙ビジネスカンファレンス、福島スペースカンファレンス2023である。
日本の宇宙関連カンファレンスと言えば、APEC最大級のSPACETIDEや、民間ロケット会社インターステラテクノロジズが主導する北海道宇宙サミットが注目されてきた。今回は東北の福島県で新たに宇宙カンファレンスが開催されることになっているのだが、その意図は何なのか。
この記事では、福島スペースカンファレンス2023について、その特色や誕生に至った背景を紹介する。
福島スペースカンファレンス2023について
カンファレンスの趣旨と狙い
今回、初の試みとなる福島スペースカンファレンス2023は、福島県の野心的なコンセプト「宇宙産業を福島から」を掲げている。
近年、福島県の先進的な取り組みや充実した補助制度もあって、ここ数年で宇宙産業のスタートアップが急増。国内でも有数の盛り上がりを見せている。
この活況を一層加速させるため、投資家、経営者、政府関係者、そして研究機関といった多岐にわたる宇宙ビジネスのプロフェッショナルたちが集結する現地でのカンファレンスが計画された。
公式情報によれば、この場でのキーパーソンたちとの有意義な対話や交流を通じ、福島を舞台に宇宙産業のさらなる発展を促進することを目標にしているとのことだ。
トークセッションの注目ポイント
カンファレンスでは以下の5つのトークセッションが予定されている。
- 宇宙産業の現在と未来(12:30 -13:20)
- 南相馬 / 東北の宇宙ベンチャー(13:30 - 14:20)
- スペースポートの必要性 (15:00 - 15:50)
- 宇宙産業の可能性(16:00 - 16:50)
- 宇宙産業と産業のひろがり(17:00 - 17:50)
これらのセッションの題目からも理解できるように、宇宙産業にこれまで携わったことのない層を中心に設計されたカンファレンスであると予想できる。
とりわけ注目すべきは、福島県にフォーカスを当てた「南相馬 / 東北の宇宙ベンチャー」のセッションだ。この部分では、東北地域がどのように宇宙産業に関与しているのか、その背後にあるストーリーや経緯についても紹介される可能性が高く、福島で開催されるからこその興味深い話が多く含まれるだろう。
福島で宇宙産業が注目されている理由
ではなぜ福島県で宇宙産業の熱が高まっているのだろうか。
その背景には「福島イノベーション・コースト構想」が関係している。この構想は、東日本大震災後の福島の国際産業都市区域15市町村で産業・雇用の復興を目的に掲げられた国家プロジェクトである。
具体的には、「廃炉」、「ロボット・ドローン」、「エネルギー・環境・リサイクル」、「農林水産業」、「医療関連」、そして「航空宇宙」の6つの分野が中心とされ、それぞれの分野での新産業の創出や事業の安定化を推進している。
このような背景の下、宇宙産業を手掛ける企業や研究者は、福島であれば充実したサポートを受けることが可能であり、福島を起点に宇宙領域の事業に取り組む企業が増えてきているのだ。
意外と知られていない!? 航空・宇宙領域における福島の現状
最後に参考として、福島県の航空・宇宙産業の現状をお伝えしておこう。
2022年の情報によると、福島県における宇宙関連企業の総数は37社、航空機関連だと41社の企業が存在している。とりわけ、航空機部品の出荷額に関しては、全国で2位の実績を有している。
品質や技術力の面では、JISQ9100の認証を取得している企業が27社、Nadcap認証を保有している企業が5社である。
また、小惑星探査機「はやぶさ2」の製造に関与した福島の企業は8社団体にも上る。
これらのデータから、福島県が国内の航空・宇宙領域で重要な位置を占めていることがわかる。
さいごに(チケットはこちら)
いかがでしたか。
福島スペースカンファレンス2023の開催は9月8日(金)福島県南相馬市、浮舟文化会館にて開催される予定だ。懇親会を除くと参加費は無料とのことなので、これから宇宙産業に参入しようと考えている方は是非、参加を検討してみてはいかがだろうか。
参考: