アクセルスペースの打上げ予定とこれまでの実績|光学衛星コンステレーション構築
©Space Connect

近年、小型衛星を活用した地球観測ビジネスは、民間企業の参入拡大とともに広がりを見せている。こうした中、日本発のスタートアップとして存在感を高めている企業の1つが、株式会社アクセルスペース(以下、アクセルスペース)である。

本記事では、アクセルスペースの次回の打上げ予定および、これまでの打上げ実績を整理する。

アクセルスペースとは

概要

アクセルスペースは、学生による超小型衛星の開発・運用に世界で初めて成功した中村友哉氏らにより、東京大学発のベンチャーとして2008年に設立された小型衛星企業である。

創業当初から小型衛星の設計・製造・運用までを一貫して手がけ、民間主導による宇宙利用の拡大を目指してきた。近年は国内外での打上げ実績を重ねつつ、宇宙産業における存在感を高めている。

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主な事業内容

アクセルスペースの事業は主に「衛星開発・提供」と「地球観測データサービス」の2軸で構成される。

AxelLiner事業

AxelLinerは、小型衛星の設計・製造・打上げ・運用までを一貫して提供するサービスである。顧客のミッションに応じてカスタマイズされた衛星を提供しており、近年では標準化されたプラットフォームを用いることで、開発期間の短縮やコスト低減を図っている。

加えて、軌道上実証サービスを提供することで、他社の宇宙機器・コンポーネントの宇宙実証ニーズに応える取り組みも行っている。これにより、従来は参入障壁が高かった宇宙利用を、より多様な企業や機関に開放する役割を担っている。

AxelGlobe事業

AxelGlobeは、自社の地球観測衛星コンステレーションによって取得した光学画像データを提供するサービスである。

農業、インフラ監視、災害対応など幅広い分野での活用が想定されており、継続的にデータを提供することで安定的な収益基盤の構築を目指している。衛星数の拡充とデータ解析の高度化が、今後の競争力を左右する要素と考えられる。

アクセルスペースが開発した衛星
アクセルスペースが開発した衛星(アクセルスペースのPRTIMESより引用)
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次回打上げ予定の衛星

アクセルスペースは、2027年5月期(2026年6月〜2027年5月)に、次世代地球観測衛星「GRUS-3」7機の打上げを予定している。

7機のGRUS-3は北緯25度以上の地点において同一地点をほぼ同一時刻に毎日撮影し、高度585kmの太陽同期軌道から一年を通して安定した日照条件で地表を観測。

人の目が捉えることができる色彩のほか、植物の生育状況、沿岸域の藻場や地形などを観測できるセンサーを搭載しており、7機合わせて1日に最大230万km²を撮影する能力を有している。

  • 名称:GRUS-3A/3B/3C/3D/3E/3F/3G
  • 重量:約150kg
  • サイズ:横96cm×縦78cm×高さ126cm
  • 地上分解能:2.2m
  • 観測幅(1機):28.3km
  • 最長観測距離(1機):1,356km
  • 運用高度:585km
  • 軌道:太陽同期軌道
アクセルスペース「GRUS-3」のミッションパッチ
アクセルスペース「GRUS-3」のミッションパッチ ©アクセルスペース

過去の打上げ実績

アクセルスペースはこれまでに11機の小型衛星を打ち上げており、日本国内の小型衛星企業として比較的早い段階から軌道上運用の実績を積み上げてきた。

① WNISAT-1(2013)

WNISAT-1は北極海域の海氷観測を目的とした超小型衛星であり、船舶航行支援や温室効果ガスのデータ取得に活用された。

民間気象会社である株式会社ウェザーニューズによる商用利用を前提としたものであり、民間が所有する世界初の商用超小型衛星とされている。

打ち上げ日2013年11月21日
ロケットドニエプル
運用会社ウェザーニューズ
運用状態運用終了

② ほどよし1号機(2014)

ほどよし1号機は、東京大学が主導した超小型衛星プロジェクト『ほどよし』の最初の衛星であり、低コストな超小型衛星による地球観測の実現を目指した実証機である。

地球観測に加え、推進装置による軌道制御の実証も行い、将来的な超小型衛星によるリモートセンシング事業の基礎づくりに貢献した。

打上げ日2014年11月6日
ロケットドニエプル
共同開発者東京大学
次世代宇宙システム技術研究組合
運用状態運用終了

③ WNISAT-1R(2017)

