大規模太陽フレア(X1.9)発生、人工衛星や測位・通信システムへの影響とは
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2026年1月19日、太陽活動の活発化を示す 大規模な太陽フレア(X1.9) が発生した。今回の事象を受けて、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)は、高精度測位の誤差の増大や短波通信障害、人工衛星の運用への影響が生じる可能性について言及し、注意喚起を行った。

本記事では、太陽フレアとは何かを整理するとともに、今回の太陽フレアで想定される影響についてまとめている。

太陽フレアについて

太陽フレアとは、太陽表面の黒点付近で起きる大規模な爆発現象のことである。

太陽周辺では強力な磁場が複雑に絡み合っているが、何らかの要因でその磁場構造が不安定になると、蓄えられていたエネルギーが一気に解放され、爆発的な現象として太陽フレアが発生する。

太陽フレアが発生すると、まず強い光やX線、紫外線といった電磁波が短時間に放射され、周囲の宇宙環境に影響を与える。さらに、フレアに伴って高エネルギー粒子や太陽ガスが宇宙空間へ放出されることがあり、これらが地球方向に向かった場合には、地磁気の変動などを引き起こすことがある。

このような太陽活動に伴う現象は、「宇宙天気」と呼ばれ、太陽と地球周辺の宇宙環境の変動を表す要素の一つとされている。

今回発生した大規模太陽フレアの概要

NICTによると、今回の太陽フレアは 2026年1月19日3時9分(日本時間) に、太陽面の黒点群 14341領域 で発生した。

フレアの規模はX1.9で、太陽フレアの分類の中で最も強い「Xクラス」に属する比較的大きな規模であった。

地球方向に向かうコロナ質量放出(CME)や高エネルギー粒子の増加が確認されており、太陽から放出されたプラズマと磁場が地球近傍空間に到達。1月20日未明には地磁気嵐の発生も観測された。

図2:人工衛星SDO(米国NASA)により観測された太陽白色光画像(左)と、
人工衛星GOES(米国NOAA)により観測された太陽紫外線画像(右)
図2:人工衛星SDO(米国NASA)により観測された太陽白色光画像(左)と、人工衛星GOES(米国NOAA)により観測された太陽紫外線画像(右)

想定される影響

太陽活動には周期的な変動があり、現在は活動が活発化する時期にあるとされている。こうした状況の中で、今回のX1.9級フレアのような比較的大きな太陽フレアが発生した。近年は、商業衛星の増加や低軌道衛星コンステレーションの拡大により、宇宙環境の変動が宇宙システムの運用に与える影響への関心も高まっている。

人工衛星などへの影響

今回の太陽フレアでは、衛星を利用した測位システムや短波通信への影響が指摘されている。

太陽フレアやそれに続く地磁気嵐が発生すると、地球上空の電離圏が乱れ、電波の伝わり方が不安定になることがある。このため、衛星を用いた測位では位置情報に誤差が生じたり、測位精度が一時的に不安定になったりする可能性がある。

過去には、太陽活動の活発化に伴い、人工衛星が一時的な運用制限だけでなく、結果として運用不能に陥った例も報告されている。

また、航空機や船舶、アマチュア無線などで利用される短波通信では、電波が反射される電離圏の状態変化によって、通信が途切れたり、ノイズが増加したりするケースがある。

こうした影響は、主に高緯度地域や宇宙・高高度を利用するシステムで顕著になるとされている。

地上への影響は軽微

一方で、一般的な地上の携帯電話通信やインターネットへの大きな影響は想定されていないとされており、影響は主に宇宙・高高度システムに限定される見通しだ。

しかし、NICTは引き続き、宇宙天気の監視と情報発信を継続するとしており、今後も太陽活動の状況次第では追加の注意喚起や我々のスマートフォンなどへも直接的な影響がでる可能性もあるだろう。

オーロラ発生の可能性も

太陽フレアは、通信障害や人工衛星への影響といったリスクの側面が注目されがちだが、そのエネルギーは自然現象としての側面も持つ。

太陽フレアに伴って放出された粒子が地球の磁場に導かれ、大気中の原子や分子と衝突することで発生するのがオーロラだ。太陽活動が活発な時期には、この発光現象が通常よりも低緯度まで広がることがある。

過去には、強い太陽活動に伴い、日本でも北海道などの高緯度地域でオーロラが観測された例がある。

オーロラは、太陽活動と地球環境が直接結びついていることを示す自然現象の一つであり、宇宙天気の変動が地上からも可視化される例といえる。

さいごに

大規模太陽フレアは、太陽活動が私たちの社会や宇宙利用と無関係ではない。

通信や測位、人工衛星といった宇宙インフラは、今や日常生活や産業活動を支える基盤であり、その安定運用には宇宙天気への理解と備えが欠かせない。

一方で、太陽フレアはオーロラのような美しい自然現象を生み出す要因でもあり、宇宙と地球が密接につながっていることを実感させてくれる存在でもある。

宇宙利用がさらに拡大していく今後、太陽活動を「脅威」だけでなく「正しく理解すべき自然現象」として捉え、共存していく姿勢がますます重要になりそうだ。

参考

大規模な太陽フレアが発生、地球方向へ噴出された高速コロナガスと高エネルギー粒子を観測(国立研究開発法人情報通信研究機構, 2026-01-21閲覧)

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