あなたは全てわかる?採択企業7社を紹介!
「民間ロケットの開発・実証」採択事業
インターステラテクノロジズ株式会社
事業計画名:小型人工衛星 打ち上げロケット「ZERO」の技術開発・飛行実証(上限20億)
「ZERO」は、一気通貫の開発・製造体制や民生品の活用等で一機あたり打ち上げ費用8億円以下という低コストを実現。さらに、小型衛星をライドシェアではなく専用で打ち上げることにより、打ち上げ時期や打ち上げ先の柔軟性も提供する。
今回の補助金とは別に、ZEROのロケットエンジンの製造を行う新工場を福島県南相馬市に設立するための補助金も通過。小型衛星打ち上げサービスで、国内だけでなく、アジア・オセアニアや欧州といった海外市場も狙う。
株式会社 SPACE WALKER
事業計画名:サブオービタルスペースプレーンによる小型衛星商業打ち上げ事業(上限20億)
再使用可能なロケット技術と、カーボンニュートラルな液化バイオメタン燃料を組み合わせることで、環境負荷の低減を実現。
また、世界初となる極低温液体推進複合材タンクを完成させることで、全体の重さを軽量化。さらに、完全自律の航行も目指している。
将来宇宙輸送システム株式会社
事業計画名:小型衛星打上げのための再使用型宇宙輸送システムの開発・実証(上限20億)
有人宇宙飛行を視野に入れ、エンジンが単段式の、高頻度で打ち上げ可能な再使用型ロケットの実現を目指している。
今回の事業ではそのゴールに向けてアップグレードもできる、再使用型の小型衛星打ち上げロケットの開発を行う。
スペースワン株式会社
事業計画名:増強型ロケットの開発、打上げ実証及び事業化(上限3.2億)
和歌山県串本町にあるスペースポート紀伊を持つ企業。小型ロケットを開発しており、自動車部品等の民生品や、炭素繊維強化プラスチックの活用で小型・軽量、低コストを実現。
また、メインの固体エンジンとは別に、軌道修正用の液体エンジンを搭載することで、衛星軌道投入の精度を高めている。
スペースデブリ低減に必要な技術開発・実証
A:軌道上の衛星等除去技術・システムの開発・実証
株式会社アストロスケール
事業計画名:大型の衛星を対象デブリとした近傍での撮像・診断ミッション(上限26.9億)
スペースデブリといえばアストロスケール。デブリ事業に取り組んだ、世界初の企業である。
様々な軌道上サービスを開発しているが、既存デブリ除去においては、衛星「ADRAS-J」の宇宙実証を目前に控えており、実証では、日本由来の巨大デブリに手を伸ばせば届く距離まで接近し、運動の様子や損傷・劣化具合の調査のための写真や動画の撮影を目指している。
B:衛星等の軌道離脱促進のための技術・コンポーネント開発・実証
株式会社 Pale Blue
事業計画名:人工衛星の軌道離脱及び衝突回避のための超小型水イオンスラスタ
および水ホールスラスタの開発・実証(上限15.8億)
世界で最も安全で、環境に優しい「水」を使用したエンジン(スラスタ)を開発する企業である。
同エンジンは低コストで衛星に搭載可能。用途に合わせて様々なエンジンがあるが、その中には衝突しそうなデブリを回避したり、地球周回方向とは逆方向にエンジンを噴射することでスピードを緩め、衛星を離脱させ、デブリ化を防ぐことができるエンジンがある。
株式会社 BULL
事業計画名:衛星等のデブリ化を防止する軌道離脱促進装置の開発・実証(上限14.7億)
宇宙環境で無人実験を行えるサービス(非回収)と、ロケット向けのデブリ対策装置を開発する企業。
デブリ対策装置は元々株式会社ALEが開発していた技術を引き継ぎ、活用。カーボンナノチューブ電子源と導電性テザーを用いた、導電性の長い紐状の装置で、ローレンツ力(地球磁場と電流により生まれる力)や空気抵抗によって物体の速度を減速させることで、軌道離脱を行う。
さいごに
いかがでしたか。
ロケットは宇宙産業の根幹にあるものであり、スペースデブリ除去は日本が世界の中でリードできる可能性のある技術だ。
次の審査まで最短のもので一年。どれほど開発・実証が進むのだろうか。各社の今後の展開が楽しみである。
参考
文部科学省 中小企業イノベーション創出推進事業(SBIRフェーズ3)宇宙分野の公募選定結果について
SBIRフェーズ3基金(Small Business Innovation Research)
文部科学省 中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR フェーズ3)宇宙分野(事業テーマ:民間ロケットの開発・実証 )公募要領