WNISAT-1Rは、WNISAT-1の後継機として開発された観測衛星。北極海域の海氷観測に加え、GNSS-Rによる地表・海面状態の観測や、光通信の基礎技術実証も行った。

WNISAT-1と比べて観測性能と衛星基本性能が向上しており、北極海航路向けの航路情報提供サービスの強化にもつながった。

打上げ日2017年7月14日
ロケットソユーズ
運用会社ウェザーニューズ
運用状態運用終了

④ GRUS-1A(2018)

GRUS-1Aは、アクセルスペースによる地球観測コンステレーション「GRUS」の初号機。可視光による地球観測を行い、農業、都市監視、災害対応などに活用されるデータ提供を目的とする。

多数機による高頻度観測を目指すAxelGlobe構想の出発点となった衛星であり、その後の複数機展開につながった。

打上げ日2018年12月27日
ロケットソユーズ
運用会社アクセルスペース
運用状態運用中

⑤ RAPIS-1(2019)

RAPIS-1は、JAXAの『革新的衛星技術実証プログラム』の第1弾として開発された技術実証衛星である。公募で選定された複数の新規部品・機器の軌道上実証を行うための衛星であり、日本国内の企業や大学、研究機関が開発した技術の検証機会を提供した。

小型衛星を活用した技術実証の一例として、日本の宇宙産業における実証機会の拡大を示した事例といえる。

打上げ日2019年1月18日
ロケット強化型イプシロン
運用会社JAXA
運用状態運用終了

⑥ GRUS-1B, 1C, 1D, 1E(2021)

GRUS-1B、1C、1D、1Eは、GRUSシリーズの量産展開として2021年に打ち上げられた4機の地球観測衛星である。GRUS-1Aと合わせた5機体制により、アクセルスペースの地球観測プラットフォーム『AxelGlobe』の観測頻度は向上し、農業、森林、都市開発、災害対応など幅広い分野での商用利用拡大につながった。

なお、このうちGRUS-1Eは姿勢制御機能の不具合により一時商用運用を停止していたが、アクセルスペースは2026年1月13日に商用運用の再開を発表している。

打上げ日2021年3月22日
ロケットソユーズ
運用会社アクセルスペース
運用状態運用中

⑦ PYXIS(2024)

PYXISは、アクセルスペースの新規事業「AxelLiner」における初の実証衛星として打ち上げられた。汎用衛星バスの軌道上実証、次世代地球観測衛星(GRUS)のセンサー検証、さらにソニー株式会社による衛星通信実験など複数の技術実証を目的としていた。

打上げ後は初期通信に成功したものの、その後通信が途絶し、ミッション継続は困難と判断された。短期間ながらも、将来の量産型衛星・ホスティングサービスに向けた重要な知見を取得したと位置付けられる。

打上げ日2024年3月5日
ロケットFalcon 9
運用会社アクセルスペース
運用状態運用終了

⑧ GRUS-3α(2025)

GRUS-3αは、アクセルスペースの次世代地球観測衛星『GRUS-3』に先立って打ち上げられた性能検証機である。GRUS-3で予定する観測性能の向上に向けた検証に加え、AxelLiner事業で活用予定の小型衛星の汎用バスシステムの性能検証も担う。

将来の衛星コンステレーション拡張に向けた重要な検証機として位置づけられている。

打上げ日2025年6月24日
ロケットFalcon 9
運用会社アクセルスペース
運用状態運用中

さいごに

アクセルスペースは、創業初期から小型衛星に特化した事業を展開し、段階的に技術実証と商用化を進めてきた。近年は、GRUSシリーズによるコンステレーション構築に加え、AxelLiner事業による衛星インフラ提供へと領域を拡張している。

今後は、2027年5月期に予定される複数機打上げが計画通り進むかが一つの焦点となる。打上げ頻度の向上と衛星数の拡充が実現すれば、データ提供ビジネスの競争力は一段と高まる可能性がある。

同社は現在、様々なポジションにて人材を募集している。興味のある方は、業界特化型の人材マッチングサービス「スぺジョブ」をチェックしていただきたい。

スぺジョブ

参考

AXELSPACE(アクセルスペース)ー HP(2026-04-12閲覧)

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