国内で最も大きい宇宙ビジネスアイデアコンテスト『S-Booster』の募集が今年も始まった。
が、正直なところ『S-Booster』のようなビジコンに参加する価値があるのかどうか疑問に思っている人も多いはず。
そこで本記事では、過去の受賞者にぶっちゃけ参加してよかったのかについて尋ねてみました。
S-Boosterとは
S-Boosterは、近年の宇宙産業の活況を機に始まった、内閣府が主催する宇宙を活用したビジネスアイデアコンテストである。
優れたアイデアの事業化支援や投資家・大手企業とのマッチングを中心に宇宙産業における新規事業の創出を後押しするのが同コンテストの目的である。
募集対象は企業、学生、個人、異業種と門戸が広く、宇宙に関連する事業アイデアを思い付いた人なら誰でも参加できるのも特徴である。
これまでに5回開催されており、天地人や岩谷技研をはじめ、世間から注目を集める宇宙ベンチャー企業を数多く輩出。
宇宙産業で事業を展開するにあたっての『登竜門』。それがこのS-Boosterである。
コンテストの流れとしては、
応募締め切り後、一次選抜(書類審査)を通過した応募者が、二次選抜でピッチ審査
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二次選抜を通過すると、専門家(メンター)によるブラッシュアップを3カ月受けた後、最終選抜ピッチ
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最終選抜会では、プレゼンによる審査を行い、受賞者を決定するといった流れだ。
過去の受賞者に聞いてみた
ここまで読むと、非常に魅力的な企画のようにも思えるが、果たして、貴重な時間を費やしてまで参加する価値はあるのだろうか。
この疑問を解消すべく、過去の受賞者3人にお話を聞いて参りました。
SPACE COTAN 大出 大輔氏
まずは、2018年のS-Boosterにて未来コンセプト賞を受賞した大出 大輔氏。
現在は、SPACE COTAN株式会社にてCOOを勤めている。
大手ゼネコンで勤務していた大出氏は、社内の廊下にて「大出くんアイデアマンだから出してみれば」と言われた事がきっかけで応募したという。
応募内容は、人工衛星から地球の内部を覗く地球内部のCTスキャン構想。
そんな彼にS-Boosterの魅力について尋ねたところ、二次選抜後のメンターとのブラッシュアップがこのコンテスト最大の魅力だと語っていた。
この経験を通じて、構想段階のビジネスをどのように事業化させるかについての見識が広がり、それが今のベンチャーでの仕事に活きているそうだ。
現在の職業は、宇宙港の整備業務をしており、構想とは、少し趣旨が変わっているようにも思うが、構想を実現するために必要な人工衛星が打ち上がらないという課題に気付いたからこそ、現在の仕事に繋がっていると話していた。
実は、締め切りの前日に本イベントを知った大出氏。
S-Boosterについては、とりあえず出すことが大事、ハードルはそれほど高くないと語った。
MizLinx 野城 菜帆氏
続いては、2021年に第一生命保険賞とHonda R&D賞を受賞した株式会社MizLinxの代表、野城 菜帆氏。
水産業向けの海洋モニタリングシステムの開発を行う同社の代表は、漁業のための海況モニタリングを、衛星データと組み合わせるという内容で応募。
S-Boosterは一回目から知っていたが、当時はアイデアが明確でなかったため、起業するタイミングで応募したという。
彼女も同様に、二次選抜後のメンターとのブラッシュアップが魅力と語っていた。
ブラッシュアップにより、プレゼンの質が向上。伝え方が大幅に改善されたことにより、以前よりも補助金の獲得が容易になったという。
S-Boosterについては、このような場で真剣に取り組んだ過程が、自身のスキルアップに必ず繋がると語っていた。
PITTAN 児山 浩崇氏
最後は、2022年にソニー賞とNEDO賞を獲得した株式会社PITTANのCTO、児山 浩崇氏。
幼い頃から宇宙が好きだった児山氏。
就職した会社で宇宙好きと出会ったことにより、宇宙愛が再熱して、応募に至ったという。
児山氏は、強みである化学分析技術活かし、宇宙で化学分析を可能にする超小型分析装置を開発するという内容で応募。
S-Boosterの魅力としては、ソニー賞とNEDO賞を獲得したことによる同企業・団体からのコンテスト終了後の充実したサポートを挙げていた。
S-Boosterについては、過酷な宇宙で使用できるシステムの開発は、地球ではより簡単に使える、すなわちアイデアの逆輸入ができることに同コンテストを通じて気づいたと語った。
さいごに
いかがでしたか。
過去の受賞者3人のお話をまとめると、S-Boosterに参加することで、三者とも何かしらのビジネスのきっかけを掴んでいることが理解できるはずだ。
もちろん、最優秀賞獲得者には1000万円の賞金が与えられることも魅力的である。
応募は、2023年の6月12日まで。詳細情報は以下の公式サイトから。
迷う暇があるのなら、即行動。応募してみようではないか。
皆さんのご参加をお待ちしている。