2022年7月13日、NASAは、ジェイムズ・ウェブ宇宙望遠鏡 (James Webb Space Telescope : JWST)の凄まじさを物語る画像を公開した。
昨年のクリスマス(日本時間)の打ち上げで宇宙マニア界隈を賑わしたJWST。今回の撮影は、その期待を裏切らない素晴らしいものとなった。ではなぜ、これほどまでに宇宙マニア界隈を賑わしているのだろうか。
JWSTは、全てがケタ外れ!?
ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope : HST)の後継として、登場したJWST。総費用1兆1000億円という桁外れの金額。宇宙開発史上最も大型でかつ複雑な構造を持っている。もちろん、解像度はお墨付き。
この望遠鏡の計画から打ち上げまでにかかった月日はなんと32年!?そんな大掛かりな望遠鏡は一体何のために生まれたのだろうか?
答えは、宇宙で最初に生まれた星「ファースト・スター」を観測することだ。これが超弩級の望遠鏡が生まれながらにして、持ち合わせている使命である。そう、まさに全てが規格外。
期待を裏切らないJWST
人類の夢と希望が詰まったJWSTで撮影した画像が7月11日から遂に公開された。それがこれだ。
固唾を飲むほどの美しさ。JWSTの強力な赤外線観測により、約2500光年の距離にあるNGC3132 (写真の惑星状星雲の名前)の細部までくっきりわかるではないか。
上記の画像がいかに明瞭であるかを伝えるために比較画像を用いるとしよう。
これが1998年にHSTで撮影されたNGC3132の画像である。お分かりの通り、解像度の高さは一目瞭然だ。他の画像も比較してみる。
こちらの違いも言わずもがな。JWSTによって赤外線で撮影されたこの画像は、これまで見えなかった星生成領域の姿を初めて明らかにした。
こちらの違いも非常に面白い。強力な赤外線画像と極めて高い空間分解能力により、JWSTの方ではこの銀河群のこれまでに見たことのないような星々を映し出しているのが理解できるはずだ。
そしてこの写真がJWSTで撮影した画像として、初めて世間に公開されたものだ。やはり、解像度の高さがHSTとは比べ物にならない。
さいごに
いかがだっただろう。JWSTの台頭により、人類が目にすることができる宇宙の解像度は劇的に変化した。それこそ、宇宙のはじまりや系外惑星の環境もより詳細に観察できるようになるかもしれない。
そこには人類がこれまで知り得なかった新しい叡智が広がっているに違いない。これからの宇宙の動向が本当に楽しみだ。
参考 :
NASA のウェッブ望遠鏡、これまでで最も深い宇宙の赤外線画像を提供
NASA のウェブ望遠鏡が明らかにした宇宙崖、星誕生のきらめく風景